ゲームの構造と似ている「Web上でのおもてなし的接客の仕組み」
では、このような接客行為をWeb上で行うには、どうすればいいのでしょうか。先ほどのように接客行為を分解することで、その秘訣が見えてきます。
Web上では、ユーザの行動は「サイト遷移」という切り口から、ひと通り観察することができます。つまり、どんな行動をしたユーザに対して、どのようなアクションをとるのか(=どのような反応を返すのか)ということは、ルールを作ることで表現できるのです。そしてデータを見ていくことで、そのアクションによってユーザの行動がどう変化したのかもわかります。その結果を見てルールを改善していくことで、Web上での接客手法を磨いていきます。
実はこの構造は、ゲームそのものの仕組みとよく似ています。ゲーム内ではプレイヤーがいろいろな行動をしますが、ある一定の行動をとったプレイヤーに対しては特定の反応を返します。ゲームであれば、それは次に進むためのメッセージやヒントであったり、新しい扉が開くことであったり、自分のレベルが上がることだったりします。
ちなみに米国で立ち上がり始めているゲーミフィケーションSaaSベンダーが提供する仕組みも基本的にはこのような考え方に則って作られています。Web上でのユーザの行動をトラッキングし、特定の行動を取ったユーザに対してバッジを付与したり、経験値を付与したりするルールを決めておいて、ルールを満たした際に何を反応として返すのかを設定する、という仕組みです。
「自分で探してね」から「案内するWebサイト」へ
一つ目の事例は「エヴァストア」というECサイトの事例です。エヴァンゲリオンという作品の公式関連グッズを販売しています(この仕組自体は期間限定キャンペーンとして実施されたもので、今は終了しています)。
最初にサイトを訪れたユーザーに対して、上図のようなポップアップのフキダシを表示してみます。接客的表現で表すと、これは「ご案内」と言えるでしょう。「初めてでよくわからないと思いますので簡単に説明しますね」という感じです。実際にこれは左下にある「次へ」を押していくことで、このページのどこをたどれば何があるのかということを紹介していくようになっています。
初めてサイトを訪れたユーザーは、当然初めてなので、サイトのどこに何があるのかわかりません。「自分で色々見て探してね」というのがこれまでのWebのあり方でしたが、このような丁寧な案内をしてくれるサイトは、ユーザーにとってはありがたいですよね。
ちなみにゲームの世界では、初めてのプレイヤーに対して「チュートリアル」というモードがよく用意されています。これはゲームの基本的な操作方法や、システムの説明などを実際にプレイしながら学べるモードです。このようにサイトのどこに行けば何があるのかといったことを教えてくれるWebサイトは、まだあまりありません。逆を言えば、たったこれだけのことではありますが、ここを改善するだけで、直帰率の削減にはかなりの効果を発揮します。
