メールも店舗も変わらない、鍵は「血の通ったシナリオ」
では、各ジャーニーにおける“ベストキャディ”な情報提供をどのように実現しているのだろうか。「Salesforce Marketing Cloud(以下、Marketing Cloud)」を活用して、顧客の履歴や志向などを分析。One to Oneメールの配信に使用されている。
「お客様との接点は様々ありますが、特にメールを重視しています。GDOのコンテンツはとにかく豊富で更新も頻繁なので、気づけないことも少なくありません。そこで、お客様に適した情報をお知らせするために、メールは大変有効なのです」(志賀氏)
とはいえ、頻繁すぎては鬱陶しがられ、内容がニーズと合っていなければ見てもらえなくなる。配信タイミングやメール内に盛り込む情報の精度には絶妙なチューニングが必要だ。
「お客様の文脈に合わせた情報を提供することが目的。Marketing Cloudのオートメーションスタジオという機能を使って70ほどのシナリオを用意し、それと合致した際にメールが発送される仕組みになっています。シナリオは、お客様が実際にサービスを利用される場面を詳細に分析して、何をどう提供すると喜ばれるのか、どのタイミングだと気づいてもらえるのか、お客様の視点から考えて作成しています」(大山氏)
例えば、ゴルフ場予約を検討する人は、予算や距離など自分の条件に見合うゴルフ場がどこなのかを知りたい。一方、予約をした人であれば、行き方や設備、予約したゴルフ場の攻略方法などが知りたい。このように情報の切り口は異なる。「リアルな接客と変わらない。密な人間関係をつくった上で『この店で買いたい』と思ってもらうことが大切です」(志賀氏)
ウェルカムメールは20通、それでも受け入れられる理由
関係づくりへの真摯さは、「ウェルカムプログラム」に約1か月の時間をかける点にも表れている。GDOは大きなポータルサイトだ。慣れていなければ必要な情報を探すにも労力がいる。通常は経験を通じて使い方を会得するが、同社では快適に利用してもらうためにまずはこのプログラムで情報を提供する。
「20通以上の内容を用意していますが、大量の情報を一度に配信するのではなく、段階的に理解してもらえるように工夫しています。社内でも当初は『こんなに出すの?』と驚かれましたが、全てを送りきるまで開封率は20%をほぼキープしているため、受け入れていただけていると考えています」(志賀氏)
かつては会員登録後にすぐ販促メールを配信していたが、徐々に開封率が減り最終的には5%以下程度だったという。販促よりも先に関係性の構築を目的とすることで、息の長い関係づくりに成功しているというわけだ。
また、実在の社員である“お客さま担当の原田”さんが送り主として文面を作成し、配信している点も大きいと両氏。「One to Oneメールというと機械的に自動化するイメージがあるかもしれませんが、担当者と話をするような雰囲気で、人の存在を感じてもらえることを大切にしています」(大山氏)
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ゴルフファンにベストキャディ―な情報を提供するGDO。その接客姿勢や情報提供の思想は本記事で紹介されましたが、具体的にはMarketing Cloudをどのように活用しているのでしょうか?
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