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セールスフォースは自らを変革しながら、市場を拡大していく【小出会長インタビュー】

 快進撃を続けるセールスフォース・ドットコム日本法人は2020年に設立20周年を迎えます。同社を5年半にわたって率いてきた小出伸一会長に、就任当時のエピソードから、DX、イノベーション、マーケティング、採用や組織まで、さまざまなお話をうかがいました。

55歳で引退しようと思っていた

――今回お話をうかがうにあたって、日本ヒューレット・パッカード代表の時に出版された『世界企業はここまでやる!』(幻冬舎)を拝読したのですが、驚いたことがひとつあります。当時、小出さんはどういうお考えをお持ちだったのか知りたいと考えて手に取ったのですが……。

小出:今と変わらないでしょう?

――そうなんです。そこに非常に驚きました。特に顧客視点の徹底という意味において。そういう方がセールスフォース・ドットコム(以下、セールスフォース)日本法人の代表就任を決断された時、どんなチャレンジになるとお考えだったのでしょうか。

小出:実は、私は55歳になったら引退しようと考えていました。ビジネスの第一線というよりは、日本でITビジネスを活性化させるようなお手伝いしていければという想いがあったのです。

株式会社セールスフォース・ドットコム 代表取締役会長 兼 社長 小出 伸一氏

株式会社セールスフォース・ドットコム
代表取締役会長 兼 社長 小出 伸一氏

 日本のマーケットには非常に優秀な人材がたくさんいるけれども、起業したり、イノベーティブなプロダクトやソリューションを世に送り出したりする機会がなかなかない。そういう人たちをこれまでの経験を活かしながらサポートしよう、それを最後の仕事にしたいと考えていたので、辞めるという意思表示をしていたところ、それがどこかでニュースとなってしまった。

――そんなことがあったんですね。

小出:そうしたら、マーク・ベニオフが「本当なのか」と。私は彼と10年以上のつき合いがあり、セールスフォースが非常に小さいスタートアップの時から、日本法人を手伝ってほしいと言われていました。マークからあらためて、セールスフォースのチェアマンとして手伝ってくれないかという話をもらったのが始まりです。

 私はIBM、ソフトバンク(旧ソフトバンクテレコム)を経て、日本ヒューレット・パッカードの経営をしていました。そういうバックグラウンドと日本のマーケットにおける認知度がある経営者がセールスフォースに来るということは彼にとって非常に重要だったと思います。

――当時は、グローバルでベニオフさんと小出さんだけがCEOを名乗ることができたということからも、期待の高さが伝わってきます。

小出:権限を日本法人にすべて委譲して、日本だけの特別な組織モデルを作っていこうとしていたからです。今ではいろいろな企業を買収し、ビジネスユニットごとにCEOのタイトルを使っている人間は多いと思います。

 会社がスケーリングしていく中で、そのステージも変わってきています。創業して5年から10年ぐらいは子どもでいうと幼稚園ぐらい。体を鍛えたり、骨格を強くしたりする段階です。ところがそこから先は、成長のステージによってお客様から信頼される企業になることが重要になるし、日本のマーケットでのポジショニングもまったく違ってくる。さらに肉体的・物理的成長とは別に、会社としての「社格」というものもステージを上げていかなくてはならない。

 お客様がビジネスで困ったら「セールスフォースに相談しよう」と信頼していただけるような存在、トラステッドアドバイザー(Trusted Advisor)になる。そういうことをマークはいつも考えていると思いますし、それが社格というものにつながっていくのだと思います。

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この記事の著者

安成 蓉子(編集部)(ヤスナリ ヨウコ)

MarkeZine編集部 編集長
1985年山口県生まれ。慶應義塾大学文学部卒業。専門商社で営業を経験し、2012年株式会社翔泳社に入社。マーケティング専門メディア『MarkeZine』の編集・企画・運営に携わる。2016年、雑誌『MarkeZine』を創刊し、サブスクリプション事業を開始。編集業務と並行して、デジタル時代に適した出版社・ウェブメディアの新ビジネスモデル構築に取り組んでいる。2019年4月、編集長就任。プライベートでは2児の母。

★編集...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

井浦 薫(編集部)(イウラ カオル)

MarkeZineで主に書籍を作っています。
並行して、MONEYzineにも力を入れています。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2019/11/28 08:00 https://markezine.jp/article/detail/32188

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