チキンマイル再構築で目指す「継続的な絆」
━━リワードプログラム「チキンマイル」の刷新について教えてください。
平田:チキンマイルは長年親しまれてきたプログラムですが、年に一度ステージがリセットされる仕様になっていました。そのため、お客さまのロイヤリティと実際のステージが一致しないケースも生まれていました。
そこで現在は、KFCを継続的にご利用いただくお客さまが、より高いステージを維持できるよう、サービス内容を再構築しています。購入を継続いただく限りステージを維持できるような、お客さま視点のプログラムへ転換を進めています。

野中:「継続的な絆」をつくる上でも、Brazeのシナリオ設計は非常に重要です。購買の直後やステージアップ時など、お客さまのエンゲージメントが高まる「モーメント」を逃さず、Brazeのリアルタイムトリガーを活用して限定クーポンなどを配信しています。
単なる一斉配信ではなく、お客さまの行動に寄り添ったコミュニケーションを行うことで、次回来店を後押ししています。
売上・来店頻度・客単価が向上、背中を押すコミュニケーションの成果
━━データマーケティングの取り組みによって、どのような成果が生まれていますか。
平田:リブランディングによって目指す方向性が明確になり、それに紐づく顧客分析と施策が噛み合ってきたことで、お客さまとのコミュニケーションは格段に届くようになったと感じています。実際に、売上、来店頻度、客単価の向上が見られています。特に客単価の向上は、従来なかなか難しかった領域でしたので、お客さまからの評価につながっている実感があります。
野中:分析を進める中で、「どんなタイミングでKFCを思い出しているか」が見えてきました。従来は「想起回数を増やす」コミュニケーションが中心でしたが、現在は「思い出した瞬間に、違和感なく購入していただく」ことを重視しています。その結果、来店頻度やLTV向上につながっていると考えています。
分かりやすく、購入まであと一歩の背中を押すようなコミュニケーションが実現できています。
「たった1日」でAIモデル構築。今後は予測と最適化をさらに高度化へ。
━━最後に今後の展望をお聞かせください。
野中:顧客体験の根幹にあるはずの実際のお客さまの声や店舗での接客は、定量化が難しく、飲食業界ではなかなか活用できていません。いつでもどこでも最適な食体験を再現するために、これらのデータやデジタルを活用していきたいと考えています。
単にお得な情報や過去に食べたものの案内がくるだけではない、「KFCを想起する瞬間」に寄り添った体験は、スピードと生活密着度の高いデジタルだからこそ実現できるものです。日常に入り込んだデジタル接点を基軸に、ブランドからの一方的な提案ではなく、お客さまや従業員の声を正しく反映していくことで、しあわせな食体験を創出していきたいです。
平田:現在KFCでは、Brazeの「Predictive Churn(離脱予測モデル)」を活用し、休眠化を防ぐためのリテンション施策を進めています。本来、データを用いた予測モデリングには膨大な工数と時間が必要になりますが、Brazeではマーケター自身がGUI上で設定条件を行うだけで、自動的にAIモデルを構築できます。実際、KFCでは「わずか1日」でモデル構築を完了させることができました。今後は、こうしたAI活用をオファー最適化などの領域にも広げ、より高度で自然な顧客体験の実現を目指していきたいと考えています。
今後とも、顧客戦略に基づいた真のオムニチャネル体験を展開していくと共に、購買体験だけではなく、Ownedチャネルの顧客コミュニケーションから広告媒体に至るまで、お客さまとKFCの接点を最適化していく事を目指していきたいと思います。「私のことをちゃんとわかってくれる」そんな街のレストランになれるよう、デジタルの面からも顧客とお店をつなぐ架け橋となれるように進化し続けます。

