動画広告を主軸にしたクロスチャネルプロモーション
山本:ソニー銀行といえば、日経金融機関ランキングで顧客満足度7年連続1位に輝いていますね。顧客満足度を重視する御社は、どのようなキャンペーンをされたのでしょうか?
中路:弊社は個人に特化したインターネット銀行で、約100万口座を保有しています。また、幅広い年収の方にご利用いただいています。弊社である調査を行ったところ、多くの方が「ATM手数料」を気にしていることが分かりました。そこで2013年12月から2014年2月にかけて「コンビニATM手数料0円」の告知キャンペーンを行いました。プロモーションはオンラインの動画広告を核に、共通フォーマットを使用して、PC、スマホ、新聞・雑誌、交通広告と、クロスチャネルで展開しました。
動画広告で活用したソリューションとしては、ビデオDSP『TubeMogul』をオムニバスの動画配信システム『OVX』につなぎ、マクロミルのリサーチを活用してブランドリフト調査を行いました。
山本:なぜ、動画広告をキャンペーンの主軸に据えたのですが?
中路:理由は3つあります。まず、記憶に紐づいた認知を最大化したかったことです。そして、動画が持つ興味の喚起力に強さがあると考えたこと。3つ目に、他のレスポンスメディアへのアトリビューション効果を期待したことです。
メジャメントで見えた動画広告の効果
山本:キャンペーンの結果はいかがでしたか?
中路:目標は視聴完了数が192万回、視聴単価は5.5円でした。『TubeMogul』と『Google True View』の2つのメニューを活用したのですが、結果としては視聴完了数が320万回で完全視聴率単価は2.9円。視聴効率の結果のインパクトは大きかったです。また、当初意識していなかったのですが、誘導効率でも非常に良い結果がでました。サイトへの誘導数は13.8万、CPCは68.1円でした。通常私たちが施策を行なっているDSPやアドネットワークでのCPCは100円前後なので、この誘導パワーは大きいと感じました。
さらに、動画広告を開始したことによりランディングページのPV数は1.8倍になりました。これまでは「どこかに出稿したら一時的に上がる」という波がありましたが、動画広告でPVが底上げされたことの現れです。ちなみに、群を抜いてPV数が増えたのは12月27日。この日にUstreamで配信された話題の番組中に広告が入ったことで、視聴数がスパイクしたようです。
アトリビューション効果について触れていきましょう。動画広告のキャンペーンは12月から2月まで掲載しましたが、露出ピークは1月でした。この間、ディスプレイ広告の施策はずっと行っています。次の図の赤線はディスプレイ広告のCPA、緑が視聴動画完了数です。
完全再生数が200万回を過ぎたあたりでCPAは急激に下がり、掲載が終了しても、戻りが少ないことから、一部ブランド想起があるのではないかと思っています。ディスプレイ広告CPAの獲得コストの変化を追ってみると、動画広告掲載中は7割減、掲載終了後は3割減となりました。この結果から、動画広告のアトリビューション効果を見ることができるでしょう。
山本:ブランドリフト調査は、どのような結果になったのでしょうか?
中路:ブランドリフト調査では認知率、興味関心率、ATM手数料0円認知率、態度変容率を調べました。動画広告の接触者は非接触者に比べて、すべてのスコアで2倍以上のリフト効果がありました。特に、一番の狙いだった「ATM手数料0円認知率」は75%に及びました。