「パンダが好きで新規サービス利用」の人数をKPIに
――御社は非常にデータドリブンな企業として知られていますが、お買いものパンダの効果も測定されているのですか?
山岡:各サービスへの売上貢献を目標にいくつかのKPIを追っていて、中でも重視しているのは「お買いものパンダが好きで/お買いものパンダをきっかけに新たに楽天サービスを使った人」の数ですね。
冒頭でお話しした、いろいろ楽天にしてほしいという考えにつながりますが、それはサービス新規利用の積み重ねなので、そこにお買いものパンダがどれだけ貢献しているかを見ています。
実際にそれが今、数百万人の規模になっています。楽天内のユーザー行動はすべて単一IDでトラックしているので、お買いものパンダを機に顧客化した方のLTVも指標のひとつとなっています。
一方で、「好き」というのは分解しづらいので、定性インタビューやTwitterへの反応などを見ながら、こうしたことがきっかけでこれほど深く好きになってもらえるんだという知見を貯めています。
――お買いものパンダも既に楽天の重要なブランドアセットのひとつになっていると思いますが、ブランドへの投資を会社に説明するのは難しい部分もあるのでは?
山岡:そうですね、難しさはありますが、データドリブンな企業といっていただいたように、ブランド価値の定量化にも非常に長けているので、数字で説明できることがほとんどです。
顧客戦略部には優れたデータアナリストが率いる分析チームがあるので、ブランディング目的のテレビCMでも、数日以内に成否がわかるくらいのスピードで検証し、PDCAを回しています。
ビジネス・マーケ・クリエイティブの三位一体
――データアナリストの方も顧客戦略部に所属しているのですね。部の体制や特徴をうかがえますか?
山岡:大きくビジネス職、マーケティング職、エクスペリエンス職の3つのチームと、それを束ねるプロダクトマネージャーや開発企画などのメンバーがおり、顧客戦略部自体がひとつの事業体としてビジネス開発からアウトプットまでを一貫して手掛けられるようになっています。
ビジネス職は、事業企画や戦略立案などを手掛けており、分析のメンバーもこちらに属しています。マーケティング職は、ユーザーへのマーケティング施策やコンテンツを考え、それらを実現する、いわゆるマーケターのチームですね。エクスペリエンス職はUI・UXデザイナーやWebディレクターなど、実際に形にするメンバーが集まっています。
どのプロジェクトも3チームから最低一人をアサインし、そこにプロダクトマネージャーが加わるので、4人が最小単位です。部内だけで動くものもあれば、最近は各サービスからのコラボ打診が多いので、必要に応じてそのメンバーもチームに加わります。
――ビジネスの企画が固まってからマーケティングが動く、というのが一般的な流れですが、最初から一緒に考えていくのですか?
山岡:そうですね、プロジェクトが立ち上がった初日から、ビジネス・マーケティング・エクスペリエンスの各メンバーが三位一体で仕事をするのが、大きな特徴だと思います。ビジネスインパクトと顧客に対する引きの強さや魅力、またどれだけ楽しい体験になるかを同時並行で考えるので、上流・下流の概念がないですし、その分断が原因で無理や無駄が生じるようなこともありません。

