美容・ヘルスケア領域が直面する課題とTikTok広告への期待
━━美容・ヘルスケア領域では、検索広告や従来のSNS広告だけでは「認知は取れても獲得(クリニック予約)の質と量が両立しない」という限界がよく語られます。今回、どのような課題感があったのでしょうか。
丸野(サポート):今回の広告主である美容クリニック様では、メッセージアプリの友だち追加をコンバージョン(CV)地点として集客を行っており、これまでは検索広告を中心に安定した成果を上げていました。
しかし、クライアントが目指すスピーディーな多店舗展開や売上拡大のスピードに合わせるには、検索広告だけでは集客の母数に限界がありました。
そこで他の広告プラットフォームやディスプレイ広告にも注力したのですが、今度は「獲得の母数を増やすと、友だち追加の先にある来店予約や施術に繋がらない」という新たな壁に直面しました。友だち追加数を担保しつつ、LTVの高いお客様をいかに獲得するかが大きな課題でした。
━━数ある広告プラットフォームの中で、なぜTikTok広告の本格活用に踏み切ったのですか。
丸野:検索広告やディスプレイ広告を提供する広告プラットフォームとの決定的な違いは、「クリエイティブの表現力」にあります。動画をフル活用することで、施術内容やクリニックの清潔感のある雰囲気をダイレクトに伝え、認知と獲得を同時に狙えると考えました。
すでに他の広告プラットフォームの動画広告で実績はあったため、TikTokでも成功事例を作り、集客の新たな柱を確立したいという強い期待がありました。
━━美容・ヘルスケア領域のTikTok広告活用は増えているのでしょうか。また、本領域とTikTokの相性が良い理由を教えてください。
山田(TikTok for Business):出稿企業数や提供サービス数は年々増加しています。代理店様や広告主様からの問い合わせはここ1年で急増しており、実際の出稿額も前年比で数倍規模に伸びています。また、日本国内の月間アクティブユーザー数(MAU)は4,950万人※1に達しており、多くのユーザーとの接点を持てるプラットフォームへと成長しています。
※1 2026年5月末時点。TikTok調べ。ユーザー数はTikTokとTikTok Liteの合計(重複を除く)
相性が良い理由は大きく2点あります。
1つはユーザーとの親和性の高さです。TikTok上で関連検索数が上昇し、ユーザーにとってTikTokが「美容・ヘルスケア情報を探す場所」として定着し始めています。
もう1つはベストプラクティスの体系化です。プラットフォームの進化に伴い、広告の勝ちパターンが明確になってきました。
赤峰(TikTok for Business):直近の2年弱、日本の市場に合わせたプロダクトアップデート(TikTokの運用型広告を最適化する「Smart+:スマートプラス」の導入や入札ロジックの改善など)をスピーディーに進めてきました。こうした最新機能をサポート様にいち早くお試しいただき、効果検証を重ねられたことが今回の成功要因の一つです。
夏の需要期に備え多数の検証を実施
━━今回、単発ではなく「年間を通じてフル活用する」という戦略を選んだ意図は何でしょうか。
丸野:クライアントには「特定の時期だけ予算を投じるのではなく、年間を通じて定常的・継続的に獲得を伸ばしたい」という強い目標がありました。そのため、単発のキャンペーンで終わらせず、中長期でPDCAを回し、安定した獲得基盤を作る戦略を選択しました。
━━美容・ヘルスケア領域の最重要期である「夏の需要期」に向けて、どのようなロードマップを描いたのでしょうか。
丸野:前年(2025年)の冬期から仕込みを開始しました。冬場は案件の立ち上げ期にあたり、「メッセージアプリの友だち追加は取れるが、実際の来店に結びつかない」という質的な乖離が課題でした。そこでこの時期は、集客データとクリニックの来店データをかけ合わせ、運用の土台作りに集中しました。
春からは配信規模をスケールさせ、クリエイティブ検証を並行しながら学習データを蓄積し、夏の需要期ピークで一気に獲得を最大化するロードマップを設計しました。
山田:冬期は計測環境の整備をはじめ、PDCAを加速させる土台作りに注力しました。それが整った段階で、次はTikTok for Businessの強力なアドネットワーク「Pangle」でのCV量最大化へと舵を切りました。春夏の獲得ピークに向け、グローバルの製品チームとも連携して周到な準備を進めました。
獲得量を増やしたければPangle、その理由は?
━━今回、Pangleを活用した狙いを教えてください。
山田:PangleはTikTok以外のアドネットワーク面へ配信できるため、圧倒的なリーチとCV量の増加が狙えます。グローバルDAU(1日のアクティブユーザー数)は29億を超えており※2、幅広いユーザーへリーチできる点も特長です。特に美容・ヘルスケア領域と親和性の高いアプリパブリッシャーが多く参画しているため、ここを徹底攻略しようと決めました。
※2 2026年1月時点。Pangle調べ。
グローバルのPangle専門チームとサポート様とのミーティングをセットし、現場のリアルな課題を共有しながら連携を密にしたことで、配信効率が劇的に向上しました。
━━PangleでCV数は増えたものの、「来店予約に繋がらない」という質的な課題にはどう対処したのでしょうか。
赤峰:広告成果と実際の来店データの乖離を解消するため、まずは正確な計測環境を整備しました。その上で、来店予約を加速させるため、2025年秋頃から「DFO(ディープファネル最適化)」を導入しました。
従来は「メッセージアプリの友だち追加」のデータのみをTikTokに返していましたが、実際の「来店予約」のデータをTikTok側にフィードバックする仕組みを構築したのです。つなぎ込みの整理は根気が要る作業でしたが、サポート様と連携して正しいデータを最適化ロジックに返すようにしました。
その結果、DFOが機能し、Pangleによる「圧倒的な獲得量」を担保しながら、「来店につながる質の高いユーザーの獲得」という量と質の両立に成功しました。
丸野:TikTok for Businessの皆様が、ロジックに基づいた具体的な数値を提案してくださったので、迷わず「やるしかない」と腹を括ることができました。
TikTokのクリエイティブに必要なのは「遊び心」
━━クリエイティブ制作における課題は、「TikTok One」の活用でどのように乗り越えたのでしょうか。
山田:「TikTok One」は、トレンド素材のリサーチからクリエイターへの制作発注までを一気通貫で行えるプラットフォームです。
今回はこの発注機能をフル活用しました。モデルや役者さんをクリニック店舗へ直接派遣して素材撮影を行い、影響力のあるクリエイターをアサインして動画を制作・配信するアプローチをとりました。
丸野:自社や従来の代理店経由では、キャスティングのスピードが追いつかないボトルネックがありました。TikTok Oneを活用できたことで、継続的にクオリティの高い新規素材を追加できるようになり、非常に助かりました。
山田:クリエイティブ制作で多くの企業が挫折するのは、「継続フェーズ」でのリソース枯渇です。そこでサポート様とは「毎月必ず新規制作する」と決め、弊社がハブとなって制作スケジュールやタスク管理を徹底ガイドしました。結果、サポート様の社内リソースを圧迫せず、安定して新規素材を生み出す体制を構築できました。
丸野:私は社内のクリエイターに「クリエイティブで遊びなさい」と伝えています。自分たちが「おもしろい」と思えない動画は、ユーザーの心にも絶対に響かないからです。
医療広告ガイドラインの厳しさには最初苦戦しましたが、慣れてからはVlog風フォーマットに言葉遊びを加えたり、生成AI技術を活用した新しい見せ方を試したりと、遊び心を忘れずにバリエーションを模索し続けました。
━━TikTok for Businessのサポート体制についての印象はいかがですか。
丸野:一言で言って、極めて手厚いサポートでした。トレンドや数値の共有だけでなく、その時々の課題に合わせた提案が常に的確でした。広告の運用担当という枠を超え、まさに「同じプロジェクトを動かすチームメンバー」として並走していただいたことが、ここまでの成果に繋がったと確信しています。
CV数・予約数が2倍に!圧倒的なビジネス効果
━━年間を通じた取り組みの結果、どのようなビジネスインパクトが生まれましたか。
丸野:2025年上半期と2026年上半期の比較データにおいて、コンバージョン数はプラス102%(約2倍)に伸長しました。さらに特筆すべきは、獲得数が急拡大したにもかかわらず、その先の実来店に直結する「予約数」も同様に「約2倍」に伸びている点です。
一般的に母数を急拡大させると予約率や来店率は低下しがちですが、Pangleによる「量拡大」とDFOによる「質向上」の両利きの施策が実を結び、高いリード質を維持できていることが証明されました。
━━出稿前後で、TikTok広告に対する社内の印象やクライアント側の反響に変化はありましたか。
丸野:効果の合わないプラットフォームは予算抑制を打診されるのが常ですが、TikTok広告に関してはそうした話は一切出ていません。予算を維持・拡大できていること自体が、成果の証拠です。
社内でも主要な集客力を持つプラットフォームの一つとして認識されています。他の広告プラットフォーム経由の集客が一時的に落ち込んでも、TikTokが強い柱として支えてくれるため、組織全体の集客構造が非常に強くなりました。
山田:私たちが担当する多くの美容クリニック案件と比較しても、サポート様の成果は圧倒的です。その要因は、サポート様の驚異的な「検証量」と「フットワークの軽さ」にあります。チャットで提案してから10分後には「設定完了しました」と返ってくるような意思決定の早さと密な連携こそが、このビジネスインパクトを支えています。
再現性のあるTikTok広告の活用方法を確立する
━━美容・ヘルスケア領域のTikTok広告活用を成功させる上で、マーケターが押さえるべき一番のコツは何でしょうか。
赤峰:まずはベストプラクティスを「無理」と言わずに、愚直に試してみることです。これらは、多くのクライアント様や代理店様が泥臭く積み重ねてきたデータに基づいた「最も成功確率の高い近道」だからです。
山田:もう一つは「審査制限の解像度を高めること」です。美容・ヘルスケア領域は広告のガイドラインが厳しく、掲載OK・NGの線引きが分からず挫折する企業が非常に多いです。
だからこそ、プラットフォーマーの営業やコンサルチームと密に連携し、審査基準をクリアにした上でクリエイティブを企画・制作することが重要です。これにより、審査落ちによる無駄な工数を劇的に削減できます。
━━今後、TikTok広告をどのように活用していきたいですか。
丸野:自社で扱う他の案件や別チームにも、今回の成功ノウハウを横展開して拡大していきます。TikTokユーザーの成長スピードに負けないようにアップデートに対応したいです。
赤峰:今後も相性の良い新プロダクトや運用手法を率先して提案していきます。直近では、フィットネスと美容領域に特化した日本初の取り組み「TikTok Summer Fit & Beauty Fest」を2026年8月31日まで実施しております。
また、サマーシーズンに向けた各種プロモーションも展開しており、広告配信、クリエイティブ制作、ツール活用など、幅広い支援を行っています。
こうした取り組みを通じて、協賛いただくスポンサー様とTikTokユーザーとの接点を強化し、夏の需要期のマーケティング活動を後押ししていきます。該当する商品・サービスを扱う広告主様にはぜひご参加いただきたいです。
山田:美容・ヘルスケア業界には、TikTok広告を本格活用できていない、あるいは過去に失敗した企業様がまだ多くいらっしゃいます。
しかし、プロダクトは劇的に進化しています。現在では、1〜2店舗規模のエリアターゲティング設計であっても十分に攻略できるデータが蓄積されています。今後はこれらを「再現性のある支援」として広く届けることで、業界全体のマーケティングを盛り上げていきたいと考えています。

