限られた時間で高い成果を上げているマーケターは、「やること」よりも「やらないこと」を決めるのに長けている。本連載では、BtoBマーケティングを支援している才流(サイル)代表取締役の栗原氏が、具体的なツールや手法を試す前に必ず整理しておきたいポイントを解説。今回は、優秀なマーケターが「やらないこと」をテーマに、正しくリソースを投下し、確実に結果を出すためのコツを紹介する。
「戦略=戦いを略すこと」成果が出ないことにリソースを使わない
「目標達成に向けて、必死で頑張っているのに成果が出ない」「タスクがあふれ、土日も仕事をしているのに、結果につながらない」。このように悩んでいるマーケターは多いのではないだろうか。その一方、期待以上の成果を次々と上げていくマーケターもいる。実は、高いパフォーマンスを発揮する人は、何をするか以上に「何をしないか」を決めることに長けている。

「戦略=戦いを略すこと」と言われるが、実際に、筆者が出会ってきた優秀なマーケターは、ことごとく「しないこと」を決めていた。彼らはしないことによって空いたリソース(時間やお金)を成果の出ることに集中させ、大きな成果を上げていたのだ。書いてしまうと当たり前だが、「成果が出ないことには時間を使わず、成果が出ることに時間を使う」ことが、成果を最大化するための基本だ。
優秀なマーケターに学ぶ3つの「しないこと」
BtoBマーケティングでは、明らかに「成果が出ないこと」が存在する。ここからは、優秀なマーケターがしない代表的な3つのことを、それぞれ説明していく。
1. 頻繁なWebサイトのリニューアルやA/Bテスト
優れたBtoBマーケターは、CV率を上げるためにWebサイト・LPのリニューアルやA/Bテストを繰り返すようなことはしない。
月に数十~数百万セッションもあるBtoCのWebサイトであれば、CV率を2%から2.1%に上げられた時のインパクトは大きく、サイト改善やA/Bテストの費用対効果は高くなる。しかし、BtoB企業のコーポレートサイトや製品サイトのセッション数は、ほとんどの場合で月に数千、多くても数万だ。
仮に月のセッション数が5,000の場合、CV率を2%から2.1%に上げられたとしても、CV数は5件しか変わらない。
さらに、CV率の伸びはいずれ頭打ちになる。CV率を上げる努力をするよりも、新しいチャネルを開拓し、認知拡大・集客強化に注力するほうが、インパクト・費用対効果ともに大きくなることが多いのだ。

実際に筆者が経営する才流のコーポレートサイトでは、リリース後6ヵ月間は高頻度でサイト改善し、CV率が一定値に達したところで、改修を停止。その後は認知拡大・集客強化のためのコンテンツ作成にリソースを集中させ、2ヵ月後にリード数を2倍にすることに成功した。
BtoB企業のWebサイトやLPは、一つの目安として、CV率2%を達成したらWebサイト・LPの改善をストップし、コンテンツ作成やセミナー開催など、他の活動にリソースを投下することをお勧めする。
2. リード数が少ない中でのMAツール導入/乗り換え
次に避けたいのは、リードの数が少ない状況でMAツールを導入したり、ツールを乗り換えたりすることだ。
MAツールはBtoBマーケティング活動において必須と言われているが、実は次の条件がそろっている状態ではじめて威力を発揮する。
・1万件以上のリードを保有している
・月1本以上はコンテンツを作成する体制がある
・インサイドセールスチームがある
リード数が1,000件しかない時にMAツールを導入しても、成果は出しづらい。仮に1,000件のリードにメールを配信し、開封率が20%、クリック率が5%だとすると、Webサイトに再訪するリードはたったの「10」だ。これでは、ツール導入や運用時のコストを上回る成果を出すのは至難の業だろう。
保有リード数が少ない、もしくはコンテンツ作成やインサイドセールスの体制が不十分な中、MAツールを導入しても、うまく活用できない。そこで他のツールに乗り換えたとしても、保有リード数やコンテンツ作成体制などが解決していないので、また使いこなせず行き詰まってしまう。この悪循環に陥っている企業を目にするが、この試行錯誤に割かれているリソースは、広告改善やコンテンツ作成、セミナー・イベント開催などに使いたい。
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栗原 康太(クリハラ コウタ)
1988年生まれ、東京大学文学部行動文化学科社会心理学専修課程卒業。 2011年にIT系上場企業に入社し、BtoBマーケティング支援事業を立ち上げ。事業部長、経営会議メンバーを歴任。2016年に「才能を流通させる」をミッションに掲げ、経営者・事業責任者の想いの実現を加速させる株式会社才流を設立し、代表取締役に就任。 アドテック東京などのカンファレンスでの登壇、宣伝会議・広報会議など主要業界紙での執筆、取材実績多数。 Twitterアカウント(https://twitter.com/kotakurihara) | Facebookアカウント(https://www.facebook.com/kota.kurihara)
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