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MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

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定期誌『MarkeZine』特集

BtoBマーケターとしてキャリアを切り開くために持つべき視点

セールスとマーケティングの共通点とは

――セールス周りの経験を経て、マーケティング領域のスキルを拡張していったわけですが、双方を経験してみての共通点などはありますか。

 お客様を知ろうという熱意ですね。お客様のことを良く理解し、最適なものを届けたいと考えることは営業とマーケターで共通しています。なおかつ、売り上げを達成し顧客満足度を上げるためには、部門の枠を超えてやれることはなんでもやる。これらが営業とマーケターの共通点だと考えています。

 一方で、この共通点を理解せず、営業の仕事とマーケティングの仕事に明確な線を引きたがるとその後のキャリアアップにも支障が出ると思います。

 また、営業とマーケターで異なる点も存在します。たとえば時間軸。営業であれば今月、来月、今期、来期というような時間軸で、いい案件をすぐに受注したいと考えていますが、マーケティングはより中長期の目線で会社のためになることを仕掛けることも出てきます。

――マーケターの場合、時間軸はもちろん、営業やインサイドセールス、カスタマーサクセスとの連携についても広い視野で見ていく必要がありますよね。

 確かに全体を俯瞰する必要があります。その他には、マーケターはお金を使う人、営業はお金を稼ぐ人という違いがあると思っています。マーケターはこの会社のお金を使わせてもらっているという理解が必要です。

 100万円という金額に対する、営業とマーケターの価値がまったく異なります。たとえば、イベントをやりたいと営業が言ったときに、会場で配る水1本の金額まで確認をとってきます。それくらい、お金に対する感度は鋭いと感じています。

求められるのはお客様からさかのぼること

――続いて、BtoBマーケターとして求められるスキルセットなどがあれば教えていただきたいのですが、いかがでしょうか。

 細かなテクニックというよりは、お客様からさかのぼって物事が考えられて、マーケティングの戦略が立てられるかどうかが重要だと思っています。これはBtoBでもBtoCでも同様だと思います。最終的に商品・サービスを届けたい方は誰で、その方がどのような課題を抱えていて、そこに営業が提案に行く。さらに営業、インサイドセールス、マーケティングに分割して考えます。

 このときに、企業側からのみ思考をしてはダメということです。お客様側から考えて、営業、インサイドセールス、マーケティングの順番にさかのぼることがとても重要だと思います。ここで言うお客様とは、一人のお客様もそうですし、市場全体も指しています。

――確かに逆算するというのは意外と抜け落ちている視点かもしれませんね。目の前のリード獲得数などのKPIに目が行き、お客様が見えないまま施策を展開しているケースはありそうです。

 もちろん、KPIを達成するために頑張っている人が悪いというわけではありません。大きな組織になればなるほど、分業が進み、役割が限定されたアサインメントにはなってしまうので。ただKPIの先にいるお客様を常に想像して欲しいとは思います。

――そういった方はどのような道を選ぶべきなのでしょうか。たとえばSEO担当やイベントマーケティング担当など、特定領域を任された場合、そこでのプロを目指すべきなのか、はたまた新しいスキル会得に向けて社内異動などを懇願するのか。

 まずは、どの役割にせよ、自分の与えられた範囲の仕事を頑張って成果を出すのは最初に行っておくべきですよね。そうすると、必然的に周囲との関わりが出てくると思うんです。たとえば、次のイベントのテーマを決めようと思ったら営業に最近お客様の間でのホットトピックを探りに行くと思います。そういったことをしているうちに、その方の専門範囲の深みと広がりが出てくると思うんです。

 最初はイベント企画だけを担当していたのが、もっと集客を良くするためにランディングページを改善したい、集客方法を見直したい、獲得リードを営業にきちんとフォローしてもらうためにインサイドセールスの仕組みを整えたいなど。これらのことは、部門を異動せずとも仕事に関われると思います。そのように仕事の幅を広げていけば、自ずとキャリアの道も開けてくるのではないでしょうか。

マーケターの原動力はお客様への好奇心

――非常にシンプルですが、今関わっている仕事の枠を超える目線を持ち、成果を出すために努めていれば、自ずとキャリア形成につながるわけですね。

 マルケト時代に、マルケトユーザーの皆さんから学んだことなのですが、イキイキしてマーケティングの仕事に携わっている方の共通点はお客様への好奇心がすごいんですよね。お客様のことを知りたいからデータを見たり、営業に話を聞きに行ったりする。そしてお客様のことを理解した上で喜んでもらえるものを届けるために、コンテンツやデザイン、マーケティングオートメーションのシナリオを改善するわけです。

 その好奇心がない状態で小手先のテクニックに走ってしまうと、もう何のためにマーケティングをしているのか良くわからなくなってしまうのではないかと思います。スキルも必要ではありますが、好奇心があれば自ずと学ぶはずですから。

――マーケティングにおけるリード獲得や育成以前に、その会社のビジネスがどのように売り上げを上げているか、そしてお客様がどんな人かを理解することが大前提として重要ということですね。

 そこがないと、「マーケティング部門はなんかやってくれてるけど、リードがいまいちだよね」など、おそらく社内で孤立してしまうと思います。個々のマーケティング施策については、少し経験すればある程度の感覚はつかめますし、いくらでも学ぶ方法はあります。しかし、それ以前のメンタルやマインドの部分がとても重要です。

 そのため、現在マーケターの方には目先の部門内KPIにとどまらず、会社の売り上げなどの数字に向き合ってほしいと思いますし、現在営業などでマーケティングに携わっていない方でも、日々数字を背負って仕事をしている方であれば、マーケターもキャリアの選択肢の一つとして十分入れられると思います。

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この記事の著者

道上 飛翔(編集部)(ミチカミ ツバサ)

1991年生まれ。法政大学社会学部を2014年に卒業後、インターネット専業広告代理店へ入社し営業業務を行う。アドテクノロジーへの知的好奇心から読んでいたMarkeZineをきっかけに、2015年4月に翔泳社へ入社。7月よりMarkeZine編集部にジョインし、下っ端編集者として日々修業した結果、2020年4月より副...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2021/03/25 08:30 https://markezine.jp/article/detail/35760

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