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GLAYならではのコンテンツでエンゲージメント向上 「アーティスト×位置情報」の持つ可能性

 2018年8月、ロックバンドのGLAYは、函館で行った野外ライブの開催に合わせて、同バンドの公式アプリ内で「GLAY NAVIGATION」(以下、グレナビ)という企画を実施。グレナビでは函館の街を舞台に、位置情報を活用してファンが喜ぶ体験を届けた。本稿では同企画の関係者に位置情報を活用した経緯、またそれによって得られた効果を聞いた。

GLAYゆかりの地を巡る企画を

 グレナビは、2018年8月23~27日の5日間限定で函館の街を舞台に行われたキャンペーン。GLAYは同年8月25、26日に故郷の北海道・函館で大型野外ライブ「GLAY × HOKKAIDO 150 GLORIOUS MILLION DOLLAR NIGHT Vol.3」を開催しており、それに合わせて企画されたものだ。

グレナビ画像

 具体的には、GLAY公式アプリをダウンロードしたユーザーが函館市内に点在するメンバーゆかりの地19ヵ所に近づくと、プッシュ通知が送られてくる。そこでアプリを開くと、GLAYの楽曲を聴きながら、メンバーがそのスポットの思い出やバンドの裏話を話してくれるという内容だ。その企画には、電通ライブとバスキュールが推進する「音声ARシステム」を採用。それを可能にした技術が、ブログウォッチャーが提供する機能拡張ツール「プロファイルパスポートSDK」だ。

グレナビイメージ図

 しかしながら、なぜ今回位置情報を活用したキャンペーンの実施に至ったのだろうか。ラバーソウルの担当者によれば、2018年2月に「GLAY公式アプリ」をリリースしたことが大きいという。同アプリではGLAYの楽曲やミュージックビデオ、音楽ライブ映像を配信しており、その他にも多くのオリジナルコンテンツが楽しめる。すべてのサービスを利用するには月会費の支払いが必要という、サブスクリプション型のサービスとなっている。

 アーティストが単独でサブスクリプション型のアプリを提供するというのは、珍しい取り組みだ。アプリリリースに関して、ラバーソウル担当者は以下のように語った。

 「音楽を聴く選択肢がCDだけではなくダウンロード、最近では定額制の音楽ストリーミング配信サービスと広がりを見せています。そうなるとファンの皆さんのニーズも変わるでしょうし、我々としてはその変化にいち早く対応したいと思い、アプリをリリースしました」(ラバーソウル担当者)

 リリース後、アプリのインストール数は伸びていたが、よりユーザーへのサービスの向上を考えた同社は函館の野外ライブでアプリを絡めたキャンペーンの実施を考え、電通ライブへと相談を持ち掛けたという。

位置情報で叶える新たなユーザー体験

 そして、様々な相談をする中で、電通ライブの松本健佑氏がおもしろい提案をしてきた。同社は2018年より「音声AR(拡張現実)」に注力していた。一般的にARは視覚情報を中心に拡張するものが多いが、電通ライブは聴覚にフォーカスしたARができないかと考え、音声ARの提供をスタート。松本氏は「特にアーティストと相性がいい」とラバーソウルに提案したという。

電通ライブ 松本健佑氏
株式会社電通/株式会社電通ライブ
エクスペリエンスプランナー 松本健佑氏

 「音声AR事業の成果が少しずつ出てきたところで、コンテンツパワーのあるアーティストさんと一緒に企画を進めたいと考えていました。その時、日本の誰もが知っているGLAYさんがいち早くサブスクリプションでアプリを提供しているのを知りました。強い音楽の力と新たな取り組みにチャレンジする姿に親和性を感じ、『場所と音楽とファンをつなぐ』提案をさせていただきました」(松本氏)

 この提案を受けラバーソウルは、2018年8月に行われる函館の野外ライブで、電通ライブと取り組みを行うことに決めた。こうして、グレナビの実現へと動き出した両社だったが、1つ大きな問題が残されていた。それは、函館での位置情報の取得方法だ。

 グレナビでは函館内に19ヵ所のスポットを設定しており、その範囲も広く屋外の場所も多いため、ビーコンの設置は難しかった。その中で両者が様々な検討を進めた結果、最適だと判断したのがGPSだった。松本氏は、電通社内でいろいろと聞き取りを行い、ブログウォッチャーに相談を持ち掛けたという。

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この記事の著者

畑中 杏樹(ハタナカ アズキ)

フリーランスライター。広告・マーケティング系出版社の雑誌編集を経てフリーランスに。デジタルマーケティング、広告宣伝、SP分野を中心にWebや雑誌で執筆中。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

道上 飛翔(編集部)(ミチカミ ツバサ)

1991年生まれ。法政大学社会学部を2014年に卒業後、インターネット専業広告代理店へ入社し営業業務を行う。アドテクノロジーへの知的好奇心から読んでいたMarkeZineをきっかけに、2015年4月に翔泳社へ入社。7月よりMarkeZine編集部にジョインし、下っ端編集者として日々修業した結果、2020年4月より副...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2019/01/29 09:00 https://markezine.jp/article/detail/30132

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