「美容インフルエンサーを意識しすぎない」VOCEの線引き
昨今、美容系インフルエンサーの存在感は大きいが、VOCE編集部では他の美容媒体やインフルエンサーのバズ動画を追いすぎないことを以前よりも意識しているという。そもそもVOCEのフォロワーとその他の美容系インフルエンサーや若年層に向けた美容媒体のフォロワーとでは年齢層も美容の関心度合いも異なる。そのため、たとえ他のアカウントで伸びているコンテンツであったとしても、同じ反響や結果が得られないことが多くあるのだ。
「投稿のトレンドに乗ることも心がけてはいるのですが、チャレンジして伸びなかったら無理に頑張り続けずにやめること、そしてVOCEだからこそ作れるコンテンツを大切にすることを心がけています」(髙橋氏)
「ライブショッピング」「メイクバトル」で事業貢献
セッション後半では、本門氏から具体的な「事業貢献できたと考える施策」について質問、各社が事例を示した。
ANAでは、インスタライブで全日空商事が機内販売をしている航空グッズやコラボ商品を販売する「ライブショッピング」を実施。ライブ中に数十万~数百万円ほどの売り上げを生み出すケースもあるという。また、海外ファンが多いアーティストとコラボした際には、コメント欄に外国語コメントが並び、アウェイである外国マーケットにもリーチができた好事例となった。
@babymetal_japan "BABYMETAL SPECIAL US ARENA SHOW IN Los Angeles" supported by ANA✈️ ANAのSNSアンバサダーそらっちです✈️✨! I'm Soracchi, ANA's social media ambassador💙
♬ オリジナル楽曲 - BABYMETAL_JAPAN
VOCEでは、人気ブランドの新製品紹介動画で120万再生を獲得。1秒以上の素材を使わないという徹底したカットの短さでテンポ感を意識して制作したことが奏功した。また、「NEXTヘアメイク決定戦2025」というYouTubeでの長尺動画も人気を呼んだ。美容媒体として数々のヘアメイクアップアーティストと組んできたVOCEとして、その次世代を発掘し育てるべく、メイクバトルのドキュメンタリーを制作。プロのヘアメイクの裏側で美容好きユーザーの心をつかみながら、実際に次にブレイクするアーティストを見出すことができたという。
一方で、効果の出なかった施策もある。トレンドを意識した「苺ミルクコスメまとめ」というInstagramフィード投稿は、可愛らしいものの効果が出なかったという。編集部ではメインターゲット層に対して子どもっぽくしすぎたと分析しており、実際に後日投稿した「大人可愛いモーヴカラーコスメまとめ」では効果が出たことからも確からしい。また、世間で流行っている「せいろレシピ」紹介のリールは反響が得られず、髙橋氏は「『VOCEのSNSでは美容について知りたい』というユーザー心理が改めてわかる結果で、方向性を見直すきっかけになった」と振り返る。
ANAとVOCEのSNS運用に共通する学び
本門氏が両社に共通することとして指摘するのは、短期的な再生回数やバズだけにとらわれないというSNS運用の姿勢だ。ANAは社員のエンゲージメントや将来の採用への貢献といった長期的な価値を重視し、VOCEは読者コミュニティの拡大や媒体としての個性を大切にしている。また、新しい施策に積極的に挑戦し、結果を分析しながら改善を続けているのも両社の共通項だ。
本セッションを振り返って髙橋氏は「ANAさんは社員エンゲージメントを非常に大事にしているという視点が新しくおもしろい。今後はANAさんのようなドキュメンタリー動画を多く作りたい」と話す。上村氏も「社員に喜んでもらうことが、最終的にエンドユーザーに喜ばれることにつながる。数字が出ない可能性があっても、新しいことにどんどんチャレンジしていきたい」と意気込みを述べた。
誰に向けて何を伝えるのかという目的を明確にしながら挑戦を続けることが、SNSマーケティングを成功させる鍵だ。
