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MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

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定期誌『MarkeZine』特集

目の前の1人に何ができるか パーパスを指針に社会課題に向き合う

仲間を集めることで提供価値を最大化する

――「きょうの時間割」に関しては、ピコ太郎さんやHYさんなど、著名なタレント・キャラクターが多数友情出演しています。実現した背景は?

 もともと当社やその関係者とリレーションがあった方を中心に、私たちがやろうとしていることに共感してくださった方々にご協力いただきました。

 「学長」という役割で朝の会、帰りの会をご担当いただいたのは、「SCHOOL OF LOCK!」(TOKYO FM)の「とーやま校⾧」を10年間務めたグランジ遠山大輔さん。ご依頼したのは、立ち上げの数日前でした。今回の施策にご賛同いただき、引き受けてくださったことにより、子どもたちとの対話が生まれ、コンテンツの太い骨組みになったと思います。

 また、この頃は撮影のために集まることすら難しかったので、すぐに動いていただける方、ご自宅で撮影できる方、かつ、視聴者をポジティブに鼓舞いただける方に声をかけました。理科担当のサイエンス・アーティストの市岡元気さんや、英語担当のモデルのはなさん、料理担当のASIAN KUNGFU GENERATIONメンバーの伊地知潔さんなど、「先生」は社員やスタッフの皆さんの個人的なつながりの方々も多かったです。

――「みんなといっしょたいそう」の動画では、自社のキャラクターであるしまじろう以外にも、ハローキティやくまモン、チェブラーシカなどとコラボしています。

 こういう支援策をする時は、自社だけでやる必要はないし、むしろ自分たちだけでやらないほうがいいと思いました。子どもたちに夢や成長を届けたいと考える関係者が一致団結して支援した方が、提供できる価値が最大化します。特にハローキティは、当社の本社がある多摩センターにサンリオピューロランドがあるご縁で、サンリオさんに掛け合ったところ、出演を了承してくださいました。

「みんなといっしょたいそう」では大勢のキャラクターたちがコラボした
「みんなといっしょたいそう」では大勢のキャラクターたちがコラボした

――生活者からは、どのような声が寄せられましたか。

 印象的だったのは、保護者の方たちから「ベネッセの担当者さんがどうか安全でいられますように」と私たちを気遣うメッセージをいただいたことです。みなさんも大変なはずなのに、温かい言葉をいただいて、社員や関係者も勇気づけられました。それから、「オンライン幼稚園」は口コミで広がったようで「ママ友さんから聞きました」とか、海外在住の方から「友だちから聞いたのだけれど、海外でも見られるようにしてほしい」といった声をたくさんいただきました。そんな要望から「オンライン幼稚園」のバックナンバーをYouTubeで見られるようにした結果、いまや世界100ヵ国で視聴されるようになりました。

 これこそデジタルの強さですね。時間や国境をやすやすと超えて、世界中に広がっていく。データを分析してみると、その広がりが実感できます。しかもそういう海外の方からまるで隣の部屋に住んでいるみたいに「ありがとう!」とメッセージがくるので、振り返ってみると、世界的な困りごとと対峙していたんだなと感じます。

オンライン教室「きょうの時間割」では、子どもたちが休校中も生活習慣を整えられるよう、「ルーティンを続けよう」と呼び掛けた。
オンライン教室「きょうの時間割」では、
子どもたちが休校中も生活習慣を整えられるよう、「ルーティンを続けよう」と呼び掛けた
サイエンス・アーティストの市岡元気さんによる理科の授業
サイエンス・アーティストの市岡元気さんによる理科の授業

事業活動と社会貢献をつなぎ、循環させる

 ――SDGsやESGへの関心が高まっていますが、企業には社会への貢献と利益の両立が求められると思います。

 CSR活動や社会貢献が、企業の利益にどうつながるのかの議論はよく耳にしますが、個人的にはそこに迷いはありません。米国の経済学者であるマイケル・ポーター教授らが掲げたCSV(Creating Shared Value=共有価値の創造)、企業が社会課題の解決に邁進することで「社会的価値」と「経済的価値」は両立できるということを、実感しながら活動しています。

 ただ、その両立を実現するために必要なことはあると思っています。それは、社会貢献のために、事業活動で培ってきたアセット、たくさんの関係者やお客様に磨いていただいた力を使うことです。それが、事業活動と社会貢献をつなぎ、循環させていくカギです。まずは、その力がいったい何なのかを自己認識せねばなりません。そのためには、さまざまなお客様とのエピソード、そしてその集合体である我々のパーパスを、社員一人ひとりが理解して行動することが必要です。

 また、今回、改めて重要だと思ったのは、パーパスに共感してくださる社外の関係者・パートナー会社、そしてお客様の存在でした。ベネッセだけで実現できたことは何一つなく、仲間が増え、想いが重なっていくことが大きな力になりました。様々なステークホルダーと想いを共にすることで、社会へ貢献できる規模もインパクトも大きくできる。それを実感できた貴重な体験でした。

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この記事の著者

石川 香苗子(イシカワ カナコ)

ライター。リクルートHRマーケティングで営業を経験したのちライターへ。IT、マーケティング、テレビなどが得意領域。詳細はこちらから(これまでの仕事をまとめてあります)。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2021/02/26 17:45 https://markezine.jp/article/detail/33846

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