全体のInView率を上げることが最適解ではない
下図は、弊社・フリークアウトのDSPをご活用いただいている、ある広告主様の事例(500万インプレッション程度のデータ)です。緑色の折れ線グラフをご覧ください。
InView率が高い広告枠は、当然買付に必要なCPMも高くなります。このため、単純にInView率が高い広告枠のみに配信先を絞っていくと、平均CPMも高騰します。
Viewable Impressionsの議論では、どうしてもInView率が悪い広告枠を低く評価しがちです。例えば Inview率50%の広告枠の場合、50%は確かにユーザーの可視範囲に入っていません。しかし逆に言うと、50%は見られる可能性があるインプレッションです。この広告枠を停止すると、InViewしている 50%についても失うことになります。
このような理由から、キャンペーン全体のInView率を上げるように配信先を絞るのではなく、Viewable Impressionを購入するために必要なCPMベースで、広告枠の精査を行う必要があります。この、Viewable Impressionを1,000回表示するために必要なコストを「CPVM」(Cost Per Viewable Mille)とします。
上図の水色の棒グラフは、CPVMを表しています。例えば、InView率90%の広告枠群の場合、CPVMは118円でした。このように見てみると、InView率が40~50%と低めの広告枠も、そもそものCPM単価が安いため、CPVMも低くなり、InView率80~90%の高品質な広告枠と比較してもROIが高くなっています。
目的ごと異なる、Viewable Impressions計測の必要性
Viewable Impressionsは、CPA(Cost Per Action)やCPC(Cost Per Click)を重視するダイレクトレスポンス系の広告主様にとっては、必ずしも有効な評価指標ではありません。CPAなどの効果指標に対して運用最適化をしていくのであれば、広告枠の精査もCPA、CPCベースで行われるべきだからです。
フリークアウトでは、配信可能な1,000万近い広告枠それぞれのCPA、CPC実績値から配信先コントロールができるため、InView率を測定するコストを支払い、パフォーマンスの改善を行う合理的な理由がないと考えています。
逆に、インプレッションが「見られている」ことを重視するリッチメディア広告配信や認知形成、需要喚起、検索移行を目的とするキャンペーンにおいては、Viewable Impressionsをいかに安く多く買い付けられるかが重要になるため、InView率を指標とした運用改善は効果的です。
このように、キャンペーンの目標によって InView率に基づいた運用をすべきかは異なります。アドテクノロジーの世界では、技術進化に伴い様々な新しい概念が登場しますが、冷静な目で自社にとって予算投下すべき有効な施策足り得るかを見極める必要があります。
現在、フリークアウトでは、一部のメディアと連携し、InViewし始めてから広告枠買付の意思決定を行っています。これにより、買付前にInViewしているかをリアルタイムに把握できるため、広告枠の停止以上に細かい粒度で最適化を行うことができます。今後、このようなさらなる進化が本領域においても考えられるでしょう。
次回は弊社・フリークアウトの「広告停止機能」から取得できるデータを公開し、どういった広告原稿がいつ、どんな理由で、何回目の接触時に停止されるかをご紹介しながら、ユーザーに「嫌われない」ための広告配信手法についてご説明します。