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リクルートメント・マーケティング 採用活動をマーケティングでハックせよ

激化する人材獲得競争に「マーケティング発想」という処方箋を 成否を分ける3つのプロセス

 「採用をマーケティングでハックせよ」をテーマにお届けする本連載。第2回となる本稿では、オンラインを中心とした企業認知の獲得から、入社後のエンゲージメント向上までを包括するリクルートメント・マーケティングの全体像を紐解きつつ、各プロセスにおける戦略的思考について解説していきます。

採用活動は長期戦に

 リクルートメント・マーケティングと従来の採用活動の違いは、採用活動における時間軸の捉え方にあります。これまでの採用活動は、ナビサイトへの求人掲載やエージェントからの紹介などの手法を通じて、既に仕事探しの意欲が顕在化している候補者を“待つ”姿勢を主軸にしていました。一方、リクルートメント・マーケティングでは、顕在層へのアプローチに加えて、見込み候補者からの認知獲得(リードジェネレーション)から、入社後の定着や活躍(エンプロイーサクセス)までの能動的なアプローチを軸に採用プロセスを組み立てていきます。

 本連載では、こうした見込み候補者への興味喚起のアプローチを「狭義のリクルートメント・マーケティング」とし、本選考~入社後のエンゲージメント強化とリファラル(社員紹介)の活性化までを含むファネルの全プロセスを「広義のリクルートメント・マーケティング」と定義し、但し書きのない限りにおいては後者を中心にリクルートメント・マーケティングについて議論していきます。

 なぜ、「待ちの採用」が通じなくなってきているのか。そしてなぜ、本選考だけに限定されない広範なプロセス設計が求められるようになっているのか。すべての遠因には本連載の第1回で取り上げたような事業を取り巻く環境の変化、つまり事業の直線的な成長が予測できなくなったことによる組織的課題があります。一方で、より卑近な理由としては「労働力人口の減少による人材獲得競争の激化」が挙げられます。今回は、リクルートメント・マーケティングが人材獲得をめぐる加熱競争に対する処方箋になる理由について、変化する採用プロセスの全体像と合わせて掘り下げていきましょう。

激化する人材獲得競争に立ち向かうには

 媒体出稿を通じて形成した母集団を選考によってふるい落とすという従来の採用手法は、マーケティングで言うところの「刈り取り」にあたるプロセスです。しかし、ただでさえ人材獲得競争が激化の一途をたどっている現在、顕在候補者の限られたパイを奪い合う従来の採用手法では、採用予算が潤沢で知名度も申し分ない企業でもない限り勝ち筋が見出しにくい状況にあります。

 こうした加熱する人材獲得競争を回避するためには、1対1のコミュニケーションを前提とした「採用のパイプライン化」が求められます。具体的には、潜在候補者への早期接触をはかり、継続的なアプローチにより自社のタレントプールを育成し、たとえ採用タイミングが合わなかった場合にもリサイクルのプロセスに回すといった中長期スパンでの戦略設計が必要となります。

 こうした中長期的な戦略設計を通じて「採用に強い企業」として生き残るための糸口となるのがリクルートメント・マーケティングの理論と実践です。デジタルメディアの発達した現在、企業は自社ブログやSNSでの情報発信を通して見込み候補者との接点を自ら持てるようになっただけではなく、データ活用によって個々の見込み候補者に最適なコミュニケーションを行えるようになりました。

 この進化は、この十余年におけるデジタルマーケティングの発達と軸を同じくします。デジタルトランスフォーメーションの浸透により、マーケティングが広告宣伝やプロモーション企画に携わるだけでなく、見込み顧客への継続的アプローチから購入後の顧客の課題解消までを一気通貫で掌握する体系的な理論として発達したように、これまで本選考のプロセスに閉じていた採用のノウハウが、候補者とのコミュニケーション全般に携わるものとしてアップデートされつつあるのです。

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この記事の著者

小池 弾(コイケ ダン)

ウォンテッドリー株式会社 Recruitment Marketing Evangelist / Business Hiring Manager
慶應義塾大学経済学部卒。大手SIer、HRスタートアップを経て、2018年1月にウォンテッドリーのビジネス採用担当としてジョイン。現在は、ビジネスサイドのHR責任者として、組...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2019/08/19 08:00 https://markezine.jp/article/detail/31612

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