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MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

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MarkeZine Day 2025 Retail

定期誌『MarkeZine』特集

プログラマティックTVが現実に テレビ広告の進化と未来

Q3.オンライン広告買い付けのハードルは越えられる?

小出:今、有園さんがおっしゃったオンライン広告買い付けは、枠の売買を自動化する、フローを簡単にするイメージが大きいと思いますが、それは枠ごとの視聴者の細かい属性を把握した上で、予約型で購入するということですか?それとも我々が最終的に目指す、枠の向こうに男性なのか女性なのかの視聴者が発生した単位ごとに、リアルタイムで出し分けるという、RTBも含むのでしょうか?

有園:その点では、複数社が予約を入れて、配信時に出し分けるようなイメージで話をしていました。つまり、今はRTBは含まれないです。そこは、実現するとしたら段階的になるのかもしれないですね。

長山:補足すると、プログラマティックとリアルタイムビッティングは、一時期ディスプレイでは同義に扱われていました。広義の概念としては、プログラマティックは「人が行っていたプロセスをソフトウェアで置換すること」であり、リアルタイムも当然含まれますが、必ずしもリアルタイムとは限らないですね。

有園:その部分も含めて、小出さん、先ほどのオンライン広告買い付けは、広告主の立場だと歓迎ですか? それともハードルがありますか?

小出:両方ですね。ワークフローの効率化とスピード感、ターゲットをリアルタイムで判別して広告を出し分けることは、歓迎です。

 無駄なターゲット露出は、各メディアで起こっています。ターゲティングが大きな売り物になっているのは、実は雑誌ですね。我々だと、各種美容雑誌とは極めて親和性が高い。そして、デジタルは雑誌のようなターゲティングを可能にした上で、出稿や差し替えの時間的な柔軟性を実現してくれました。雑誌もそうですが、テレビCMも、数ヵ月前に発注完了して1〜2週間前入稿というのはかなり縛られるので、ターゲティングとタイミングの問題がクリアになるのは広告主にとってはインパクトのある進化です。

A3.業界の商習慣や人的調整のシステム化がカギ

有園:では、ハードルとは?

小出:まさに先ほど有園さんがおっしゃった、業界の商習慣がリセットされてしまうのではないか、という点です。決して従来の習慣にこだわっているということではないのですが、もしその買い付けシステムがどの広告主にも同じ価格で開示されるなら……。

有園:あ、それは懸念されるのはもっともですね。当たり前ですが、広告枠の価格は相手によって変わるので、年間100億円を投じているクライアントと今年3億円のテレビCMを始めたクライアントを同等に扱うことにはならないでしょう。そこは、ログイン情報で広告主ごとに価格や表示自体を変えるのは、技術的には可能ですよね?

長山:まったく問題ないですね。

有園:なおかつ、敢えて私から申し上げると、このダイレクト買い付けが可能になると、代理店が要らないのではという点も浮上します。プランニングなどの観点から、システム操作も代理店が代行することもあるでしょうが、資生堂のように企画制作を内製していると、直接できますよね?

小出:可能性としては、あり得ると思います。ただ、我々に見えていない世界で、広告会社とテレビ局との間には何かがあるのでは、と。

有園:何かは、ありますね(笑)。

小出:(笑)。そうなると、ダイレクトになることで不自由になるのかもしれないという気はします。

有園:確かに、仮に代理店が抜けたとすると、業界の商習慣やこれまで人的に調整されてきたことがごっそり消える可能性はありそうです。そのシステム化は、価格よりは難しそうですが、どうでしょう?

長山:そこは技術的な制約よりも、商習慣やケースバイケースの設定、長年の人間関係などを皆さんが一斉に棚卸しして、峻別できるかどうかにかかってくると思います。その後のシステム化はそう困難ではないと思いますが、この足並みをそろえるのがカギですね。どこかが強烈に敵を作ってでも、リーダーシップを発揮して動かしていくことが、必要になるのでは。

有園:それは、電通でしょうね。ご指摘の棚卸しと峻別が簡単ではないことは百も承知ですが、そこを越えないと、ネット広告と同等の仕組みに近づかないということですね。

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Q4.プログラマティックTV、日本ではいつ機能する?

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この記事の著者

高島 知子(タカシマ トモコ)

 フリー編集者・ライター。主にビジネス系で活動(仕事をWEBにまとめています、詳細はこちらから)。関心領域は企業のコミュニケーション活動、個人の働き方など。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

安成 蓉子(編集部)(ヤスナリ ヨウコ)

MarkeZine編集部 編集長
1985年山口県生まれ。慶應義塾大学文学部卒業。専門商社で営業を経験し、2012年株式会社翔泳社に入社。マーケティング専門メディア『MarkeZine』の編集・企画・運営に携わる。2016年、雑誌『MarkeZine』を創刊し、サブスクリプション事業を開始。編集業務と並行して、デジタル時代に適した出版社・ウェブメディアの新ビジネスモデル構築に取り組んでいる。2019年4月、編集長就任。プライベートでは2児の母。

★編集...

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MarkeZine(マーケジン)
2021/02/25 18:00 https://markezine.jp/article/detail/27765

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