2017年3月に開催された「MarkeZine Day Spring」では、『顧客と「つながる」マーケティングとは何か?企業が目指すべき姿を考える』と題して、消費者コミュニティを導入する資生堂ジャパンの仙田浩一郎氏とポッカサッポロの大槻洋揮氏が登壇。コミュニティ運営を行うクオンの武田隆氏をモデレーターに、異なるアプローチで消費者とコミュニケーションを試みる2社が、取り組みと目指すところを語り合った。
商品と消費者をつなぐコミュニティ作り
武田:本日のテーマは企業のソーシャルメディア活用、とりわけ消費者コミュニティというオウンドメディア上にコアなファンのネットワークを育成するという施策についてお話を伺いたいと思います。
資生堂ジャパン株式会社 EC事業推進部 コンテンツコミュニケーショングループ グループマネージャー 仙田浩一郎氏
クオン株式会社 代表取締役 武田隆氏
武田:資生堂さんはソーシャルメディアをどのように活用されているのでしょうか?
仙田:弊社には様々なブランドがありますが、ブランドごとのコミュニケーションだけでなく、「資生堂のブランドや商品、サービスが好き」と言ってもらえるような横断のコミュニケーションをするのが私たちの部署の仕事。様々なデジタルメディアを通じたブランドとファンの接点拡大と継続的な関係の深化に取り組んでいます。その中でSNSアカウントやコミュニティといったソーシャルメディアを重点的に活用しています。

具体的には、「化粧、美容関心層」といった見込みファン向けに「High School Girl?」というバイラルの動画のコミュニケーションや、「Beauty&Co.」という美容メディアの運営、最近ではメーキャップのハウツーをユーザーが投稿してシェアするアプリも始めました。そしてファン向けには、Facebook、Twitter、インスタグラムといった企業のSNSアカウント、ロイヤルファン向けにコミュニティを運営しています。ブランドを横断する部署なので、消費者視点で幅広いコンテンツを作りやすいのが利点だと考えています。
オープン型のポッカサッポロ、クローズ型の資生堂
武田:大槻さんはソーシャルメディアが登場する前からマーケティングをされてますが、ソーシャルメディアが出てきた当時、どう思われましたか。
大槻:ソーシャルメディアが出たときは、「新しいものが出たな」と感じたことを覚えています。メーカーと消費者が上下ではなくて横につながることができる。それは今までにはない特徴だと思い、ものすごくワクワクしました。一方、コミュニティサイトに目を向けるとポッカサッポロは消費者コミュニティ「じっくりコトコト ファンコミュニティ」を今年1月に立ち上げたばかり。ある意味、初心者です。
私たちの扱っている飲料・食品は低単価の商品なので、購入リスクもなく、刹那的な消費です。そのため、消費者も商品に対しての関与度が低い。何を買ったかをあまり意識しないんです。ですが、SNSというメディアを使えば、私たちのようなカテゴリーでも何か面白いことができるのではないかと思います。
武田:ポッカサッポロさんのコミュニティは、資生堂さんとは対照的に「みなさん、入ってきてください」というコミュニティですよね。
大槻:はい、私たちが運営しているのはオープン型のコミュニティです。当初は年間1万人を目標にしていたのですが、開始から1カ月間で9,800人の方が参加されるという、予想以上の集まりを見せています。新鮮な気持ちで生活者のつぶやきを聞けていますね。
武田:資生堂さんは、コアなファンから誘導して、小さく育ててだんだん大きくしていく方法を採っていますね。
仙田:先程少し触れましたが、ロイヤルファン向けに「おめかし会議」というコミュニティを用意しています。SNS上では資生堂の商品に対する投稿は非常に多いですが、ともだち同士の自由な会話の中では、どうしても散逸的になりがちです。コミュニティを作りその中で会話してもらうことで、もっと深い会話ができるのではないかと考えました。そのため新規より既存顧客、なかでもコアなファンをターゲットにしてロイヤルティを上げていく方向でコミュニティを運営しています。
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元永 知宏(モトナガ トモヒロ)
1968年、愛媛県生まれ。立教大学野球部4年時に、23年ぶりの東京六大学リーグ優勝を経験。ぴあ、KADOKAWAなど出版社勤務を経て、フリーランスに。『本田宗一郎 夢語録』、『羽生結弦語録』(ぴあ)などを編集。2016年10月に『期待はずれのドラフト1位』(岩波ジュニア新書)を上梓した。
※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です
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