Loyalty Framework 1.0
今日、私たちマーケターは割と簡単にカスタマー・インサイトという言葉を使いがちです。しかし、現実には顧客がどのような状況で何を考え、どのように行動しようとするものなのか、確実な裏付けなしに仮説だけで進めてしまっているプロジェクトが多いのではないでしょうか。
では、彼らの心理を読みとるためにはどのような評価軸が必要なのでしょう? 換言すれば、どのような傾向評価を把握すれば、彼をロイヤル顧客であると判断できるのでしょうか? やはり、確固たる調査→分析のメソドロジーが必要なのです。
実は、電通ワンダーマンはこの問題に古くから気付いており、RFM分析の単純な数値による判別だけではなく、顧客の心理までも考慮した「ファン層予備軍」の抽出と顧客育成のための調査・分析手法(ロイヤリティ・プログラム)を構築していました。そして1990年代後半には、すでにこのプログラムが実際にサービスメニューに加えられていたのです。現在では、このロイヤリティ・プログラムにさらに改良が加えられ、より精度の高い『Loyalty Framework 1.0』(以下LFW)となっています。ここでは、簡単にこのメソドロジーを解説していきましょう。
LFWは、突き詰めて言えば「DBマーケティングの分析手法に基づくセグメンテーション・メソッド」です。これにより、その企業(商品・サービス)にとって「ロイヤリティの高い顧客とはどんな人間」で「どこにいるのか」を明らかにし、彼らを理想的なポジション(ロイヤル顧客)へさまざまな施策を通じてドライブさせることができるのです。また、アプローチ方向も既顧客層の洗い出しだけでなく、不特定多数の中からのロイヤル顧客層予備軍を洗い出しアプローチするための市場セグメント、の二種類が可能になります。
LFWの最大の特長は、顧客の内面(インサイト)に存在する3つの要素を基軸とし、3次元のバーチャルな空間を展開する育成型の顧客モデルであるということです。3つの軸とは以下のようなものです。
- 心情軸(Commitment)
- 深度軸(Depth of Involvement)
- 行動軸(Desired Behaviors)
これらの軸上で、顧客が抱く行動面や感情面を数値化する概念だと思えばいいでしょう。その概念を図示すると下のようになります。