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MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

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Facebook Japanが目指す、ニューノーマル時代のプラットフォーマーの姿

ニューノーマル時代のプラットフォーマーに求められる価値

――プラットフォーマーとしての可能性を、どのように捉えていますか?

 当社がユニークなのは、複数のプラットフォームや事業を有していることです。BtoCのFacebook、Instagram、MessengerやWhatsAppに加えて、企業向けSNSの「Workplace」や、VRの「Oculus」があり、ポートフォリオを組んで運営していけることは他のプラットフォームとの大きな違いです。

 個別の場の可能性でいうと、Facebookでは人とのつながりの先にコミュニティが作られ、目的を持って情報共有や発信がされていますが、Instagramはまた少し違います。ソーシャルグラフというより、あるテーマや商品に対する興味や関心からの検索行動が非常に活発で、そこからコミュニティが生まれています。ブランドに対しても、興味軸で検索して発見し、たどり着いた先でその世界観に触れ、よりファンになるという動きがありますね。これは、とてもマーケティング的なコミュニティの生まれ方です。実際、ビジネスアカウントも飛躍的に増えていますし、90%以上の利用者が何らかのビジネスアカウントをフォローしています。

 また、いずれの事業も同じミッションに根差しているのは、とても興味深いことです。VRでもコミュニティを支援する方向で開発が進んでいたりして、各事業と社員が本当に一体となってミッションの実現に動いている感覚があります。

――では、コロナ禍によって、利用者や企業がプラットフォーマーに求めるものはどう変わっているとお考えですか?

 利用者の視点では、人とのつながりを見つめ直したり、その大切さを実感するタイミングを迎えていると捉えています。そこで、これまで以上に人とのつながりを支えられるよう、機能の拡充を進めています。たとえばMessenger上で簡単にビデオチャットができる「Messengerルーム」などですね。

 企業の視点では、ビジネスの在り方自体のデジタルシフトが急務の中、我々への期待も変わっています。仮にパンデミックが終息しても、元の世界には戻りませんよね。新しいビジネスの在り方を確立するための支援が求められていることを受け、オンラインショップを無料で作成できる「Facebookショップ」や、Instagram上で料理の注文を受け付ける飲食店向けのサービスなど、中小企業が無料で使える機能を発表しています。

 6月にオンラインで開催した事業戦略説明会では、こうした機能の紹介に先駆けて、ニューノーマル時代の事業方針として3つの柱を発表しました。社会・経済への貢献、安心安全に使っていただける環境づくり、そしてイノベーションです。中でもプラットフォームとしては、安心安全という観点は最重要なので、たとえば個人情報保護のためのポリシー変更やデータ活用の透明化などを優先的に進めながら、他の2軸にも力を入れています。

Facebookはコミュニティを育む土壌に

――次に、コミュニティの価値と育成についてうかがいます。先ほど“人とのつながり”というお話もありましたが、今回のコロナ禍によって、コミュニティが果たす役割を改めて多くの方が感じたと思います。

 おっしゃるとおりですね。私が就任して以降、物理的に距離を取らなければならなくなっても、やはり人は人とつながりたいのだ、と実感しながらマネジメントにあたっています。

 Facebook上ではコロナ禍を発端として、たとえば販売先がなくなり困っている全国の生産者の方と商品を購入したい人をつなぐグループや、あるいは今回どの国でも大きな問題となった教育に関してディスカッションするグループなどが自然発生的に立ち上がりました。日本では、緊急事態宣言の発令後、約1ヵ月で、400以上の新型コロナウイルス感染症に関するFacebookグループが生まれ、20万人以上が参加しています。物理的な接触が厳しい環境では、より我々の貢献できる領域が広がるのだと目の当たりにしました。

――確かに、この時期の使われ方を見ると、ひと昔前なら行政に期待するような場づくりや互助的な活動を支える社会インフラにもなっていると感じました。こうした状況を、どうご覧になっていますか?

 まさに、社会課題をコミュニティで解決する動きが起きていると思います。私自身も、11年の東日本大震災の際、Facebook上でコミュニティの力を強く感じました。実家がある福島の状況がどうなっているのか、様々な情報が錯綜する中でも、Facebookを通して地元のリアルな状況がわかり、適切なサポートができました。

 ミッションに強く共感したのは、この原体験の影響も大きいですね。私が代表に就任以来、コミュニティの重要性を強調する要因のひとつです。

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コミュニティは関係性があってこそ生まれる

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この記事の著者

高島 知子(タカシマ トモコ)

 フリー編集者・ライター。主にビジネス系で活動(仕事をWEBにまとめています、詳細はこちらから)。関心領域は企業のコミュニケーション活動、個人の働き方など。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

安成 蓉子(編集部)(ヤスナリ ヨウコ)

MarkeZine編集部 編集長
1985年山口県生まれ。慶應義塾大学文学部卒業。専門商社で営業を経験し、2012年株式会社翔泳社に入社。マーケティング専門メディア『MarkeZine』の編集・企画・運営に携わる。2016年、雑誌『MarkeZine』を創刊し、サブスクリプション事業を開始。編集業務と並行して、デジタル時代に適した出版社・ウェブメディアの新ビジネスモデル構築に取り組んでいる。2019年4月、編集長就任。プライベートでは2児の母。

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MarkeZine(マーケジン)
2020/09/25 13:00 https://markezine.jp/article/detail/34295

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