デジタルマーケティングで食べていくためにどんな戦略を立てたか
平野:それでは、各社がこれまでどんな戦略でここまで成長してきたのか、お聞きできればと思います。
前田:九州市場だけでは厳しいと考えていたので、都市部のクライアントを取っていくことを創業当初から考えていました。ただ人脈もネットワークもなかった。
そこで、「アドテック」や「ブランドサミット」といった業界の大きなイベントに参加して、参加者全員と名刺交換し、交換した人にはその日のうちにFacebookで友達リクエストをメッセージ付きで送ることをしました。そうしたイベントに毎年参加することで、人脈がまったくなかったところから現在は3500人ほどの友達ができ、業界の主要メンバーとはほとんどつながることができています。
つながりができれば事業の話に発展しますが、他社との差別化のためにもとがっていないとダメですよね。そこでECに強みがあることをアピールしていたら、業界のネットワークで仕事を紹介してもらえるようになって仕事の幅が広がっていきました。
本松:僕らのチームでは、まずはクライアントのマーケティングとセールスのデータを知ることを心がけました。それらを共有していただくことで、自分たちの仕事が「広告を売ること」ではなく「利益を提供すること」に変わる。
自分たちの仕事を広告という範囲に限定してしまうと、多くのクライアントに「CMやブラパネの枠を売りつけることで利益を得ている人たち」と思われてしまいます。そうではなく「広告だけに限らずクライアントに利益を提供することこそが、次の発注を生む」というスタンスで臨む。戦略というか、こうしたポリシーを大事にし続けることで、これまで組織としても成長することができたのだと思います。
杉山:アイアンドシーパートナーズを設立したとき、営業を育てて自社で営業をするのではなく、コンサルタントを育てたいと考えていました。広告代理店さんから声がかかったら、アサインして派遣できるようにしたい、と。
営業は広告代理店さんにお任せする代わりに、私たちはコンサルとしてデジタル広告の知識を蓄え、デジタル広告における多彩なソリューションをワンストップで提供できれば需要があると睨んだのです。だから、営業ではなく、デジタルの知見を持ったスタッフを育てることに投資する。それが売上につながっていて、継続しています。
平野:最初から自分たちの提供する価値を明確に絞られているのが印象的です。その結果が結びついていて、全国の代理店から多くの相談を受けていますよね。
杉山:私自身が広告代理店という業態が大好きなんですよね。レガシーだとか言われますけど、全然そんなことはない。ブランディング・分析・アイデアをもとにした実行力を備えているからこそ広告代理店には不朽の価値があります。
広告代理店さんが広告主と向き合うなかでデジタル領域のソリューションが必要になれば当社がお手伝いさせていただくとともに、協業するなかで総合代理店さんならではの知見を学ばせていただくことでともに成長していきたいと考えています。