ロイヤル顧客へのドライブ手法
では、3つの軸設置からロイヤル顧客層の抽出は、どのような過程で行われるのでしょうか? ここでは実際のTransactionが発生する前の事例で見ていくことにしましょう。まず行うべきことは、各3軸のポジションを判定するためのアンケートです。
- 心情軸:該当企業のイメージの良さや親近感、好感度、満足度など。企業とユーザーの心情的結び付き・絆・社会的認知などの要素を計測する
- 深度軸:商品カテゴリーに対する意識やこだわり、保有する知識レベルといった、その商品に対する感度や思い入れの要素を計測する
- 行動軸:該当企業商品のオーナーになってからの年数、過去の保有経歴、次回の継続購入意向など、ユーザーレベルや購買実績で計測する
これらを導くための「想定判定設問」を用意し、実際に数値化させ、これを先程の3次元のプラットフォームに落とし込んでいくのです。もしTransactionデータを保有しているのであれば、この時点でマージします。
まず、それぞれの軸での評価(強さ)を「スケール」と呼ばれる単位で識別しましょう。例えばA氏の心情軸のスケールを1、深度軸を1、行動軸を1とすると、A氏のセグメントは1-1-1という3次元マトリクスで表されます。これが「アドレス」と呼ばれるプロットで、そのセグメントの全体における発生レートをパーセンテージで表すことができます。
アドレスのプロットについては、アンケート設問の設計と、その反応パターンによるルール設定が必要になります。その結果としてプロットされた各アドレスの特性に応じて、適切なアプローチ施策を実施することにより、望ましいアドレス(ここでは3-3-3)へとコントロール(ドライブ)させることができるのです。
最大ボリュームのアドレスを優先させてドライブするか、アドレスごとに細かくケアしていくかで若干異なりますが、ドライブ施策の立案は、軸別に強調ポイントを設定していくことが原則になります。例えば、次のようなものが考えられるでしょう。
- 心情軸:顧客の心象に訴えかけるエッセンスの強調。企業の社会貢献度のアピール、品質・サービス向上などの啓蒙施策、感謝・アフターサービスなどのアフターマーケティング施策
- 深度軸:思い入れやこだわりへの充足要素の強調。スペック情報や知識の伝授、一般顧客との情報の差別化、Tipsの提供
- 行動軸:スイッチングのためのコミュニケーションの強調。購入促進のためのオファーや値引きキャンペーン、ニーズを直接喚起させるためのスタイル提案
以上が、LFWのアウトラインになります。
ものすごく駆け足で述べてきましたので、実際の実施スキーム(PDCAサイクルが基軸になります)や、展開事例などを述べることができませんでした。これらは次回以降に、データベースの活用事例と合わせて解説することにしましょう。