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定期誌『MarkeZine』特集

マーケと人事が手を取り合った村田製作所の採用マーケティング実践

カスタマージャーニーを参考にWebサイトをリニューアル

――続いてのWebサイトリニューアルは、どのような結果に?

村田製作所 企画管理本部 人事グループ 人事部 グローバル企画課 中島 彰氏
村田製作所 企画管理本部 人事グループ 人事部 グローバル企画課 中島 彰氏

中島:サイトリニューアルはSEO対策も含め、ターゲット学生に合わせたデザインと情報の刷新をコンセプトに進めました。スマホ最適化にも取り組んでいます。評価指標は、来訪者数とPV・閲覧ページ数。そして滞在時間と直帰数を見ました。いずれも前年度より数値が上がりましたね。広告からの流入を、しっかりと受け止められたと思います。

 また採用サイトは、マーケティング部が制作しました。このとき、人事担当者やターゲット学生と世代の近い若手社員を集めて、ディスカッションし、ペルソナを設定しています。そこからカスタマージャーニーを作成し、Webサイトを再構築しました。動画コンテンツや1日の仕事の流れ、女性や職種ごとのキャリアパスの説明ページなどを増やし、Webサイトのてこ入れをしています。

村田製作所 マーケティング&コミュニケーション部 部長 内海 克也氏
村田製作所 マーケティング&コミュニケーション部 部長 内海 克也氏

内海:結果サマリーとしては、やはりモバイルからのアクセスが多いことが挙げられます。リクルートサイトは、スマホファーストであると実感しました。また、リニューアルで追加した業界ポジションやキャリアパスのページ閲覧が伸び、ES提出に貢献できていました。SEO対策にも、一定の効果が出ています。サイト内回遊を促進するためのサイト出し分け施策は、狙いどおりに回遊率を高められましたし、事務系・技術系の分岐を作ったため、学生の属性に合ったページをレコメンドすることができています。サイトの出し分けは、ES提出促進には大きく影響しなかったのは残念ですが、マーケティングオートメーションツールを活用できた施策です。

関口:ES提出促進メールも成果が出ました。ターゲット学生・文系学生・理系学生それぞれにメールを配信し、非配信学生よりもターゲット学生・文系学生においては、ES提出の促進ができています。2015年度と比較をしても、メール配信後にES提出が増えていることから、効果があったと考えています。クリック率も高かったので、学生のリマインドにもつながったのではないでしょうか。

人事領域にテクノロジーは必須課題はオペレーション

――それぞれの施策が、貢献できたと。初めての取り組みで成果が出た背景には、マーケティング部と人事部の協力体制があったからこそと感じました。どのような体制で、プロジェクトを進めたのでしょうか。

内海:プロジェクトを提案したこともあり、専任を2名立ててマーケティング部が主導しました。こちらから人事にお願いしたのは、採用課題の整理とターゲット人材像を含めた採用計画ですね。また、メールの文面などのチェックもお願いしました。動画コンテンツへの出演など、協力して進めることができています。当社は、部署間の協力体制が取りやすい環境があるんです。一方、大変だったことは、MAのデータ設定です。人事用のデータベースをMAへ移行する必要があり、当時はマニュアル対応だったため、時間がかかりました。

――マーケティング部では、どのようなことに気をつけましたか。

内海:今回のプロジェクトは、マーケティング部にMAのスペシャリストがおり、運用も一緒に行ったからこそ、実現できたことも多いと思います。他にも、マーケティングの言葉を人事の言葉に置き換えて、理解し合いました。

 今後は、人事領域にもテクノロジーが必須になると思います。新卒採用のプロジェクトができたのも、MAが導入されていたから。Webサイトをリニューアルし、ネット広告を出稿したから、集客が増えたのです。テクノロジーやツールなしでは、ここまでの成果は出せなかったでしょう。しかし、ツールを動かすことが人事本来の仕事ではありません。オペレーションは、それに慣れた人・部署がサポートすべきだと思います。

――新卒採用プロジェクトはトライアルとのことで、新たな課題や次に活かせる事例が得られたのではと思います。最後に、今後の展望をお聞かせください。

内海:このプロジェクトを経て、広報がYouTubeやInstagramなどへの出稿を一部続け、採用マーケティングを引き継いでくれています。今年は、テレビCMと合わせて、社員を“○○系さん”と紹介する動画コンテンツをリリースしました。改めてプロジェクトを振り返っても、テレビCMを有効活用することが大事だと思います。単独で放送するのではなく、Webサイトと連動させ、エントリーにつながる仕組みの検討や実施が必要です。

村田製作所 人事部 採用課 シニアマネージャー 関口 晴巳氏
村田製作所 人事部 採用課 シニアマネージャー 関口 晴巳氏

関口:次の目標は、プロジェクトの結果を基に中途採用へデジタルマーケティングを取り入れることです。中途採用に関してはエージェントからも多大な協力をいただいているので、タスクの整理をしていくところから進めたいと考えています。

内海:新卒も中途採用に関しても、課題を整理してデジタルマーケティングでできることを仕組み化し、オペレーションの体制まで整えなくてはなりません。その先はCRMと同じで、ESやWebテストのデータ、面接記録などを分析し、内定者や辞退者の傾向を把握して、選考プロセスの改善につなげられたらと思います。業務マッチングの参考にもできると思うんですよね。ビジネスサイドではCRMを活用していますので、その知見を採用マーケティングに活用できたらと考えています。

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この記事の著者

マチコマキ(マチコマキ)

広告営業&WEBディレクター出身のビジネスライター。専門は、BtoBプロダクトの導入事例や、広告、デジタルマーケティング。オウンドメディア編集長業務、コンテンツマーケティング支援やUXライティングなど、文章にまつわる仕事に幅広く関わる。ポートフォリオはこちらをご参考ください。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

安成 蓉子(編集部)(ヤスナリ ヨウコ)

MarkeZine編集部 編集長
1985年山口県生まれ。慶應義塾大学文学部卒業。専門商社で営業を経験し、2012年株式会社翔泳社に入社。マーケティング専門メディア『MarkeZine』の編集・企画・運営に携わる。2016年、雑誌『MarkeZine』を創刊し、サブスクリプション事業を開始。編集業務と並行して、デジタル時代に適した出版社・ウェブメディアの新ビジネスモデル構築に取り組んでいる。2019年4月、編集長就任。プライベートでは2児の母。

★編集...

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MarkeZine(マーケジン)
2019/03/25 13:30 https://markezine.jp/article/detail/30620

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