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「リード数」ではなく「質の高いリード」を求める時代に グローバル企業におけるリードナーチャリング

リードナーチャリングとは

 リードナーチャリングとは、いつ買うのかというタイミングに関係なく見込客が購入を決意するまでの間、関係を構築するプロセスである。ここで言う見込客とは、すべてのリードではなく、自分たちが売りたい客、買ってくれそうな客を指す。

 言いかえれば、すぐに商談や案件・受注に繋がらない場合、見込客が購入(または検討)するまでの間、様々な情報を提供しコミュニケーションを継続することによって、自社製品・サービスの興味を高めていくマーケティング活動(過程)や取り組み(手段)を行うことと言える。

 つまり、水面下(オンライン)で顧客の状況を押さえておき、タイミングを見計らうという対面営業でのノウハウを応用した考え方なのである。

 なぜリードナーチャリングが必要なのか。BtoBマーケティングサービスを提供するMarketo,Inc.では次にように定義している。

 “自社サイトに訪れる見込客の95%は情報を探すために来ており、その70%が最終的に自社または競合企業から製品を購入している。したがってマーケティング担当者と営業担当者は、見込客のあらゆる興味段階において、お互いに協力し合いながら、質の高い情報やコンテンツをタイムリーかつ状況に応じて提供しなければならない”

 「日本企業のWebサイトを見てみると、商品情報、会社概要、ニュースリリースなどしかなく、それで本当にナーチャリングできるのかと、疑問を持たずにはいられない。コンテンツ不足の会社が本当に多い」(上島氏)リードナーチャリングの重要性を説くために、上島氏はBtoBにおけるリード増加と案件・商談化までの関係をグラフ化したスライドを紹介した。

 これは左が2004年時点、右が2010年時点を表している。Webマーケティングの普及により、リードの母数となるWeb来訪者は約10倍に増え、リード獲得数も約40倍増えている。これにともない、提案案件獲得数も約20倍になっているが、ここで注意したいのが案件化までにかかった平均期間が2004年時には2.5ヶ月だったのに対し、2010年には6ヶ月にまで伸びている点である。

 この期間は年々伸びる傾向にあり、案件数が増えたからといって喜んでいるだけではいけないと上島氏は指摘。リードから案件化までに落とした人たちを分析すると、何度もWebに来訪していることが分かるはずであり、リードの行動を可視化することから、必要なコンテンツやチャネルを選定していく重要性を説いた。

有効なリードの見極め方(クオリフィケーション)

 リードとは、受注までに必要な個人に紐づくすべての情報を意味する。つまり、SFAに顧客情報として登録するような、個人情報や名刺情報だけとは限らないのだ。標準的なスコアリング指標として、上島氏は次の項目を紹介した。

 どのような行動が見込度の高い客か、ホットリードとなるのか判断するためには、次のような項目を洗い出し、シナリオに沿ったWeb施策が重要となる。

 不動産業界であれば土地を所有しているか? 戸建てなのかマンションなのか? など、契約に繋がる情報すべてをリード情報として管理していくといった要領だ。この項目は、リードナーチャリングの進んでいるアメリカでは、現職の年数、過去の受賞履歴、社会の影響度など、FacebookやLinkedInからも情報を取得して活用しているという。

リードナーチャリングの実行に必要な要素

 リードナーチャリングを実行する際に必要なものは、正しいプロセス、コンテンツ、データ、そして人材の準備をしておくことであると語る上島氏。ここまでの内容をまとめると、以下の表になる。

 顧客のリード情報は、提供コンテンツのギブアンドテイクで集めるということを肝に命じよう。リードは1回フォームを通過したら終わりというわけではない。しっかりとリードを見極め、ナーチャリングをしながら、さらに詳細なリード情報を獲得していくことが大切だ。この手法を実現するためには、コンテンツマーケッターの育成と、デジタルマーケティング組織を持つことが一番の近道である。

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この記事の著者

野本 纏花(ノモト マドカ)

1983年生まれ。成蹊大学経済学部卒業。大学卒業後、大手IT企業にてレンタルサーバーサービスのマーケティングを担当。その後、モバイル系ベンチャーにてマーケティング・プロダクトマネージャーを務める傍ら、ライター業を開始。旅行関連企業のソーシャルメディアマーケターを経て、2011年1月Writing&Marketing Com...

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MarkeZine(マーケジン)
2011/09/16 16:45 https://markezine.jp/article/detail/14404

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