SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

直近開催のイベントはこちら!

BtoB Synergy FORUM powered by MarkeZine & SalesZine

世界のトレンドを読む

英国のGoogle規制が示すコンテンツ価値の未来。AI検索時代に問われる「情報資産戦略」とは

 Google検索が大きな転換点を迎えている。2026年6月、英国の競争・市場当局(CMA)はGoogleに対し、AI検索機能でニュース記事やWebコンテンツを利用する際、出版社が利用の可否を選択できる仕組みの導入を求めた。対象となるのは「AI Overview」などの生成AIを活用した検索機能だ。この動きが注目されるのは、単なる競争政策の話ではないからだ。AI検索の普及によって、コンテンツ提供者とプラットフォームの関係そのものが変わり始めている。本稿では英国で始まった規制の内容を整理するとともに、AI検索時代にコンテンツの価値がどう変化するのか、そしてSEOやコンテンツマーケティングはどのような再定義を迫られるのかを考察する。

AI検索の議論は「流入減少」から「利用価値」へ

 GoogleがAI Overviewをはじめとする生成AI型検索を本格展開したことで、検索体験は大きく変わり始めた。従来の検索エンジンは情報への入口だったが、AI検索はユーザーの質問に対して直接回答を提示する。

 その結果、AIの回答品質を支えるコンテンツの価値が改めて注目されるようになった。AIは自ら情報を生み出しているわけではない。ニュース記事や専門メディア、企業のオウンドメディアなどが蓄積してきた情報をもとに回答を生成している。

 一方で、コンテンツ提供者には複雑な思いがある。これまで検索エンジンとの関係は比較的シンプルだった。良質なコンテンツを公開すれば検索経由でユーザーが訪れ、その流入が広告収益やリード獲得につながるという構造だ。

 しかしAI検索では、コンテンツが利用されることと、ユーザーがサイトを訪問することが必ずしも一致しない。だからこそ現在の論点は「AI検索によって流入が減るのか」から、「AIによるコンテンツ利用をどう評価するのか」へと移りつつある。

AI利用への交渉力が生じる? 英国の規制が示す可能性

 今回の英国の措置が注目される理由は、検索とAI利用を切り分ける考え方が制度として認められ始めたことにある。

 これまでコンテンツ提供者は、Google検索に掲載されるためには事実上Googleによる利用全般を受け入れざるを得ない側面があった。しかしCMAが求めているのは、検索結果への掲載を維持しながら、AI Overviewなどでの利用については選択できる仕組みだ。

 これは単なる「利用拒否権」の話ではない。見方を変えれば、コンテンツ提供者がAI利用に対して交渉力を持つことを意味する。AIによる利用を認める代わりに対価を求める、あるいは特定のコンテンツだけ利用を許可するという選択肢が将来的に生まれる可能性もある。

 これまでコンテンツの価値は主に流入という形で還元されてきた。しかしAI検索が情報流通の主流になれば、コンテンツそのものの利用価値が新たな収益源になる可能性がある

 実際、ニュース業界ではOpenAIやPerplexityなどの生成AI事業者とライセンス契約を結ぶ動きが広がり始めている。記事アーカイブの学習利用や回答生成時の参照を認める代わりに対価を得るモデルだ。英国で始まった議論は、こうした「コンテンツ利用の対価」を検索の領域にも広げる可能性を秘めている。

 AI検索時代において重要になるのは、「AIに利用されるかどうか」ではなく、「どのような条件で利用されるか」なのかもしれない。

会員登録無料すると、続きをお読みいただけます

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
    ※プレミアム記事(有料)は除く
  • ・会員限定メルマガを受信できます
  • ・翔泳社の本が買える!
    500円分のポイントをプレゼント

メールバックナンバー

次のページ
「引用を目指す」「利用させない」が共存するAI検索時代のSEO

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
  • note
世界のトレンドを読む連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

中井千尋(Livit)(ナカイ チヒロ)

大学卒業後、金融機関勤務を経て、イギリスへ留学。そこで培った語学力を活かし、帰国後は企業の語学研修コンサルティングに携わる。シンガポールに渡り、大手日系商社に転職。シンガポール人、インド人、オーストラリア人、モンゴル人、中国人など多国籍社員が集う場でのビジネスを経験。その後、オランダに渡り、ライターとして独立。分野...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

MarkeZine(マーケジン)
2026/06/29 07:00 https://markezine.jp/article/detail/50747

Special Contents

PR

Job Board

PR

イベント

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング