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サイト解析なくしてビジネスの成長なし
ビジネスイノベーター、ライフネット生命保険のAdobe SiteCatalyst活用術

時流に合わせたネタづくりで存在感をアピール

 さて、社内リソースの充実が図れた段階で、集客アップに向け本格的に動き出すことになる。保険という商材は、単純に次のアクションをとらせるのに最適化するという通常の勝ちロジックが通用しないところがある。検討期間が長い商材であるだけに、選択肢を多く与えた方が選びやすい。

 そこでまず同社のとった戦略は、時流に合わせた仕掛けを作り、サイトへ導く手法だ。例えば、ガソリン価格が高騰した時期には、ガソリン価格の高騰に皆の注目が集まっていたため、自動車のスピードメーター的なデザインのバナー広告を作り、クリックを誘発させたりした。Webでは時事ネタが最も反応がよいという特徴をうまく活用した事例だ。

 また、2009年11月には、ライフネット生命保険の原価を公開。この公開内容は、実際には保険手数料の実態を表すものとなり、メディアが注目。結果、次のような好循環が生まれた。

  1. メディアが取り上げ、はてなブックマークサービスで話題になる
  2. Yahoo!ニュースに取り上げられる→サイトへの流入増加
  3. サイトのページビューが増えたことをニュースリリースとして発表
  4. ニュースリリース配信サービスを用いて、3のニュースリリースを再配信
  5. 4により、3を見ていなかった人にも認知してもらう好機となり、2度目の波が起こる

 このようにしてページビューが集まったことにより、ライフネット生命保険に勢いがつき、メッセージコンセプトが固まり、骨太なメッセージを発信していく方向性が定まっていった。

3つの指標でサイト解析

 その結果、分母は充実。ここからアクセス解析ツールが活きるフェーズに入ってきた。広がるところから、絞り込んで組み立てていくという段階だ。この段階においてサイト解析を行う上で、指標として次の3つを重視している。

  1. (設定した)主要ページへの訪問率
  2. 申込手続き開始ボタンのクリック率
  3. 申込手続き開始ボタンをクリック~申込完了までの到達率

 まず、1については、必ず見せたい主要ページを10ページ弱ほど設けている。

 サイト訪問者全体の何%がこの主要ページに到達したかを見ることで、購買の意思をある程度持ってサイトへ訪問したか否かの指標とすることができる。1は日次で実績が把握できるため、週ごとにサイトの内容を修正しながらさらなる主要ページ到達率向上を図っている。

 次の2の段階になると、申し込む意思が明確でなければ押さないボタン。そのため、サイトに訪問した動機がポジティブなものか否かで、クリック率は大きく異なる。ここでは週単位の積み上げと、その月の流入要因は何か、という分析を掛け合わせた解析で見る必要がある。そのため、月次くらいのスパンで見て改善している。

 最後に3の工程になると、ログイン後の領域になってくるため、システム的にさまざまな絡みが出てくる。そのため、手を入れるのは四半期に1回程度となる。バグの問題などの微修正であればすぐに修正可能だが、申し込み時の不要な質問項目そのものを見直し精査するなど、アナログ的な作業も加わる。

 こうした改善をしても、実際に申し込み手続き上では、小さな数値の変化にすぎないとも言える。しかし、コスト的に考えた場合、ここで落ちる一人は、いくつものハードルを越えてきた一人となる。そのため、たとえ遷移率1%の差としても、大きなロスとなるため、ここを改善できるかどうかは重要課題となる。

 こうして見てくると、1~3の各段階では、実績把握→修正・改善の流れが次のようにまとめられる。

  • 1の段階:日単位→週単位
  • 2の段階:週単位→月単位
  • 3の段階:月単位→四半期単位

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この記事の著者

高澤 里美(タカサワ サトミ)

外資系IT調査会社での調査・分析、半導体産業新聞記者などIT関連分野で幅広く十数年の経験を積んだ後、フリーライターとして始動。IT分野を中心に、各種執筆活動を継続中。最近では、各種記事・原稿執筆に加え、IT関連企業各社のプレスリリース、ニュースレター、広報誌なども手掛ける。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2011/04/14 17:26 https://markezine.jp/article/detail/12256

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