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注目の若手社長が語った「ケータイ業界の過去・現在・未来」

清水
当時、ドワンゴは着メロ事業にシフトしつつあり、ゲームやテクノロジーを作ってた僕のような人間にとっては方向性が異なってきていました。それでこれ以上いても出世の望みがなかったので、辞めたのです。またニコニコ動画に関しては会社を辞めてから、アイデアを求められてアドバイスしたということです。
編集部
なるほど。現在の会社はドワンゴを卒業されたことがきっかけで設立されたのですか。また、某動画配信サービスの立ち上げに清水氏が関わっているというお話を業界ではよく伺っていますが。
清水
ドワンゴを卒業したあと、米DWANGO North America社の副社長などをしながらアメリカの携帯業界なども見たりして、日本で会社を立ち上げることにしたのです。いざやることになったらいろいろな人が「資金援助をしよう」というお声をいただきました。僕もiモード業界長かったので、「清水が金なくて困ってる」という噂を聞きつけ、前払いでの仕事依頼を申し出てくれたのです。また、動画配信サービスについては、独立してしばらくしてから、なにか新しいコミュニケーションサービスをやりたいという話をいただき、「名古屋大学で発明されたこんな面白いビデオ共有サービスがあるから、これを参考に動画コミュニティを作れば良いのではないか?」という提案をした程度です。
編集部
会社設立当初から現在のような業態だったんですか?
清水
かなり変わってきてますね、今は。ただし僕はこれまで携帯コンテンツとゲーム機を仕事としてやってきたのですが、その2つとも今の路線のままでは、未来がないなという気がしています。
編集部
その理由は?
清水
携帯のコンテンツがどんどん進化してきて気づいたら飽和状態になっているからです。アプリになって、昔のゲームをプレイするという、歌でいう「懐メロがもてはやされる」状況になってしまっています。カラオケも懐メロ主体になってから流行りが終わりました。懐古主義がメインになり、それしか儲からない世界になると、面白味は減っていきます。携帯コンテンツの市場もどんどん大きくなっていますが、「新しいものが出てきて評価される」ということが減っている。ゲーム機業界も似たような状況なのですが、こうしていろいろな点に絶望しつつ、携帯だけにこだわっていたら会社が滅びるだろうなと思っています。

だから弊社ではもっとコンピュータやコンピュータやネットワーク全般に関して渾然一体としたことをやりたいなと思っています。これが社名のユビキタスエンターテイメントの由来にもなっています。

モバイルコンテンツ業界に起きている問題

編集部
なぜ携帯コンテンツ業界はそのような危機的な事態に置かれているのでしょうか?
清水
2001年当時の携帯業界の大手コンテンツプロバイダはどの企業も好調でした。ですが現在はこれらの企業全てが儲かっている状態ではありません。これは2001年ごろから分かっていたことなんですよ。いろいろ原因はあるのですが、当時の好況の理由が、携帯電話関連事業がバブル状態にあったと言えるでしょう。例えば着メロは大変なブームになったけれども、そのブームが終わり、今度は着メロから着うたにユーザーの興味が移行しても、携帯コンテンツ企業は、サービスを着うたに移行しなかった。着うたサイトを持っていればブームの波に乗り売り上げを上げることができたはずですが、着うたでは著作権の関係で同じビジネスモデルではサービスを提供できなかったのです。

また携帯の「待ち受け画面」を販売するサービスが流行ったけれどもそれはブームでしかなかった。PCの世界でも昔は壁紙やスクリーンセーバーでお金をとって売っていましたが、今では販促物として無料で配るものです。携帯も同じです。待ち受け画面だけでなく、デジタルコンテンツ全体がお金をもらうことができなくなっています。例えばアバターみたいなものを昔は売っていましたが、今は、ユーザーが買うものではなく、スポンサーに入ってもらい、スポンサーの商品を購入する時に、「アバターがゲットできる」というサービスのように、ユーザーではなくアバターを企業に買ってもらっています。要するにこれも販促物です。スクリーンセーバー、壁紙、ブログパーツもそうですが、これらは全部販促物に業態転換しています。だから今、モバイル業界で一番元気なのはモバゲータウンを展開するDeNAさんなんです。
ケータイゲーム&SNSサイト「モバゲータウン」は2007年に5月に会員数が500万人突破、1日の最高PV数は4億超と発表された
編集部
今まで売れていたものが業態が変わって売れなくなってしまったんですね。

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儲けるためには「ビジネスパイプラインを作れ」

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MarkeZine編集部(マーケジンヘンシュウブ)

デジタルを中心とした広告/マーケティングの最新動向を発信する専門メディアの編集部です。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2007/07/04 08:00 https://markezine.jp/article/detail/1288

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