営業生産性の向上は、マーケティングが鍵を握る
倉本(パーソルホールディングス):BtoBマーケティングと営業の融合について、まずは「営業生産性」という概念の整理と、パーソルの挑戦についてお話しさせてください。
2004年~マッキンゼー・アンド・カンパニーでBtoB営業・マーケティングのリーダーとして営業改革、グローバル成長戦略等を支援。現在パーソルホールディングスで営業生産性改革を推進。
倉本:私がマッキンゼー時代から取り組んできたテーマが「いかにして日本企業の営業生産性を上げるか」です。営業生産性を測る指標として「営業ROI」を定義していますが、これは粗利を営業コストで割ったものです。
倉本:日本企業とグローバル企業の営業ROIを比較したところ、製造業をはじめどの業界でも日本の生産性が低いことがわかりました。
営業ROIを改善するには、粗利を上げるか営業コストを下げるしかありません。しかし、価格の最適化やポートフォリオ改善、あるいはAIを活用して1人あたりの活動量を増やすといった施策は、営業組織単体で実行するのは困難です。なぜならすべての項目に、BtoBマーケティングが大きく影響しているからです。
営業コストに含まれないBtoBマーケティングを強化してその価値を発揮する、すなわち、BtoBマーケティングが「どの市場で、どのように勝つか(where to play,how to win)」といった勝ち筋を設計することが、営業生産性を上げる大きなレバーとなるでしょう。
人材からテクノロジー企業へ。パーソルが挑むブランド刷新
倉本:さらに多くの企業でAIが活用されている今、BtoBマーケティングの価値は大きく変わってきています。資料やレポートの作成、リードの獲得・育成といった営業支援および作業を中心とする従来のBtoBマーケティングは、AIに置き換えられてしまうでしょう。AI時代には、営業プロセスや勝ち筋の再設計、営業AIの教育、リードスコアリングではなく個別化したマーケティングなどを通して、BtoBマーケティング起点で営業生産性を高めていくことが求められているのです。
倉本:こうした背景を踏まえ、パーソルグループでは、BtoBマーケティングを新たな市場構築および顧客開拓を直接主導する「営業生産性エンジン」へと進化させる変革に挑んでいます。
この自社変革を進めるうえで大変参考になるのが、まさにブランディングを起点に営業とマーケティングの融合を実現されたNECの事例です。生成AIにより営業提案やコンテンツがコモディティ化しやすくなっている今、営業個人の魅力や企業の価値といったブランド設計が顧客に選ばれる条件となるからです。それでは帯刀さん、NECがどのような変革を推進されてきたのか、ぜひお話をお聞かせください。
