オンラインの台頭と活用
購買サイクルが長いカテゴリーで、検討前の期間から検討・購買の期間につなげる際、オンラインの活用は欠かせない。なぜなら、デジタル上ではユーザーデータを用いて個々のユーザーが知りたい情報に合わせてコンテンツを見せることができ、そうすることで特に自分でカテゴリーやブランドのことを調べようとしているユーザーに効率的かつ効果的にアプローチすることが可能だからだ。
先述の携帯電話の例では、自社のWebサイトに来た瞬間に、購入候補の携帯のカラーバリエーションを表示する、通信キャリアなら料金シミュレーションを表示するといったパーソナライズが可能だ。またオンラインからオフラインという意味では、お店の窓口で、今までその人がWeb上で見たり触れたりしたコンテンツから、携帯そのものだけでなく付随するサービスやモノ(たとえば動画サービスやスマホケース、または光回線など)を含めたその人にあった提案をすることすらできる。もしD2Cであれば、パーソナライズしたコンテンツでユーザーをしっかりとエンゲージし、そのまま購買へつなげることすらできる。
購買サイクルが長いカテゴリーにおいてオンラインは、ユーザーへの効率的なリーチだけでなく、検討する前から検討そして購買につなげる潤滑油的な役割も果たす。特に、自分でカテゴリーやブランドのことを調べるフェーズに入ったユーザーに対して、効率的かつ効果的にカテゴリーやブランドのことを知ってもらえる有用なツールになる。
まとめ
今回はカテゴリー理解について、購買サイクルごとの特性理解と消費者理解の重要性という観点から説明した。マーケティング施策は人を能動的に行動させているか、もしくはファイナンシャルリターンが得られているかで評価するべきということ、購買サイクルが長い場合は評価方法とカテゴリーの理解、またユーザーへのアプローチに工夫が必要であり、検討前と検討から購買のフェーズごとやそれぞれをつなげてプランする必要があること、またそれらはオンラインの活用により、効率化されるだけでなく、効果的になることを解説した。
また、消費者にとってのカテゴリー定義を理解するために、カテゴリーに期待していること、今後期待する可能性、また重視することを無意識レベルで理解することが欠かせない。そして無意識に入り込むためには、すべての場面やフェーズで常に想起されるブランドの独自性(特にベネフィット)が必要であることについても説明した(統一感をもったアイデアやコピー・ビジュアルで感覚にアプローチできればなお良い)。
次回はついに本丸である、カテゴリーの理解を活かした「ブランドの再定義」について解説する予定だ。
アドビ 里村氏による連載「マーケティングの本質を探る」の過去記事はこちらから
【第1回】消費者の無意識に入り込み、行動を変えたブランドが市場を制する