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全米マーケティングアワード受賞!エクスペリアンCCMP 米アメリカンイーグルのクロスチャネルマーケティング最新事例紹介

 昨年から今年にかけて、「クロスチャネル・キャンペーンマネジメント」というキーワードを耳にする機会が増えた。そのような中、昨年のクリスマスに、大手アパレルブランド「American Eagle Outfitters」がExperian Cross-Channel Marketing Platform(CCMP)を用いて大きな成果を挙げ、米国で優秀なマーケティング成果に対して贈られる「eTail (Mobile Best-in-Class賞)」を受賞し大きな話題となった。施策を支援したエクスペリアングループの日本ブランチ、エクスペリアンジャパンCCMP戦略責任者源田真由美氏に、クロスチャネルマーケティングの成功ポイントについてうかがった。

急増する顧客との接点、マーケティングコントロールできていますか?

――「クロスチャネル・キャンペーンマネジメント」の有用性に注目が集まり、ツール(CCMS)も複数出始めています。こうした動きの背景を、どのように捉えていらっしゃいますか?

エクスペリアンジャパン株式会社
クロスチャネルマーケティング部 CCMP戦略責任者 源田真由美氏

 クロスチャネル・キャンペーンマネジメントが関心を持たれているのは、ひとことで言うとオムニチャネル化が進む中で「企業やブランドとお客様との接点が増えすぎて、マーケターがコミュニケーションをコントロールできなくなっている」からでしょう。

 オフライン・オンラインを含めた購買プロセスが複雑化する中、どのチャネルで、どんなタイミングで、どのようなコンテンツでアプローチすればいいのか。これら全ての要素をブランドがコントロールしないと、適切なコミュニケーションをしているとは言えない状況が生じています。

 そして、多様化する個々のお客様に合わせてそれらの詳細なアプローチを実行するのは、とても手作業ではできません。そこで、一人ひとりに対する最適なコミュニケーションを、チャネル横断(クロスチャネル)で自動的に実行できる、プラットフォームや手法が期待されているのだと思います。

 このプラットフォームや手法は、「クロスチャネル・キャンペーンマネジメントシステム(CCMS)」や「クロスチャネルマーケティングオートメーション」という呼称で呼ばれています。これらのプラットフォームは、一般的に言われている「キャンペーンマネジメントシステム(CMS)」とは異なり、メール、DSP広告、SMS、アプリプッシュ、コールセンター、ソーシャル等、複数のチャネルを横断してキャンペーンを設計し、マーケティングを実行できることが特徴です。

クロスチャネルキャンペーンマネジメントを実現する
「Experian Cross-Channel Marketing Platform」の概要図

 また、SNSが普及したことで、お客様はモノを購入した後にもブランドを代弁する発信者の役割を持つようになりました。購入して終わり、ではないのです。この点からも、購買後に長期的に接触する必要が生じています。その部分もカバーし、優良顧客の育成まで一貫して行える点も、クロスチャネル・キャンペーンマネジメントが注目されている要因です。

クロスチャネルマーケティングを実現するまでのステップ

――エクスペリアンではクロスチャネル・キャンペーンマネジメントを実現するソリューション「CCMP(Cross-Channel Marketing Platform)」を提供されています。先ほどの「購買プロセスの複雑化」を考えると、クロスチャネルにおけるマーケティングはもはや不可欠なのでしょうか?

 いえ、必ずしもそうではありません。もちろん、生活者の環境から考えればさまざまなチャネルで接触するのが理想ですが、それは各企業やブランドとお客様との関係によります。現状ではメルマガの一斉配信しかしていない、といった企業が一足飛びにクロスチャネルマーケティングの最適化を図るのは難しいでしょう。マーケティングを徐々に洗練させていく必要があります。

 エクスペリアンでは「マーケティング洗練曲線」として、4つのステップでマーケティングの最適化を支援しています。例えば、現状はメールアプローチのみを実行している場合、最初のステップであるシングルチャネルの最適化から始めますし、複数チャネルを使っている場合は次のステップに相当するマルチチャネルの最適化を図ります。

 3つ目のクロスチャネルマーケティングでは、それらを連携させたキャンペーン単位でのコミュニケーションを最適化します。メール、ソーシャル、Webサイト、それからコールセンター、DMや店舗といったオフラインも含めて、どのようなマーケティングアプローチを設計することがクライアントにとって効果的な結果につながるのかを検討し実行・実装します。

 最後は、複数のキャンペーンを通じ、長期的なコミュニケーションを最適化していく段階です。ここまで進めば、常に顧客一人ひとりに合ったアプローチが実現され、優良顧客の育成につながります。

急増する顧客接点を多角的にコントロールして、一人ひとりに最適なコミュニケーションを!

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エクスペリアンジャパンが提供するクロスチャネル・キャンペーンマネジメントを実現するソリュ―ション「CCMP(Cross-Channel Marketing Platform)」の詳細はこちら

米・カナダで800万人以上にリーチ!アメリカンイーグルのキャンペーン事例

――米エクスペリアンでは、昨年アパレルブランド「American Eagle Outfitters」(以下、アメリカンイーグル)のキャンペーンをサポートし、大きな成果を上げられたと聞きました。この事例について、詳しく教えていただけますか?

 欧米では、クリスマスシーズンに家族や友人同士でたくさんのプレゼントを交換します。当然、一人ひとりの出費は多くなりますよね。そこに注目し、クリスマス当日までの12日間、毎日豪華賞品やアメリカンイーグルのクーポン等が当たる懸賞企画「12 Days of Legendary Gifts」を行いました。

 キャンペーンにエントリーすると、毎日メールまたはショートメッセージ(SMS)が届き、URLからキャンペーンページに誘導されます。そこに描かれたギフトをクリックして開封すると、何が当たったかが分かる仕組みです。現金や旅行等、デイリーの目玉賞品の当選に加え、たとえ外れたとしてもアメリカンイーグルの商品割引クーポンがもらえます。プレゼントを購入するクリスマスシーズンということもあり、参加者は商品・クーポン等をブランドからもらえたことで意欲的に店頭に足を運んでくれるというわけです。

 Webサイト、TwitterやFacebookといったデジタルチャネルはもちろん、店頭やDM等あらゆる接点で告知したほか、参加者の多くがSNSで拡散したことによりエントリーはどんどん増え、最終的にアメリカとカナダで800万人以上のメール・SMS会員と接触しました。メール・SMSのCTRは非常に高く、CV(店舗内クーポン利用率)は全参加者の1.48%となりました。

キャンペーンの裏側で動いていた、データを活用したシナリオ設計

――とてもスケールの大きいキャンペーンだったのですね。そこに、エクスペリアンのCCMPはどう機能していたのですか?

 このようなキャンペーンは、スキームだけを見れば過去にも事例があると思います。CCMPを活用したことによるポイントは、参加者を既存の顧客データと紐づけて、また毎日のアクションもデータとして蓄積して優良顧客化を図ったことです。

 表向きは普通のキャンペーンでも、裏側ではすべてがデータで管理され、毎日どの参加者にどのプレゼントをすべきかが自動でコントロールされていたのです。もちろん、その情報は参加者には見えませんが、企業としてはキャンペーンを通してより多額の購買が見込める人や、より積極的に情報を拡散してくれる人と関係を構築したい意図があります。参加者をプロファイリングし、個々のお客様を成長させるシナリオを設計し、さらなるエンゲージメント強化を視野に誰にどう接触すべきかを分析した上で毎日のキャンペーンが実行されました。その結果がマーケティングキャンペーン成果を最大化したわけです。

CCMPでのシナリオ設計画面イメージ
(※アメリカンイーグルのプロモーションシナリオではありません)

 Facebookやモバイルアプリを通じた参加促進アプローチも一様ではなく、それぞれの顧客が好むチャネルで接触していたので、キャンペーン自体のリーチも最大化しました。

 お客様はひとつのシナリオでは完結しません。なので、可能性があるシナリオのすべてを想定しますが、それと同時に、そのお客様がどのシナリオをたどり、各接点でどんなアクションをしたかが、また次の分析のためのデータになります。ですから、クロスチャネル・キャンペーンマネジメントにおけるコミュニケーションは、次の購買につながるきっかけをお客様の情報に基づいて提供することでもあるのです。

急増する顧客接点を多角的にコントロールして、一人ひとりに最適なコミュニケーションを!

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単にツールを導入するだけでは不十分

――アメリカンイーグルのキャンペーンは単発の売上だけでなく、今後のエンゲージメント強化にも大きく貢献したのですね。CCMPを導入すれば、どの企業でもこうした展開は可能なのでしょうか?

 単にツールを導入するという意味合いでしたら、NOですね。私たちはシステムだけを売るITベンダーではなく、マーケティングソリューション専業のベンダーですので、最初に必ず企業やブランドのマーケティング課題からヒアリングしています。その点が他のツールの導入とは異なる部分であり、当社の強みです。

 クロスチャネル・キャンペーンマネジメントによって関係構築の最適化が自動で行えるようになったとしても、元になるデータの質が悪ければ、成果は得られません。だから、課題の解決にどんな種類のデータが必要で、それをどのようなキャンペーンで取得していくかを考えることが重要になります。

継続的にブランドと顧客の関係性を強化していく

――先の事例でも、今後の関係強化を見越してキャンペーン設計からエクスペリアンがかかわっていたからこそ、ここまでの成果を得られたということですね。

 もちろん、マーケティングの戦略立案はブランドが独自で、あるいはエージェンシー等とともに練っていくものですが、それに当社のデジタルマーケティングに関する知見やノウハウを融合させることにより、成果を最大化できたと言えると思います。

 特にデータの取得に関しては、お客様が積極的に参加するほど、精度の高いアクションデータが得られます。そのためには、先の事例もそうですが、“ワクワクするキャンペーン設計”が不可欠です。

 その上でCCMPを適切に運用すれば、継続的にブランドとの関係性を強化する土壌ができます。今、単にフォロワーが多いのではなく、ブランドのファンであり利益貢献や拡散をしてくれる「ソーシャルアンバサダー」を育てたいと多くの企業が希望していますが、その可能性がある消費者を見つけて、育成していくこともできるのです。そこまで行うには、やはり当社の人的な支援が欠かせないと考えています。

――最後に、日本でのサポート体制を教えていただけますか。

 外資系企業だと、日本に窓口はあっても実際の開発や個別フォローは本社が対応する体制が多いですが、当社は日本に製品開発部門や技術サポート部門があるので、日本のクライアントのニーズや課題にグローバルと連携してタイムリーに対応できます。日本市場ならではの事情も加味して、顧客育成のコンサルテーションからキャンペーンやコンテンツ戦略立案、クリエイティブ制作まで支援しています。

 今回はタイムリーな事例としてアメリカンイーグルのキャンペーンを紹介しましたが、CCMPは決して大規模なキャンペーン用のソリューションではありません。これまでメルマガの一斉配信しか行っていなかった企業が、メールのアプローチを最適化するだけでも、効果を大きく引き上げることができます。そうしたケースにも、十分当社が貢献できると思います。

急増する顧客接点を多角的にコントロールして、一人ひとりに最適なコミュニケーションを!

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この記事の著者

高島 知子(タカシマ トモコ)

 フリー編集者・ライター。主にビジネス系で活動(仕事をWEBにまとめています、詳細はこちらから)。関心領域は企業のコミュニケーション活動、個人の働き方など。

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MarkeZine(マーケジン)
2014/07/11 14:00 https://markezine.jp/article/detail/20318