FinTechという言葉と同時に今広がりつつあるのが、API公開によって形成されつつある経済圏「APIエコノミー」だ。金融業界をはじめ、不動産や医療情報といった様々な業界でのAPI公開や活用が進むことで、異業種間の連携による新規ビジネスの創出や、ユーザーの利便性向上などが実現している。日本アイ・ビー・エムの早川ゆき氏は、「技術的には相当のことが実現可能な状態。さらなる発展の課題は、社会的な理解が進むことでは」と話す。
※本記事は、2018年11月25日刊行の定期誌『MarkeZine』35号に掲載したものです。
安全にデータ連携できるAPIがビジネスを生み出す

日本アイ・ビー・エム株式会社 クラウドテクニカル・セールス統括部
エグゼクティブ・アーキテクト 早川ゆき(はやかわ・ゆき)氏
東京外国語大学卒業後、日本IBM入社。DBスペシャリストとして有名ECサイト構築を複数経験した後、IBMアジアパシフィックに出向、アジア諸国とコラボレーションしてWebアプリケーション提案を推進した。日本IBM帰任後はメガバンク担当ソフトウエア・アーキテクトとしてグローバル・システム連携を推進。現在はIBMCloud所属エグゼクティブ・アーキテクトとしてインテグレーション分野を担当。業界を超えるAPIエコノミーの魅力に大いに共感し、多様な業界にてAPIエコノミー推進を提案している。
――早川さんは、FinTechやAPIエコノミーについて複数のメディアが主催するセミナーなどに登壇され、その可能性を解説されています。ただ、ご自身はFinTechの専門家というわけではない、と。アーキテクトという肩書きでいらっしゃいますが、APIの専門家なのですか?
APIの専門家ではなく、元々はシステム設計者であるアーキテクトという役割の中で、システム同士をつなぐインテグレーション・アーキテクチャの専門家なんです。その“つなぐ”という点では、以前は別の技術が主流でしたが、この5年ほどでAPIがアプリ開発者を中心に大きく支持されてきて、それに応じる形でベンダーがAPI管理ソリューションを出してきました。当社も「IBM API Connect」という製品をクラウド事業本部が提供しており、アーキテクトが企業のAPI公開を推進するようになりました。
当初、API管理ソリューションを紹介するセミナーなどをしていたのですが、そのうち「そもそもまだ管理するAPIがない。どういうAPIを作ればビジネスに役立つのか」という相談が増えてきたので、製品紹介ではなくAPIエコノミー自体の理解促進を担うようになったんです。APIは確かに金融系から活用が始まり、それがわかりやすかったのでFinTechとセットで語られることが多いですが、業界を問わず活かせる技術です。海外には既に多様な事例があり、日本でも保険や運輸、旅行、不動産、医療・健康、ファッション、行政機関などの業界で模索が始まっており、どんどんおもしろくなっているところです。
――APIは、必ずしも金融業界に紐付く技術ではないのですね。
そうなんです。したがって「APIエコノミー」とは金融に限らず、安全性を保って企業間や企業と個人との間でデータ連携をして、新たなビジネスを生み出す経済圏、と言い換えられるかと思います。
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高島 知子(タカシマ トモコ)
フリー編集者・ライター。主にビジネス系で活動(仕事をWEBにまとめています、詳細はこちらから)。関心領域は企業のコミュニケーション活動、個人の働き方など。
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