多くの企業で重点施策となっているSNSマーケティング。その施策を自社の戦略の中にどう位置付け、事業成果としてどう評価すればいいのか、模索する企業も多いだろう。MarkeZine Day 2026 Springには長年にわたりSNS運用に力を入れてきたANAホールディングスと、講談社のVOCE編集部からそれぞれ担当者が登壇。SNSマーケティング支援を行うジソウの本門氏をモデレーターにディスカッションを実施。ブランドの持続的成長を支えるための設計と評価方法など、SNS運用のヒントを示した。
ANAがSNSで取り組む「攻めの広報」
ANAホールディングス株式会社 広報・コーポレートブランド推進部 SNS・メディアプランニングチーム リーダー 上村 秀幸氏
株式会社講談社 VOCE事業本部 VOCE編集部 エディター 髙橋 ミチル氏
本セッションにモデレーターとして登壇した本門氏は、様々な企業のSNSマーケティングを支援し、インハウス化や代行を担うジソウで代表取締役を務める人物。同領域での経験が長く、SNSエキスパート協会でも理事を担う。セッション前半に取り上げたのは、各社それぞれが定義するSNSの役割、全体設計や評価方法だ。先進企業はどのような戦略をもって進めているのか。
ANAホールディングスからパネリストとして登壇したのは、同社広報・コーポレートブランド推進部に所属し、SNS・メディアプランニングチームでリーダーを務める上村秀幸氏だ。長年のコーポレート部門での業務経験を踏まえ、現在はSNSの運用やテレビ・雑誌の取材対応などを担当する。
上村氏は部のミッションについて、記者会見やプレスリリースなどの「守りの広報」と、SNSやコーポレートサイトなどの自社メディアを活用して発信力を最大化する「攻めの広報」の両立を掲げる。SNS単独での運用ではなく、コーポレートサイトや機内誌、アプリや公式LINE、メルマガなども含めて全体設計し、コーポレートブランドの推進や採用競争力・社員のエンゲージメント向上を狙っている。
SNSの使い分けに関しては、運航情報などタイムリーな情報はXで届け、Instagramは、出張などで飛行機を多く利用する方向けのコンテンツを展開。TikTokは若者向けとして、あえてプロダクトの中身やマイレージの仕組みなどの情報は流さず、ANAの存在を知ってもらうために工夫する。YouTubeは航空ファンや就職活動中の学生の方々に向けたコンテンツを幅広く提供し、「自分の時間を15分使っても良いと思っていただける方を狙っている」と話す。
公式SNSが雑誌のプロモーションを超えて成長するVOCE
一方、講談社が展開するVOCEは、28歳から32歳がメインターゲットの美容雑誌を軸に、SNSやWebサイトなどを通じた美容好きのコミュニティ化に取り組んでいる。SNSは雑誌のプロモーションという枠を超え、VOCEと美容好きの裾野を広げる独立メディアという位置付けだ。
登壇した編集部の髙橋ミチル氏によると、各SNSの特性により発信内容を変えている。
速報性重視のXでは、新製品を素早く紹介する「VOCE速報」を展開。Instagramでは、より詳しいコスメ情報を展開し、フィード投稿とリール動画で使い分けて伝えるなどの工夫も行う。他にも、TikTokでは特に若年層に向けたコンテンツで将来の読者を育てる役割を担い、YouTubeでは幅広い美容好きに向けた長尺コンテンツを配信するなど、各SNSを駆使して美容コミュニティ拡大を目指している。
VOCEのSNSでは現在、特に次の3点につながる取り組みを推進し、振り返っている。1つ目は、フォロワー数やチャンネル登録者数と、各投稿のエンゲージメント力の向上。2つ目は、近年重要度が増しているショート動画への対応力を高めること。3つ目が、新しい企画や機能へのチャレンジを評価するという考え方だ。
髙橋氏は「SNSでは必ずしもすべての施策が成功するわけではないが、結果だけで判断するのではなく挑戦した取り組みを評価する姿勢を大切にしている」という。実際に、トレンドに合わせたテンポの良いショート動画やタレントを活用した企画など、SNSならではの表現を積極的に試している。本門氏はANAでの取り組みも踏まえ「攻めた投稿、新しい企画への意識など、チャレンジングな運用の姿勢にも共通点があるのでは」と指摘。その具体的な事例も本セッションで深掘りしていった。
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佐々木 もも(ササキ モモ)
早稲田大学卒業後、全国紙で約8年記者を経験。地方支局で警察や行政を取材し、経済部では観光や流通業界などを担当した。現在は企業のオウンドメディアの記事企画や広報に携わる。
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