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MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

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MarkeZine Day 2026 Spring

定期誌『MarkeZine』特集

マーケと人事が手を取り合った村田製作所の採用マーケティング実践

オフライン×オンラインの総合プランニングで各部の知見を最大化

――では、どのような取り組みをされたのかお聞かせください。

内海:大きくは3つです。1つ目は、学生の心理態度ファネルを作成すること。2つ目はファネルに対応するメディアの設計。そして3つ目に、施策の実行と振り返りです。まずファネルは、企業認知・行動・活動認知・就職意向・応募と分けました。そして、企業認知はテレビCM、行動後の活動認知以降は自社ホームページを軸に、あらゆるメディアや広告を交え、総合的なプランニングを作っていきました(図表2)。

図表2 採用マーケティングにおけるファネル設計
図表2 採用マーケティングにおけるファネル設計

――デジタルマーケティング施策だけではなく、テレビCMも活用したのですね。

関口:やはり認知で大事なことは、キャズムです。それでも「村田製作所」の名前を知っているだけでは、就職対象やエントリーにはつながりません。広報では毎年、エントリーした学生を対象に、当社の認知経路をヒアリングしています。すると、「村田製作所がいいんじゃないか」という保護者からの薦めや、大学・先生からの影響が強い傾向があるんです。当社を広告やWebで知っていても、最後の一押しが必要。ですから、人事の大学訪問やセミナーは大切ですし、年末年始に出稿するテレビCMも、保護者層への認知という狙いがあります。

内海:BtoBマーケティングがオンラインのみで完結しないように、人の行動や関心はオンラインとオフラインを行き来します。ターゲット学生はWebで情報を集めながら、説明会やセミナー、OB・OG訪問を行います。オフラインもしっかり取り組まないと、効果が出ないのではと考えたのです。オフラインによる採用活動は人事に知見がありますから、広報のプロモーション活動と連動させ、総合的なプランニングを行いました。

5つの施策でエントリー数・ES提出数が増加

――施策立案にあたっては、どのような点を重視しましたか。

村田製作所 企画管理本部 人事グループ 人事部 企画課 市来 朗真氏
村田製作所 企画管理本部 人事グループ 人事部 企画課 市来 朗真氏

市来:採用プロセスを分析して見えてきた仮説は、そもそもターゲット学生のエントリー数が少なく、さらにエントリー後もエントリーシート(ES)を提出していないのではないかということ。そこで、学生の新卒サイト流入増とエントリー数・ES提出数増加をゴールとした5つの施策を考えました。

関口:まず、集客のための施策として、動画広告とディスプレイ広告の2施策。そして3つ目に、Webサイトのデザインリニューアルとコンテンツを拡充する施策を立てました。また、4つ目の施策として、採用ページに事務系と技術系職種の選択肢を提示し、ページの出し分けを行いました。ES提出期間には、トップページに「ESを提出する」と掲載するほか、5つ目の施策にESの提出促進メール配信を行っています。総合結果としては、2015年度に比べ、エントリー数は約10%増、ES提出数は約60%増。ES提出率も前年より4.3%改善と大きく上回る結果になりました。

内海:細かく施策を振り返っていきますと、動画広告はYouTubeとFacebook、Twitterを、それぞれPC版で約1ヵ月実施しました。18歳から24歳をターゲティングし、3本のクリエイティブを配信しています。リーチボリュームはやはりテレビが圧倒的ですが、約75%がWebと重複しています。また、テレビCMでリーチできない層にも届いており、調査でも、テレビCMと動画広告の両方を実施するのが効果的という結果が出ています。ディスプレイ広告も、考えていた以上の集客につながり、目標へ一定量の貢献をしています。

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カスタマージャーニーを参考にWebサイトをリニューアル

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この記事の著者

マチコマキ(マチコマキ)

広告営業&WEBディレクター出身のビジネスライター。専門は、BtoBプロダクトの導入事例や、広告、デジタルマーケティング。オウンドメディア編集長業務、コンテンツマーケティング支援やUXライティングなど、文章にまつわる仕事に幅広く関わる。ポートフォリオはこちらをご参考ください。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

安成 蓉子(編集部)(ヤスナリ ヨウコ)

MarkeZine編集部 編集長
1985年山口県生まれ。慶應義塾大学文学部卒業。専門商社で営業を経験し、2012年株式会社翔泳社に入社。マーケティング専門メディア『MarkeZine』の編集・企画・運営に携わる。2016年、雑誌『MarkeZine』を創刊し、サブスクリプション事業を開始。編集業務と並行して、デジタル時代に適した出版社・ウェブメディアの新ビジネスモデル構築に取り組んでいる。2019年4月、編集長就任。プライベートでは2児の母。

★編集...

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MarkeZine(マーケジン)
2019/03/25 13:30 https://markezine.jp/article/detail/30620

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