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僕たちのPMFの話をしようか

プロモーション活動の前にPMFを疑おう。マーケターがもっと事業に貢献するために


 才流 栗原氏、DNX Venturesの稲田氏、田中氏による新連載「僕たちのPMFの話をしようか」が始動! PMF(Product Market Fit)とは「マーケットニーズを満たすプロダクトで、正しい市場にいること」を指し、スタートアップが成長する過程で目指すべき状態の1つと言われるが、3人はマーケターもこの概念を持つことが重要であると語る。連載の初回として、その理由を鼎談で語ってもらった。

売れない原因は、本当にプロモーション活動か?

MarkeZine編集部(以下、MZ):本連載「僕たちのPMFの話をしようか」では、BtoB企業のマーケティング支援を行う才流の栗原さんと、BtoBスタートアップへの投資を行っているベンチャーキャピタルファンドDNX Venturesの稲田さん、田中さんが、様々なBtoB企業のProduct Market Fit(以下、PMF)までの道程を取材していきます。栗原さんにはこれまでも様々なテーマでMarkeZineに登場いただいていましたが、今年のテーマをPMFと据えた理由をお聞かせください。

栗原:BtoBマーケティングに関わる中で、営業・マーケティング費用を投下しても思うように成果が出ず、成長が頭打ちになっているケースを多く見てきました。経営者やマーケティング担当者と話をすると、4P(Product、Price、Place、Promotion)のPromotionに原因があると考えていることが非常に多いのですが、実はProductが市場にフィットしていない、そもそも戦う市場を間違えている、という場合が往々にしてあります。マーケターが「自社の事業はPMFしているか?」という問いを持ち、PMFの過程にコミットするようにならなければ、本当の意味で事業成長に貢献するのは難しいのではないかと考えるようになりました。

才流 代表取締役 栗原康太氏2011年にIT系上場企業に入社し、BtoBマーケティング支援事業を立ち上げ。事業部長、経営会議メンバーを歴任。2016年に「才能を流通させる」をミッションに掲げる株式会社才流を設立し、代表取締役に就任。
才流 代表取締役 栗原康太氏
2011年にIT系上場企業に入社し、BtoBマーケティング支援事業を立ち上げ。事業部長、経営会議メンバーを歴任。2016年に「才能を流通させる」をミッションに掲げる株式会社才流を設立し、代表取締役に就任。

田中:PMFは主にスタートアップが規模拡大を図る前の段階に関して言及されてきた概念ですが、マーケターの世界でもこのような考え方はあるのでしょうか。

栗原:これまでマーケターの頭の中では、スタートアップ業界では行われている【PSF(Problem Solution Fit)→PMF→GTM(Go To Market)→Growth】という事業成長のフェーズを因数分解することはあまりされてこなかったのではないかと思います。過去何度かPMFしてないプロダクトのマーケティング活動に関わったことがあるのですが、リード数・商談数を増やしても売れないんです。そのときにPMFという概念がないと、広告やLP改善に終始したり、営業トークの見直しやMA/SFAツールを導入するものの、結局は売上が伸びない、という状態に陥ってしまいます。

正しい市場探しが特に重要

MZ:確かにPMFという言葉はマーケティング業界ではあまり使われてこなかったと思います。どういった概念なのか教えてください。

稲田:PMFを最初に提唱したのは、米国の代表的なVC「Andreessen Horowitz」のファウンダーであるMark Andreesen氏です。曖昧な概念でもあるのですが、本連載では彼の発言に沿って「マーケットニーズを満たすプロダクトで、正しい市場にいること」と定義したいと思います。

 彼はブログ記事において、スタートアップにとって重要なものをProduct、Market、Teamの3つとしたとき、“Market”、つまり正しい市場を見つけることを特に重視すべきと説いています。マーケットにニーズがあれば、市場からの要請に応える形で良いプロダクトが勝手に出現していく。逆にどんなに良いチームができても、売り上げが立たなければメンバーは離れてしまいますし、どんなに良いプロダクトができても、正しい市場にいることができなければ、「存在しない需要」を追いかけ続けることになってしまう。これがPMFの発想です。

DNX Ventures Venture Advisor/EIR 稲田雅彦氏2013年にデジタル製造プラットフォームを提供する株式会社カブクを設立、代表取締役 兼 CEOに就任。2017年に東証一部上場大手メーカーからのM&Aにより連結子会社化を行う。2019年、DNX Venturesに参画。AI、IoT、ハードウェア、デジタルマーケティングなどを中心とした投資業務を担当。
DNX Ventures Venture Advisor / EIR 稲田雅彦氏
2013年にデジタル製造プラットフォームを提供する株式会社カブクを設立、代表取締役 兼 CEOに就任。2017年に東証一部上場大手メーカーからのM&Aにより連結子会社化を行う。2019年、DNX Venturesに参画。AI、IoT、ハードウェア、デジタルマーケティングなどを中心とした投資業務を担当。

栗原:マーケターにとっては「プロモーション活動を行う前提条件として、PMFしているプロダクトが必要」という説明が伝わりやすいかもしれません。

稲田:そうですね。4PのうちPromotionだけにフォーカスしすぎず、全部をフラットに見る。4Pすべてを最適化していくというイメージが近いと思います。

田中:もう一つ、nice to haveではなくmust to haveを目指せ、という言い方がされますよね。「ないよりもあった方がいい」と「なかったら困る、なくなったら嫌だ」の差分は、想像以上に大きいものです。1,000人に好かれるプロダクトよりも、100人、10人に愛されるプロダクトになるように磨きこむ。そうすると、Promotionなしでも口コミで勝手に広がっていくようになります。

SPROUND Community Manager/DNX Ventures Investment VP 田中佑馬氏 慶應義塾大学卒業。三菱商事にて金融事業の新規事業開発を担当。その後、DNX Ventures日本オフィスに参画。主に日本国内のB2B SaaS ベンチャー投資案件を担当。その後、アルバイト就職情報を扱うHR Techスタートアップを創業し、CEOを務める。 2021年より再びDNX Venturesに参画。

SPROUND Community Manager/DNX Ventures Investment VP 田中佑馬氏
慶應義塾大学卒業。三菱商事にて金融事業の新規事業開発を担当。その後、DNX Ventures日本オフィスに参画。主に日本国内のB2B SaaS ベンチャー投資案件を担当。その後、アルバイト就職情報を扱うHR Techスタートアップを創業し、CEOを務める。 2021年より再びDNX Venturesに参画。

稲田:ちょうどClubhouseがPromotionを打たずに口コミで広がるということが発生しましたが、この顧客の熱狂で自然と拡がっていくことが、PMFの指標の一つです。

田中:そしてPMFを進めていく上では、プロダクトチーム、営業・カスタマーサクセス、マーケターの全員が「今はPMFのフェーズである」と意識することが本当に大切です。そうでなければ各部門で部分最適がかかり、“見せかけの成長”が作られることになりかねないからです。

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この記事の著者

蓼沼 阿由子(編集部)(タデヌマ アユコ)

北海道生まれ。 東北大学教育学部を卒業後、テレビの報道記者を経て翔泳社・MarkeZine編集部へ。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2021/06/18 15:44 https://markezine.jp/article/detail/35846

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