SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

直近開催のイベントはこちら!

MarkeZine Day 2025 Retail

定期誌『MarkeZine』特集

若者人気No.1のABEMA恋愛番組に学ぶ、Z世代の心を掴む法則

「番組を運用する」思考が、再現性のあるヒットを生む

――「完成された作品をどう届けるか?」ではなく、企画を作る段階でマーケティングが介在する体制になっているんですね。

若村:アイデアありきで偶発的なヒットを狙うのではなく、最初から届けることを意識し、そのための要素を入れていくことが、とても大事だと考えています。恋愛番組の制作体制は、マケティングのプローデューサーと、番組の制作プロデューサー、そして制作と事業の架け橋になるプロダクトマネージャーの3者が一緒に動きます。マーケティングのプロデューサーは、マーケティングの観点を持って、キャスティング、番組の尺、編成などの設計を行い、それに基づいて制作プロデューサーが企画、撮影、編集などの制作を行います。そして、宣伝チームと一緒に、どんなプラットフォームで何のメッセージを発信するかを練り、番組を仕上げていきます。料理にたとえるなら、「どう調理しようか?」ではなく、「こういう調理が前提だから、この素材から作ろう」というようなイメージです。

野村:ABEMAはネットサービスですし、いつでもどんなデバイスからでも視聴できます。だからこそ、「リアルタイムにその番組が見たい」と思っていただけるような番組作り、認知ファネルにどうアプローチするか? まで考えなければ、大切な可処分時間をなかなか割いていただけません。SNSの活用も、同様の考え方で行っています。認知獲得や理解を深めるファネルへ向けた、外部プラットフォーム完結型の施策もあれば、外部プラットフォームと番組やオンデマンド編成の中のコンテンツを掛け合わせ、視聴ファネルを狙う施策もあります。

 これらの仕掛けは、制作とマーケティングが一緒になって番組を作る体制があるからできることだと思います。さらにこの体制では、番組作りのPDCAが回しやすいというメリットもあります。番組がスタートしてから、「反応が少ないね」という表面的な会話ではなく「ではどうしていくか?」とすぐに軌道修正の話ができるんです。企画の段階で、いくつか仮説や施策を持っておき、戦略的にどれを推進するかを決める。そして、思うような反応が得られなかったら、違う仮説をあてにいく。その精度を高めることで、ヒットの再現性に繋げています。一発勝負で、伸るか反るかの企画や施策、マーケティングにならないよう心がけています。

マーケティング手法に左右されない

――最後に、Z世代を知るためのアドバイスをお願いします。

若村:繰り返しとなってしまいますが、自分の感覚を頼るのではなく、リアルな今のティーンの姿を捉えることが大事だと思います。それは、SNSを眺めていてもつかみにくいです。高校生が、今どんな言葉づかいをしているか、どんなアプリを使っているかなど、実際に接することからヒントが広がっていきます。流行の変遷が早いティーンなので鮮度も大事ですが、集まる場所は固定化しやすい傾向にあると思います。「TikTokが流行った!」となると、みんなそこへ向かうし、違うアプリが流行ったら、またそこへ向かうように、集まる場所が限られているので、その見極めが求められますね。

野村:著しく変化する世代ですから、感情の細かな機微やトレンド、空気感を常に気にかけることが重要だと思います。そして、この世代に対しては、「これをやれば大丈夫」ということはおそらくありません。アップデートや変化がある前提で、捉えにいく。つまり、運用だと思います。ただ、マーケティングのハックがあるわけではなく、リアルに会ったり声を聞いたりと、汗をかいて知る姿勢が求められます。マーケティングには、しばしば流行ワードやトレンドが生まれますが、私たちは、そこに左右されすぎないように心がけています。手法やメディア論ではなく、顧客視点を持ち、変化を続けることが重要だと考えています。

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
  • Pocket
  • note
関連リンク
定期誌『MarkeZine』特集連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

マチコマキ(マチコマキ)

広告営業&WEBディレクター出身のビジネスライター。専門は、BtoBプロダクトの導入事例や、広告、デジタルマーケティング。オウンドメディア編集長業務、コンテンツマーケティング支援やUXライティングなど、文章にまつわる仕事に幅広く関わる。ポートフォリオはこちらをご参考ください。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

MarkeZine(マーケジン)
2021/04/27 07:30 https://markezine.jp/article/detail/36127

Special Contents

PR

Job Board

PR

おすすめ

イベント

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング