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【LINEリサーチ活用事例】デジタル時代に消費者の「声」を拾うには?(AD)

NPSは20pt以上アップ!ユーザーの心理・感情を追い求めるコロプラの「LINEリサーチ」活用事例

 多くの人気スマートフォンゲームを提供するコロプラは、ゲームを楽しむユーザーの感情を読み解くために、数年前から調査を実施している。趣味性の高いサービスであるがゆえに抱えていた課題を「LINEリサーチ」の活用により解決し、マーケティングや商品の企画開発につなげているそうだ。これらの調査を進めているデータマネジメント部の加藤氏と関根氏に、これまでの取り組みとその成果を聞いた。

会社全体で「データドリブンな意思決定」を推進中

(左)株式会社コロプラ マーケティング本部 データマネジメント部 部長 加藤朋之氏(右)同社 同部 データサイエンスグループ 第1分析チーム データサイエンティスト 関根大亮氏
(左)株式会社コロプラ マーケティング本部 データマネジメント部 部長 加藤朋之氏
(右)同社 同部 データサイエンスグループ データサイエンティスト 関根大亮氏

――はじめに、お二人の自己紹介からお願いします。

加藤:コロプラは、スマートフォン向けのモバイルゲームを中心に展開している企業です。私が責任者を務めているデータマネジメント部は、会社全体でデータドリブンな意思決定を推進していくことをミッションとしており、主にデータ分析やBIツールの開発を通してこれを実現しようとしています。

関根:データマネジメント部には分析部隊とシステム担当の部隊があり、私は分析を担当する部隊でデータサイエンティストとして仕事をしています。アプリのログを使った分析やゲーム内で行っているユーザーアンケートに加え、LINEリサーチなど社外のモニターを使った調査などを行っています。

加藤:スマートフォンゲームが主なプロダクトなので、分析部隊の業務としては、それに関わる分析が6割ほどです。他にも、マーケティングや人事、経営企画など様々な領域でデータをもとにした意思決定をサポートしています。

 現在は、簡単な集計や分析であれば社内の誰もが自分たちでできる状態を目指し、それに向けたツールの開発やデータ分析の研修など「データの民主化プロジェクト」の推進に注力しているところです。

ユーザーの行動の背後にある心理・感情を解き明かしたい

――ユーザー調査のデータを広く深くマーケティングやサービスの運用改善に役立てていると伺っていますが、いつ頃から本格的なユーザー調査を実施されているのですか?

加藤:ゲーム内でユーザー様へのアンケートを行うようになったのが、3年ほど前です。それまでは、行動ログを分析するくらいで、アンケートなどの調査は行っていませんでした。

 本格的な調査を始めたきっかけは、ユーザー様の行動の背後にある心理や感情を解き明かしたいと考えたからです。

 たとえば、ゲーム内に二つのコンテンツがあったとします。ログでは両方とも同じように遊んでくださっているように見えても、片方は「ゲーム自体を心から楽しんで遊んでいる」、もう片方は「報酬目当てに仕方なく遊んでいる」ということがあるかもしれません。行動ログからは、こうした感情の部分を明らかにするのが難しく、課題を感じていました。

――本格的な調査を始める中で、うまくいかないこともあったのでしょうか?

加藤:社外のモニターを使って、特定の時期に離脱したユーザー様を調査したことがあるのですが、あまりうまくいきませんでした。原因として大きかったのは、得られた回答数が少なかったことです。調査対象者が限られていたことで、十分な回答数が得られず、結果としてある程度の示唆はありましたが、統計的に有意といえるほどの結果は得られませんでした。

 そこで別のやり方を探して、LINEリサーチを使うことに決めたんです。

リアルな声を拾える、LINEリサーチの魅力

――LINEリサーチを選んだ理由は何だったのでしょう?

加藤:最大の魅力は、アクティブモニター500万人という規模の大きさです。これはほかの調査パネルではありえない数です。

 スマートフォンゲームユーザーの中で、さらに特定の集団となると、出現率がどうしても低くなってしまうのですが、LINEリサーチでは幅広いモニターの中から調査対象者を探すことができるので、十分なモニター数を確保できています。

関根:数だけでなく、モニターの質も評価しています。モニターの中には、アンケートに答えるのが好きで、色々なアンケートを掛け持ちしているような人がけっこういます。毎日なにかしらのアンケートに回答している人の割合が7~8割いる調査パネルも少なくないんですよ。

 そういった人の割合が大きいとバイアスがかかってきたりするのですが、LINEリサーチはそういう人が少ない。その点、ほかの調査会社と比べてリアルな声を拾いやすいと感じています。

調査結果をもとにした施策でNPSが20ポイント以上アップ!

――LINEリサーチを活用して、どのような調査を実施されていますか?

加藤:「NPS調査」、「商品の適正価格に関する調査」、ゲームを離脱された方々を対象にした「グループインタビュー」などを行っています。

 たとえばNPS調査では、自社と他社のゲームタイトルを比べて、自社ゲームのNPSがどれくらいなのかを相対的に把握しています。そこからNPSを上げるために何を改善すればいいかを導き出し、ゲームの運用改善に役立てています

 具体的には、キャラクターの見た目や動作の軽さ、ゲームのストーリーなど様々な項目の満足度と、それぞれの項目とゲームの推奨度との相関を調査し、マッピングします。そこから、満足度が低いけど推奨度との相関は強いもの、つまり伸びしろが大きく重要度も高い、優先的に改善するべき項目を見つけます。

 実際に、あるゲームタイトルで実施したNPS調査をもとに重要改善項目を設定し、地道に改善に取り組んだところ、翌年に実施した調査でNPSが20ポイント以上も上昇しました。SNSでもユーザー様の反応がポジティブに変わっていったのを確認できました。

LINEリサーチのメニュー「スマホリサーチ」とは

コストとスピードを重視した「ライトコース」と、経験豊富なリサーチャーによるコンサルティングを受けながら大規模で複雑な調査ができる「サポートコース」の2種類のメニューがある。いずれも500万人を超えるアクティブモニターに対して、様々な目的に応じた調査を設計することができる。

コロプラは、特定のゲームタイトルについて2018年9月と2019年10月に、アンケート設計でNPS調査を実施した。
コロプラではLINEリサーチを利用し、定点でNPS調査を実施(上記はNPS調査のアンケート画面サンプル)。

ゲームを作る側とプレイする側の「乖離」を発見

関根:スマートフォン上でのリサーチだけでなく、LINEリサーチを利用してグループインタビューも行っています。直近のグループインタビューは、離脱された方々がどうしたら復帰してくださるかを探る目的で行いました。

 ゲームをやめた方にゲーム内でやめた理由を聞くことはできませんし、やめた理由について自由記述をお願いしたところで、多分思い出していただけないだろうといった課題があったので、インタビューをすることにしました。

 結果から申し上げますと、こちらが期待していた以上の示唆が得られました。「どうしてゲームをやめてしまったのか」「どうしたら復帰してくださるか」などの質問に対し、色々なお話を聞くことができ、非常に参考になりました。

 我々ゲームを作る側は基本的にゲーマーが多いので、あまりゲームをやらない方の意見がとても新鮮だったんですよね。インタビューを観察していたマーケティングや企画開発の部門でも、それぞれ収穫があったようです。

 現在、離脱された方々に復帰してもらうための大規模な施策を検討しているのですが、このグループインタビューで、特にライト層に復帰していただくためのヒントが見えたので、本当にやって良かったと思っています。

LINEリサーチのメニュー「インタビュー」とは

インタビュー会場で実際に回答者の声が聞けるグループインタビュー、デプスインタビュー、調査環境をコントロールできる会場調査に対応。他のアンケートモニターに登録していないフレッシュなモニターが豊富なため、調査慣れしていない方々のリアルな声を聞くことができる。

ユーザー理解を深め「刺さる」ゲームの開発を

――今後LINEリサーチを使ってどのようなことをやっていきたいですか?

関根:LINEリサーチでインタビューを実施し、作り手が想定していたユーザー様のニーズと実態との間に乖離があることがわかりました。そのため、自社ゲーム・他社ゲーム問わず、スマートフォンゲームで遊んでいる方々をクラスタリングして、ユーザー理解を深めることに注力していきたいです。

 たとえば、熱心に遊んでくださっている方々でも「他のプレイヤーを倒して自己顕示欲を満たしたい人」「純粋に自分の技術を高めたい人」などとゲームに求めているものは様々です。“ヘビー”“ライト”“女性向け”“若い人向け”などといった荒っぽいターゲットの組み方だけでなく、ゲームに何を求めているかでユーザー様を捉えていければと考えています。

加藤:ちょうど今、関根がLINEリサーチのデータをもとに因子分析やクラスタリングを行っているところです。最終的には、クラスターごとにペルソナ設定をするところまで進めていければと考えています。

 リサーチをもとにユーザー様と我々との乖離をできるだけ縮め、ユーザー様に本当に刺さるゲームの開発・運用につなげていくことが我々のチャレンジです!

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この記事の著者

畑中 杏樹(ハタナカ アズキ)

フリーランスライター。広告・マーケティング系出版社の雑誌編集を経てフリーランスに。デジタルマーケティング、広告宣伝、SP分野を中心にWebや雑誌で執筆中。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2020/04/06 11:00 https://markezine.jp/article/detail/32872