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NECのBtoBデジタルマーケティングの進化とABMの推進

アノニマスのビジターをナーチャリングプロセスに誘導

 ABMの取り組みで成果を出し始めたNECであるが、2018年からはもう一段のレベルアップに向け、新規リード獲得の新しい取り組みを積極的に進めている。会員データベースに新規の見込み客を取り込むために注目したのが、企業サイトのビジターである。一般にBtoBの企業サイトに来る人の9割がどこの誰かがわからない「アノニマス」の存在とされている。その人たちを会員データベースに取り込み、ナーチャリングプロセスに誘導することを考えたのだ。

 そのために「Adobe」、「Tealium」、「KARTE」といったテクノロジーを導入し、会員データベースとの照合を試みた。東海林氏はやってみてわかったことが2つあると明かす。一つは、通勤時間帯にモバイルでアクセスする層へのアプローチが必要ということだ。データを検証した結果、デバイス比率は3割がモバイル、4人に1人がマルチデバイスと、活発に情報収集を行うリピーターが存在することが浮かび上がった。

 もう一つは新しい事業に関するコンテンツへのアクセスが多いことだ。アノニマスの興味対象を分析した結果、「スタートアップ」「AI」「ものづくり」などのコンテンツへのアクセスが多いことがわかった。

社会課題の解決をともに行うパートナーシップを構築

 新規リード獲得に関しては、NUA(NEC C&Cシステムユーザー会)・NEC主催の年次イベント「C&C ユーザーフォーラム & iEXPO」への来場を促すことにも取り組んだ。SNS広告やタイアップ記事を見ての来場登録やアプリに登録してもらえれば、連絡先情報を入手できる。さらに、記者会見からナーチャリングプロセスにつなげる例もある。NECの顔認証システムが2020年のオリンピック・パラリンピックに採用決定のように大きな発表があると、大量のアノニマスビジターが企業サイトに押し寄せる。記事広告との連動などで、うまく資料のダウンロードにつなげられれば、これも連絡先情報を獲得することに役立つ。

 今後は「Tealium」を顧客データのハブに据え、MAやSFAをはじめとする様々なテクノロジーを連携させる仕組みを整備していくという。このデータハブを使い、新しく始めようとしているのがサードパーティーデータを取り込んだ広告配信である。闇雲に広告を出すのではなく、蓄積したデータでマッチングを行い、新規顧客の獲得や休眠顧客の活性化につながる広告配信を計画中だ。AI活用にも意欲を見せる。東海林氏はリードスコアリングでの予測やナーチャリングプロセスの自動化へのAI導入を検討していることを明かした。

 将来は、効果的かつ効率的なデジタルマーケティングを通し、社会課題の解決をともに行うパートナーシップの構築を目指す。東海林氏は「顧客に寄り添いながら、購入だけでなく、NECと一緒に何かをやろうとする『共創』のパートナーになる企業を活動の中で探していきたい」と述べ、講演を終えた。

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この記事の著者

冨永 裕子(トミナガ ユウコ)

 IT調査会社(ITR、IDC Japan)で、エンタープライズIT分野におけるソフトウエアの調査プロジェクトを担当する。その傍らITコンサルタントとして、ユーザー企業を対象としたITマネジメント領域を中心としたコンサルティングプロジェクトを経験。現在はフリーランスのITアナリスト兼ITコンサルタントとして活動中。...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2019/04/15 08:00 https://markezine.jp/article/detail/30727

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