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アドテック東京 2018

プロとして、女性として~生活者の課題に寄り添うマーケターの視点

ユーザーインサイトをマーケの「上流」に反映するために

 消費財のブランディングとマーケティングの経験をこれからフィンテック領域で発揮していこうとしているリュウ氏は、消費財から金融に転身し、周囲からは驚かれたという。だが、その分、全く違う業界で自身の経験をどう活かせるかが「自分の中では、今取り組みがいがあること」と話す。同時に、新商品を発案からリリースまで最短1日で実現できるという、金融商品ならではのスピード感にも関心を寄せる。

 そんなリュウ氏は、今注目しているマーケティングの変化とその取り組みとして「ユーザーインサイトの発掘と、それを商品開発段階に活かすプロセスや仕組みづくり」を挙げる。

株式会社FOLIO CMO リュウ シーチャウ氏
株式会社FOLIO CMO リュウ シーチャウ氏

 「マーケティングの要素は、本来、コンセプト開発や製品デザインにも入れるべき。今まではそうしてきたが、金融では、『商品はもうできていて明日ローンチ、さてマーケティングをどうするか』と相談されることが多い。ユーザーインサイトをつかみ、それをもっと上流で反映しようとしている」(リュウ氏)

 また、サービスの発信者側と受け手側の間には、気づかず齟齬が起きていることもある。リュウ氏が直近で体感した例では、金融リテラシーのある人にとっては「日本株だけを持つのはリスク」というのは常識だが、10万円程度から投資できるFOLIOでターゲットとしている人には「海外株はリスク、日本株だけでいい」という認識が思いがけず大きかったという。「これを踏まえると、商品設計からコミュニケーションまで、我々のターゲットが理解できるように作る必要がある。まさに、今これを考えているところ」とリュウ氏。

出世を気にせず生活者を見つめる女性の視点

ベクトルグループ 取締役副社長 吉柳さおり氏
ベクトルグループ 取締役副社長 吉柳さおり氏

 ここまでの話を振り返り、吉柳氏は「皆さんの姿勢は『プロダクトありきでマーケティングを考えるのではなく生活者の悩みやインサイトを起点に提案していく』ことが共通している生活者の環境や暮らしを見つめ、そこにパートナーとしてプロダクトやサービスがあるという観点こそ、マーケティングで考えるべきことだろう」と話す。

 続いて今回、まだまだ少ない女性CMOのみでセッションを展開していることに触れ「特に消費財は女性がターゲットであることが多いので、女性の視点が活かせるという文脈で女性マーケターの利点が語られることが多いが、どう考えているか」と問いかける。

 これに対しリュウ氏は、「マーケターに関わらず、プロフェッショナルとして女性で働くことは、結果的に良かったなと思うポジションや出世を気にせず、本当にユーザーにとって正しいと思うこととストレートに向かっていけるから」と語る。自身の経験や周囲のケースからも、その強い思いがビジネスにつながり、役職についたという流れが少なくないそうだ。

 また小和田氏は、マーケティング職で活躍する女性がなかなか増えないことについて、「当社でも大きな課題」と話す。前述の思いの強さに同意しながら、同時に「周囲に育ててもらった」という自身の実感をもって、貫く部分と結果を出すことの両方を重視することが大事だと話す。

 「本人の努力だけではどうしようもないことも、たくさんある。その中で周りを味方につけ『あいつなら仕方ない、協力しよう』と応援してもらうには、やはり結果の積み重ねが求められると思う」(小和田氏)

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「可愛い!」の一言を理解できる強み

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この記事の著者

高島 知子(タカシマ トモコ)

 フリー編集者・ライター。主にビジネス系で活動(仕事をWEBにまとめています、詳細はこちらから)。関心領域は企業のコミュニケーション活動、個人の働き方など。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2018/11/09 08:00 https://markezine.jp/article/detail/29533

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