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予算配分で重視する指標は?

――1億円でもいくらでも、予算配分を考えるうえでは見るべき指標があると思います。皆さんはどんな指標を重視していますか?

鈴木:これまでの施策から費用と売上を集約してROIを算出し、よりROIが高い施策にさらに予算を配分するようにしています。データに基づいた意思決定が大事ですね。

緒方:弊社は広告をまったく利用していないんですが、基本的には鈴木さんと同じ考えです。売上とCPAから使える予算額を算出し、最適な配分をしていきます。

サラ:売上は第一として、その次に割引後の価格から送料を引いた利益額を重視しています。もちろんキャンペーンを実施するときは利益のためかユーザー登録のためかで見るところが異なります。どういう施策が効率がいいのかを検討して、よりよい施策に予算を配分するようにします。

サラ キム ペリーさん
サラ キム ペリーさん:Tokyo Otaku Mode Marketing & Merchandising Team Leader

――関連する質問として、新しいことをするための予算はどうやって獲得すればいいですか?

サラ説得材料を見つけるためのリサーチですね。Webだけでなく友達との会話なども含めて、どこかしらに説得するための情報があるはずです。それが見つからない場合は、その企画は後回しにしたほうがいいかもしれません。

 自分で判断できる範囲ならどんどんやっていくべきです。それが評価されて、より大きなことができるようになっていくんじゃないでしょうか。

緒方:僕は自分が意思決定者なので、部下からの提案を判断する基準をお話しします。結論から言うと、熱意が大事です。それと、提案の際は4Cの分析からのインサイト考察を必ずしっかりしてもらうようにしています。つまり、お客さんにどんな価値を提供するのかをドリルダウンして説明してもらうということです。

 とはいえ、大げさなことをあまりしたくないという気持ちもあり、熱意一発で通してしまうこともよくあります。部下がいいと思ったことを僕のところでストップさせてしまうのはよくないので、できるだけスムーズに実行できるようにしたいんです。ただやはり、当たり前なんですがインサイトが考えられてないとと的外れになるので、そこだけは欠かせません。

 自分たちがどれだけお客さんのことを考えているのか、そして自分たちがどれくらい楽しめているのかを大事にしています。

鈴木:僕も部下から提案を受ける立場ですが、信念と根拠が揃っていれば基本的にはOKを出します。自分が提案する際もそれを大事にしていますね。

鈴木幸尚さん
鈴木幸尚さん:freee オンラインマーケティングチーム ジャーマネ

――熱意や信念がキーワードかと思います。それはどんな形で表現すればいいんでしょうか。

緒方:ちゃんと調べているかどうかですね。たとえば「LINE@をやりたい」と言うだけだとダメで、ロジックを可能な限り積み上げて、調べられるだけ調べること。そしてできればテストする。それと、いかにお客さんを主語にしてプレゼンできるかも大事です。こける企画はだいたい顧客価値にフォーカスが合っていないときなんです。

 僕も提案者もお客さんの笑顔を想像できてテンションが上がること、それを決裁の根拠にしたいと思っています。これらの掛け合わせが熱意です。

サラ:やりたいことが大きすぎて難しい場合、もう少し小さいところ、できるところから始めるのも大事ですよね。弊社でも有料会員サービスの話が出たとき、まずは期間限定で有料会員を体験できるキャンペーンを行ったんです。それが非常に好評だったので、実際に有料会員サービスを始めました。

 このように小さいスケールで一度やってみて成果が出ると、本格的に取り組むときの説得材料になりますよね。

鈴木:僕も調べること、特に「なんとか実現するために何でもする」という行動面が大事だと考えています。弊社でも、コンバージョンレートを上げたいからとWebの複雑な画面を変更したいという提案をした人がいました。関係者が多く、取り組むのはなかなか難しい案件です。でも、その人は関係者全員とじっくりコミュニケーションして、開発者を動かしたんですよ。

 本当にやりたいと思ったら、そのために全力を尽くすこと。これが熱意ですね。

緒方:そういう能動性のある社員こそ財産ですよね。彼らのモチベーションを殺さないのが僕らマネジメント層の仕事だと思います。失敗したら僕らが怒られればいいんですよ。

パネルディスカッション

デジタルマーケティング、何から始める?

――最後の質問です。これからデジタルマーケティングを始めるとしたら、何から始めればいいでしょうか。

鈴木:名もなきスタートアップでBtoB向けの商品であるなら、ニーズが顕在化しているお客さんに届けたほうが即効性が高いです。なので、リスティング広告が最も効果的ではないかと思います。広告予算は全部リスティング広告に配分して、ある程度天井が見えたところで別の施策を検討すればいいんじゃないでしょうか。

 たとえば弊社の商品だと「会計ソフト」で検索する人にアプローチするのが最短で売上が上がります。そういう人はまさに今このとき困っているわけですから。

緒方:僕も鈴木さんのような会社ならリスティング広告をやりますね。ニーズが見えているのがなによりの強みです。

 弊社を例にすると、商品を売ってはいますが、本当に売りにしたいのは商品を使うことでお客さんの生活がちょっとよくなったり、日々が楽しくなったりすることなんです。なので、リターゲティング広告からやるといいと思います。

 FacebookやTwitterは、お客さんが「いいね」したりフォローしたりすれば、タイミングによってはその企業のメッセージがタイムラインで目に入り訴求が可能になるというものですが、フォローやいいねという行動は一定量の心的ハードルを乗り越える必要があります。しかし、リターゲティング広告はサイトに来さえすればいろいろなところで情報を提示・訴求できます。そう考えると一種のタイムラインのようなものだなと。分散型メディアの出し場の一つだと考えています。

 やはり、弊社は課題解決のソリューションとして商品を提供しているのではないので、自然と見せられる画像中心の広告が重要ですね。一方で、どこの媒体に広告が表示されるのかはきっちり管理しないといけません。

サラ:会社を立ち上げたばかりだと会員リストもないでしょうから、メルマガは打てません。しかしSNSをうまく活用することで成長を加速させられると思います。ゼロからの場合はターゲットを細かく狙うより、おおまかなターゲットに広くリーチできる手段がいいんです。インフルエンサーのフォロワーはまさにそうですよね。

 どんな会社でも、どの施策が有効なのか分析することが必要です。空振りしている施策にお金を出し続けるのはもったいないので、できるだけ早くしっかりしたデータを得て、自社にとって最適な手段を見つけるべきですね。

緒方恵さん(中川政七商店)、サラ キム ペリーさん(Tokyo Otaku Mode)、鈴木幸尚さん(freee)の3名が登壇したパネルディスカッションの動画はこちら!

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この記事の著者

渡部 拓也(ワタナベ タクヤ)

翔泳社所属。翔泳社から刊行した本の紹介記事などを執筆しています。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2018/06/07 11:06 https://markezine.jp/article/detail/27210

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