客足増にTwitterで挑戦したスシロー
最後に登壇したのは、あきんどスシロー(以下、スシロー)のコミュニケーション企画推進室の齋藤晃範氏だ。
回転寿司業界トップのスシローだが、2017年は既存店の客数が前年同月比でマイナスと伸び悩んでいた。デジタルマーケティング施策を行うも客数への影響は弱く、客数を増加させるコミュニケーションへの課題があったという。
「期間限定メニューの情報を最適なタイミングで発信する必要がありましたが、テレビCMやチラシ、店内ツール中心のコミュニケーションでは、デジタルシフトしたお客様のライフスタイルに合っていません。さらに社内では、新しい施策への抵抗感がありました」(齋藤氏)
しかし齋藤氏は、Twitter社へのヒアリングから「Twitterで会話量を最大化する仕掛けを作ると、バズが生まれる。想像しきれない効果が出るのでは」と仮説を立て、社内を調整。トライアル予算の確保に至る。
そして初めてのTwitterキャンペーンとなったのが、「スシロー頂上ネタ決戦 生本マグロVS生キングサーモン」だ。ベーシックな対決というフォーマットだったが、カンバセーショナルカードを活用し、お食事券のインセンティブも用意した。結果、Impが10倍、フォロワーも2倍、投票数55,000という数値を記録する。
限られた予算内でTwitterのメディアパワーを実感した齋藤氏は、その効果を次のように分析している。
「まず、Twitterには圧倒的な拡散力があります。利用者が面白さを感じキャンペーンに参加すると、キーワードがトレンドに登場し、そこからまた参加が増えるというサイクルがあります。これがTwitterのすごさであり、無限の可能性があると感じました」(齋藤氏)
さらに、ファン化や態度変容を起こしやすい参加型であること。そして、投票やアンケートなど多様な機能と柔軟な企画性で勝負ができることもポイントに挙げた。140文字という字数制限があるからこそ、ユニークな発想につながると感じたそうだ。
成功には、社内協力と振り返りがマスト
現在、継続的にTwitterキャンペーンを行っているスシロー。活用に必要なのは、「お客様に寄り添った言葉」「プロモーション」「機能の活用」の3つだという。特に「プロモーション費用を用意しないと、Twitterキャンペーンは勝てないという時代になっている」と齋藤氏。
ゆえにスシローは、注力する「90円祭」のキャンペーンでプロモトレンドを実施。昨年・一昨年と比べ、良い結果が店頭に出ており、投資するだけの価値があると判断している。
最後に、広報や法務など交えた社内の協力体制の構築や、自社なりのKPIを定めて、Twitterの振り返りを行うべきと、運用面にも言及した齋藤氏。変化し続けるマーケティングへの前向きな意欲を次のように語り、セッションを終えた。
「時代の動きをとらえ、瞬間ごとに最適なアクション、クリエイティブを発信するチャレンジが必要です。それが最終的に売り上げへ貢献できるのではないでしょうか」(齋藤氏)