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MarkeZine Day 2025 Retail

世界のマーケティング学者から学ぶ「勝てる」マーケティング思考

日本でモバイルペイメントを普及させるには?

モバイルペイメントが提供する価値を理解しよう!

 今回紹介する論文は韓国嶺南(ヨンナム)大学のキム先生、ミルスモノブ先生、ウエスタンイリノイ大学のリ先生が2010年に執筆された、もう7年も前の論文です。少し古いとお思いかもしれませんが、モバイルペイメントに関する基本的な考え方はこの論文に詰まっていると思います。

 彼らはモバイルペイメントを消費者が使おうという意思決定をするには大きく2つのポイントが重要になると言っています。(1)は「モバイルペイメントが提供する機能の理解」。(2)は「消費者の個人的特性差(新しいもの好きか、新しい決済に関する知識の有無)」です。

 まずモバイルペイメントの機能について3人の先生は下記4つの特徴を挙げています。

モバイルペイメントの機能

  1. Mobility=いつでも、どこでも、場所や時間を問わず使える点
  2. Reachability=直訳すると到達可能性となるが、つまりいつでもどこでもアクセスできる機能(たとえばオンラインバンキングを活用した残高照会機能や送金機能)
  3. Compatibility=直訳すると互換性となるが、これは現代の情報化社会においてシームレスに様々な端末や、デバイス環境においても正しく決済機能を果たすという意味と理解できる
  4. Convenience=まさに「利便性」

 これらだけがモバイルペイメントの機能的特徴かは検討の余地がありますが、上記の4点をモバイルペイメントの特徴として話すだけでも、社内でのモバイルペイメントに対する理解が深まるでしょう。

モバイルペイメント利用を自社のお客様は喜ぶのかどうかも確認しましょう!

 次に「個人的特性差」については、下記の2変数で構成されています。

個人的特性差

  1. 革新性、つまりそもそも「新しいもの好き」かどうか
  2. 知識差、つまり新しいサービスや商品を使いこなす知識を積極的に獲得しているかどうか

 この変数はつまり、新しいものに挑戦することが好きで、モバイルペイメントの理解に積極的な「アーリーアダプダー」なのか、世の中に普及してからじっくり新技術を使い出す「レートアダプター」なのかによってもモバイルペイメントの利用意向に差があることを示しています。

 この「アーリーアダプター」や「レートアダプター」という考え方は、実務家の方にもなじみのある「イノベーター理論」を適用しています。「イノベーター理論」は1962年にアメリカ・スタンフォード大学の社会学者、エベレット・M・ロジャース教授(Everett M. Rogers)が提唱したイノベーション普及に関する理論として有名です。

 つまり、新しいものが普及する時には「すぐ手を出す人」「出さない人」がいるということです。このあたりの考え方を自社のお客様に当てはめてみることも、モバイルペイメント導入を決める際に重要な要素ですね。自社のお客様がどちらかというと「新しいもの好き」なのか、ちょっと「保守的」なのか? このあたりのブランドイメージも押さえて上で提案をしていくことも大切です。

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理論的背景も重要—新テクノロジー対応を技術受容モデルで探る

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この記事の著者

奥谷 孝司(オクタニ タカシ)

オイシックス・ラ・大地株式会社 専門役員COCO(Chief Omni-Channel Officer)
株式会社顧客時間 共同CEO 取締役
株式会社イー・ロジット 社外取締役
株式会社Engagement Commerce Lab. 代表取締役

1997年良品計画入社。3年の店舗経験の後、取引先の商社に出向しドイツ駐在。家具、雑貨関連の商品開発や貿易業務に従事。帰国後、海外のプロダクトデザイナーとのコラボレーションを手掛ける「Worl...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2017/11/27 08:00 https://markezine.jp/article/detail/27495

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