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『MarkeZine』(雑誌)

第107号(2024年11月号)
特集「進むAI活用、その影響とは?」

MarkeZineプレミアム for チーム/チーム プラス 加入の方は、誌面がウェブでも読めます

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私たちMarkeZineは本当の読者の姿が見えているのか?「顧客起点マーケティング」を実践してみた

MarkeZineの独自性は「実務」「実践」「再現性」

西口:あ、それですよ! いろいろな方の記事や書籍などを拝見しても、たとえばオイシックス・ラ・大地の西井敏恭さんの著書『デジタルマーケティングで売上の壁を超える方法』やアドビ(前マルケト)の福田康隆さんの著書『THE MODEL』のように、実務者による情報、再現性のある情報が役立てられている印象が強いです。実際、僕の書籍がMarkeZineさんと相性が良かったのも、それが理由だと思いますね。

安成:そうですね! どんなにすごいと思っても、真似できない、机上の空論はMarkeZineらしくないなという基準はありました。自分たちのメディアのことなのに、お話ししながら腑に落ちました(笑)。マーケティング実務者のための、実践的で再現性のある情報を提供するメディアとしての姿勢を、読者の皆さんにもしっかりと伝え、MarkeZineのブランドを強くしていきたいです。

西口:いいですね。今回は、競合メディアの認知度や支持の度合いなどもとって、競合分析もしているんですよね?

安成:はい。10メディアほどアンケート調査に入れ込んで、特にベンチマークしているメディアについてオーバーラップ分析をしてみました。

書籍収録:オーバーラップ分析の例
オーバーラップ分析とは、西口氏の書籍内で紹介している競合分析の方法。自社のロイヤル顧客から未認知顧客までが、競合社ではどの層に該当するのか、5×5のマッピングを人数で把握して、競合に対する自社の立ち位置を把握した上で各コマのユーザーの心理やアプローチを検討していく。

経営層を入れる? 入れない?

西口:ちょっと見せてもらえますか? ……なるほど、予想どおりではありますが、MarkeZineより歴史がある老舗メディアやビジネス全般をカバーしている系列のメディアと比べると、そっちは知っているし使っているけれどMarkeZineは未認知、という人が一定数いますね。でも、MarkeZineのほうをより使っている人もいるので、ここはもしかしたらよりデジタル寄りの方だったり、若い層かもしれないですね。

 では、改めてターゲット別に考えてみましょうか。マーケターと広告業界の営業に加えて、たとえばMarkeZineでは近年、経営層を意識した情報発信にも注力されていますよね?

安成:はい、マーケティングは経営に欠かせないという考えから、最近では「マーケティングを経営ごとに」というテーマを掲げて、経営に関する記事などに記載してきました。……そうすると、前述のスクリーニングの2条件に「経営者または経営層」も加えるべきでしたね。

西口:そうですね。ただ、経営層、あるいはECやIT関連など、層を広げるほどコンテンツ戦略が絞りにくくなり、媒体の強みや個性がぼやけるという課題は出てきます。

 加えて、僕がパッと聞いて思ったのは「60代(60~69歳)を入れるべきか?」という点です。実際は69歳の人が読んでいたとしても、打ち手を考えるための顧客分析なら、僕だったら60代どころか50代も切ってしまうかもしれない。経営層となると年齢も上にはなりますけど、正直どんなカテゴリーでも、年齢層が上の人たちのマインドを変えるのはものすごく難しいんです。僕も50代なのでわかりますが、億劫なんですよね(笑)。新しいことに対して、どんどん保守的になってしまう。

パーセンテージだけでシェアを見ないこと

安成:なるほど……。たとえば、昔から接点があるマーケティング媒体はたまに読むけれど、MarkeZineは知りもしない55歳会社役員の人をターゲットにするかどうかで、戦略が変わってきますね。

西口:そのとおりです。もしそうするなら、彼らが危機感を覚える、かつMarkeZineしか提供できない独自性あるコンテンツを開発して、それを彼らが日ごろ目にする場所でリーチしないといけない。……N1インタビューをすればわかると思いますが、かなりハードルが高そうですね。

 逆に、もういっそ振り切って「20~40代」とするのも手です。ただ、皆さん見落としがちですが、そもそも人口統計からすると20代と50代で人数が1.3倍違います参照:総務省統計局「人口推計-2019年(令和元年)8月報-」(PDF)。そうすると20代でシェア50%を取ったとしても、50代のシェア50%を取っているメディアがあったら、人数的には実は1.3倍の差がついています。そこに気づかずパーセンテージだけで見ていると、適切な戦略・戦術の立案ができません

 それも加味した上で、マーケティングにかかわる人、広告業界の営業、経営層、あるいは経営層予備軍……をスクリーニングするとかですね。

安成:その設計から、もっと考えて調査するべきだったかもしれないです。

西口:でも、そもそも初めての調査で完璧な設計をするのは難しいんです。書籍では、僕自身がこの調査を何度もかけていて慣れているのと、単純な性・年齢で区切れる商材を扱ってきたのでわかりやすかった、というのはあると思います。

 むしろ、一発で精緻な調査をするよりも大事なのは、こういう議論をすることなんですよね。一度ネット調査をしてみることで、編集部内でもいろいろな視点が生まれたんじゃないかと思います。今日、僕と話したようなことをまた持ち帰って議論すると、それぞれ違うバックグラウンドや思いから、深みのある話ができるはずです。

次のページ
顧客ピラミッドの推計実数を出す方法

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この記事の著者

高島 知子(タカシマ トモコ)

 フリー編集者・ライター。主にビジネス系で活動(仕事をWEBにまとめています、詳細はこちらから)。関心領域は企業のコミュニケーション活動、個人の働き方など。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

安成 蓉子(編集部)(ヤスナリ ヨウコ)

MarkeZine編集部 編集長
1985年山口県生まれ。慶應義塾大学文学部卒業。専門商社で営業を経験し、2012年株式会社翔泳社に入社。マーケティング専門メディア『MarkeZine』の編集・企画・運営に携わる。2016年、雑誌『MarkeZine』を創刊し、サブスクリプション事業を開始。編集業務と並行して、デジタル時代に適した出版社・ウェブメディアの新ビジネスモデル構築に取り組んでいる。2019年4月、編集長就任。プライベートでは2児の母。

★編集...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2019/09/09 07:00 https://markezine.jp/article/detail/31856

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