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あの小売企業はなぜeギフトで売上を伸ばせたのか サーティワン、スタバ、日比谷花壇の事例に学ぶ

eギフトをもらって喜んでいる人のSNS投稿で手応え実感

 パートナーミーティングのプログラムでは、パネルディスカッションが行われ、「eGift System」を導入して実感したメリットや今後の展望などが語られた。

左から、日比谷花壇 吉田貴之氏、スターバックスコーヒージャパン 土井英人氏、ギフティ 太田睦氏
左から、日比谷花壇 吉田貴之氏、スターバックスコーヒージャパン 土井英人氏、ギフティ 太田睦氏

太田:スターバックスコーヒージャパン様が「eGift System」を導入したのは2014年と比較的早い時期になります。導入のきっかけや実感しているメリットを聞かせていただけますか。

土井:私たちのミッションは「人々の生活を豊かで活力のあるものにするために―ひとりのお客様、一杯のコーヒー、そしてひとつのコミュニティから」というものです。人と人とのつながりをデジタル上でも生み出せるサービスを実現したいと考え、「Starbucks eGift」の提供を決めました。

 実感しているメリットは複数あります。特に実感しているのは、TwitterやInstagramなどを見ていて、「Starbucks eGift」をもらった時のうれしい気持ちが伝わる投稿を目にすることでしょうか。

 もう一つ、私たちの店舗スタッフはお客様とのコミュニケーションを積極的に楽しむ人が多いという特徴があります。ギフトをもらう人の中にはあまり来店頻度が高くないお客様もいらっしゃるのですが、店舗スタッフから新しいドリンク商品やカスタマイズ方法などのユニークな提案をさせていただくことが、エンゲージメントを高める機会につながっていると感じます。

太田:ギフトカードのクリエイティブを多数そろえているのはどういった狙いなのでしょうか。

土井:eギフトのサービス認知度にはまだ伸びしろがあることもあり、今は新規のお客様が中心です。とはいえ、リピーターのお客様もたくさんいらっしゃるので、その層に向けては季節ごとに新しいものを用意しています。一人でも多くのお客様にお楽しみいただけるよう、クリエイティブの多様性を重視しています。

太田:季節性という意味では、クリスマス恒例の「Coffee Santa」キャンペーンはインスタ映えする取り組みですね。これはどんなきっかけで始めたのでしょうか。

土井:「Coffee Santa」は「Starbucks eGift」を使ってドリンクを引き換える際に、お客様にミニフィギュアをプレゼントする施策です。

 キャンペーンの実施アンケートの結果からは、購入した人も利用した人も多くが「eギフトビギナー」であることがわかっています。SNSで拡散していただき、「Starbucks eGift」を使ったことがない方にもハッシュタグで検索してもらい「やってみようかな」と思っていただくのが狙いでした。

新しい顧客層をつかむ、コラボギフト企画

太田:日比谷花壇様は2016年から「HIBIYA-KADAN eギフト」を始めていますね。どんな目的で「eGift System」導入を決めたのでしょうか。

HIBIYA-KADAN eギフト
HIBIYA-KADAN eギフト

吉田:大きく3つあります。まずECでは3,000円以上のアイテムが多く、予算感が合わずにお花の購入をあきらめるお客様がいらっしゃいましたが、eギフトなら500円からのチケットとしてご提供でき、ニーズに応えられるということ。

 次に誕生日や結婚記念日のように当日に必ず届けなくてはならない場合、忙しくて手配のタイミングが遅れると間に合わないというお客様の課題を解決したいと考えました。

 最後にeギフトを通じて、新しいお客様に店舗に来ていただくきっかけを作りたいと考えたことです。

太田:お花の場合、ギフト需要が高まるのはそもそもいつなのですか。

吉田:母の日が最大のピークで、この他にホワイトデーや3月末の歓送迎のお祝いがあります。購入単価が最も高いのは母の日のギフトですが、eギフトでは一つ上の価格帯のものが売れる傾向にあります。

 eギフトがおもしろいのは、購入から利用までの時間が長いことですね。ただし、母の日の場合は贈られた翌日に来店いただきお花を受け取っていただく傾向が顕著です。贈り主の子供さんに早く返事をしようとするからかもしれません。

太田:吉田さんは大変なアイデアマンで、他ブランドとのギフトコラボにも積極的に取り組んでいます。コラボ企画の例を一つ紹介していただけますか。

吉田:リラクゼーションスペースの「ラフィネ」様と共に、母の日ギフトのタイアップ企画を展開しました。「ラフィネ e-Gift」を購入すると、期間中に利用すると日比谷花壇の交換ギフト券が立ち上がるというもので、マッサージでリラックスした後に花を楽しんでもらうという趣向です。新しいお客様の認知を獲得でき、サプライズでお花をもらえるとあってSNSでもポジティブな形で拡散されました。

 花を贈ることは気持ちを伝えることでもあります。他にも食事や何かの鑑賞などの体験と合わせたコラボ企画を作り、特集ページで提案するようにしていきたいですね。

太田:最後に今後の展望についてお願いします。

吉田:実際のログを見て驚いたことがありました。それは購買日が別々なのに、すべてのギフト券が同じ店舗で数10枚使われていたことです。調べたらコンサートがあった時、歌手の方にお祝いの花を贈るために全国のファンを代表して幹事の方が交換に来ていたのです。クラウドファンディング的な使い方をしていたわけで、ソーシャルに着目すると、新しいアイデアが生まれそうに思います。

太田:ギフティの仕組みを使えば「ソーシャルギフト」という仕組みを作ることができそうです。土井さんはいかがですか。

土井:KakaoTalk上でeギフトを贈ることが日常化している韓国などと比べると、日本はまだeギフトの市場規模が大きくありません。若者だけでも構わないので、eギフトが早く文化として根付けばいいと思います。お客様がギフトを買って、贈って、引き換えるまでの一連の体験で良いことが続けば、リピートしていただけるでしょう。ご利用いただく一人ひとりの体験の質を高めることを大事にしていきたいと思います。

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この記事の著者

冨永 裕子(トミナガ ユウコ)

 IT調査会社(ITR、IDC Japan)で、エンタープライズIT分野におけるソフトウエアの調査プロジェクトを担当する。その傍らITコンサルタントとして、ユーザー企業を対象としたITマネジメント領域を中心としたコンサルティングプロジェクトを経験。現在はフリーランスのITアナリスト兼ITコンサルタントとして活動中。...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

MarkeZine編集部(マーケジンヘンシュウブ)

デジタルを中心とした広告/マーケティングの最新動向を発信する専門メディアの編集部です。

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MarkeZine(マーケジン)
2019/08/19 11:00 https://markezine.jp/article/detail/31387

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