ネガティブな話題も認知や好意形成のきっかけに
こんにちは、今回はいつも執筆しているスパイスボックス副社長の物延秀(もののべ しゅう)に代わって、スパイスボックスのコミュニケーションディレクター大月均(おおつき ひとし)が記事の執筆を担当させていただきます。
その時々の時流に合わせ、コンテンツがシェア拡散される理由を分析してきた本連載。過去記事では、国内で最もシェア拡散した様々な広告事例の解説のほか、広告に限らず映画、音楽、メディア、PR手法など、幅広い視点でコンテンツがシェア拡散される理由や背景を紐解いてきました。(連載記事の一覧はこちら)。
今回は、SNS上の生活者の話題や行動を起点としたプロモーション設計について取り上げます。SNS上の話題を巧みにプロモーションに昇華させた事例は色々ありますが、中には「ネガティブ」な話題を上手に転換し、自社の認知、好意形成につなげているものもあります。これら実際の事例を取り上げながら、今後、避けては通れないネガティブな口コミとの向き合い方、またネガティブな口コミさえもチャンスに変えるSNS起点のコミュニケーション設計のポイントを解説します。
SNS上にある自社のネガティブな話題はスルーが正解?
昨今、例えば日清「どん兵衛」のプロモーション(過去記事で解説しています、詳細はこちら)のように、企業やブランドについて生活者が自発的にSNS上で話題にしていることを、企業が取り上げてプロモーションに昇華させるという現象がしばしば起こっています。
SNSが生活者の情報プラットフォームとして大きな存在感を持つようになりました。今後、ソーシャルリスニングなどで抽出したSNS上の自社の話題を起点に、新たなプロモーションを企画・設計する企業の動きは加速していくと考えられます。
その際、避けて通れないのが「自社に関するネガティブな話題」をどう扱うかという問題です。現在では、SNSなどを使って生活者が様々な情報を得ることができ、企業が行う一方的な情報発信を鵜吞みにする時代ではありません。こうした環境の中では、自社に関するネガティブな話題を“隠す”ことはできないので、むしろ、ネガティブな話題の背後にある生活者の気持ちを“洞察した”コミュニケーション設計を行うことが重要となってきます。
ネット上のネガティブな話題を自社の認知、好意形成にまでつなげられている事例はまださほど多くはありませんが、海外を中心に少しずつ現れ始めています。次ページから実際の事例をご紹介します。