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第106号(2024年10月号)
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マーケティングを経営ごとに 識者のInsight

マーケティングとは市場創造 創業時から変わらぬ精神を商品に込めて

 「ポッキー」をはじめ、ポップで楽しいイメージの商品がいくつも思い浮かぶ江崎グリコだが、その一方で、糖質オフアイス「SUNAO」やアーモンド飲料「アーモンド効果」といった健康を切り口とする商品群も好調だ。新規性の高い商品を根付かせるためには、健康増進のベネフィットを生活者に理解してもらうパブリックリレーションズ構築を含めた長期的なマーケティング戦略が必要になる。「その難しさを押しても、市場を創造するのが我々の使命」と、健康事業・新規事業マーケティング部を率いる木村幸生氏は語る。

※本記事は、2019年3月25日刊行の定期誌『MarkeZine』39号に掲載したものです。

マーケティングの機能を部門化して強化

江崎グリコ株式会社 マーケティング本部 健康事業・新規事業マーケティング部 部長
木村幸生(きむら・ゆきお)氏

江崎グリコに入社後、冷菓営業を担当した後、現在のマーケティング部へ異動。マーケティング部では、冷菓・菓子・新製品など、ほぼすべてのジャンルを経験。2016年10月より、健康事業・新規事業マーケティング部部長。健康を軸に、菓子・食品・冷菓など幅広い温度帯のブランドを扱う部門を率いる。

――御社は、マス広告だけでなく戦略PRやデジタルなどを融合させた施策に積極的な印象があり、今回取材させていただきたいと思いました。たとえば、糖質オフのアイス「SUNAO」では、「世界糖尿病デー」を切り口に、専門家を招いたプレスセミナーやPR活動をされていましたよね。

 そうですね、2017年の施策です。皆様に親しんでいただいている大阪・道頓堀のグリコサインで、世界糖尿病デーを応援する特別仕様のサイネージを掲出したりもしました。「SUNAO」は十数年、「カロリーコントロールアイス」という名称で展開していたのを2017年にブランド刷新したものです。その名称のままでは広がらないと考え、社内でたくさんの議論を重ねた上でリブランディングしました。ごく一般の方も手に取りやすくする一方で、専門家やメディアをパートナーとして健康増進のアプローチも継続しています。

――木村さんは「健康事業・新規事業マーケティング部」を統括されていますが、製品カテゴリーではなく機能の軸で部を分けているのは特徴的ですね。まず、マーケティングの体制についてうかがえますか?

 食品や飲料では事業部制やカンパニー制の会社も増えてきましたが、当社は製品単位でのそうした縦割りはありません。大きく、マーケティング本部、セールス本部、調達や製造を担うSCM本部※1があり、それぞれ連携しています。

 マーケティング本部の下に、チョコレートや乳製品などカテゴリー別のマーケティング部があり、それらと並列した部のひとつが「健康事業・新規事業マーケティング部」です。おっしゃったように、「健康」という顧客にとってのベネフィット軸で部を区切っているのはあまりないケースだと思いますね。

※1 SCMとは、サプライチェーン・マネジメントの略。供給(原材料調達)から最終消費者(店舗など)までの流れを統合的に見て、プロセス全体の効率化と最適化を図る部署を指す。

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この記事の著者

高島 知子(タカシマ トモコ)

 フリー編集者・ライター。主にビジネス系で活動(仕事をWEBにまとめています、詳細はこちらから)。関心領域は企業のコミュニケーション活動、個人の働き方など。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

安成 蓉子(編集部)(ヤスナリ ヨウコ)

MarkeZine編集部 編集長
1985年山口県生まれ。慶應義塾大学文学部卒業。専門商社で営業を経験し、2012年株式会社翔泳社に入社。マーケティング専門メディア『MarkeZine』の編集・企画・運営に携わる。2016年、雑誌『MarkeZine』を創刊し、サブスクリプション事業を開始。編集業務と並行して、デジタル時代に適した出版社・ウェブメディアの新ビジネスモデル構築に取り組んでいる。2019年4月、編集長就任。プライベートでは2児の母。

★編集...

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MarkeZine(マーケジン)
2019/03/25 13:00 https://markezine.jp/article/detail/30617

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