実現には守りと攻めの両方をカバーするデータ基盤が必要
まずデータ収集については、冒頭で触れたようにBtoCならスマートフォンを重要な接点として、今やオムニチャネルでさまざまな接点を設けることが可能になっている。ウェアラブルデバイスの発展や、IoT化によって壁やテーブルなどがデジタルデバイス化することによっても、接点はさらに増えるだろう。だが、得られるデータを一元化できないのでは意味がない。
つまりポイントになるのは、多種多様なデータの差分を吸収しながら格納できるデータベースだ。しかも、このデータベースに求められるのは、顧客データを扱うだけではない。前述のようにエコシステムにおける協業が発生すると、顧客への一括請求や、パートナー各社への個別の支払いも発生する。そのため、いわゆるバックオフィス業務も支えられる基盤が必要になる。
次にデータ活用の段階では、一転してマーケティングというフロント業務を扱うことになる。今、そこに欠かせない機能のひとつが、マーケティングオートメーションによる自動化だ。One to Oneのアプローチを実現し、マッチング性の高いオファーをしなければ、成果は上がらない。だが、そのためには高度な機械学習エンジンも必要になってくる。
つまり、バックオフィス業務とマーケティング、守りと攻めのように相反する2つをワンストップで高度に実現できる基盤とソリューションがあれば、顧客データから新たなビジネスモデルを生み育てる大きな後押しになるわけだ。
ビジネスを切り拓くITを一気通貫で担う「SAP Hybris」
実際のところ、こうした守りと攻めといった正反対の概念をひとつのパッケージソリューションにまとめるのは、極めて難しいと阿部氏は語る。いわゆる基幹業務ソリューションを伝統的に情報システム部が扱い、マーケティング系のソリューションはマーケティング部が扱ってきて、それらに互換性がないためにデータの有効活用どころか社内のデータベースの一元化もできない……という声が多いのも頷ける。
その点をクリアしているのが、SAPのデータ活用ソリューション「SAP Hybris」だ。多様なデータの一元化と高速処理が可能なデータベース「SAP HANA」を基盤に、バックオフィス業務から最先端のマーケティングまでを可能にする。
「データベースを中核に、守りから攻めまでのビジネスサポートを一気通貫で提供できるのは、今のところSAPが唯一のベンダーです」と阿部氏。それぞれの発想は、いってみれば思想が違うので、同じ企業文化の中からは生まれにくく、1社での提供は実現しづらいのだ。その点を、SAPでは顧客へ届ける価値を明確化した上で企業買収という形で解決し、高度にインテグレーションしながら実績を重ねてきた。
ソリューション導入時には、その企業にしっかりとフィットするようサポートする点もSAPらしい。「大事にしているのは、デザインシンキングです。単なるデータ管理ITではなく、ビジネスを推進するITを導入するわけなので、我々のような外部ベンダーがいい意味で触媒となって、継続的に運用できる意識の共有から体制づくりまでフォローします」と阿部氏。
顧客と密接になることで得られるデータを資産に、すでに新たなビジネスへチャレンジする企業が続々と出始めている。遅れをとる前に動くことはもはや必至といえそうだ。
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