パーパス策定により感じた3つのメリット
――発表から約1年が経ちますが、パーパスに根付く企業理念を掲げたことで、現時点で感じているメリットは何かありますか?
今実感しているメリットは3つあります。1つ目は、判断や行動の意思決定基準になりえるということです。事業部の会議の中でも、「それが最高の安心とヨロコビにつながるのか?」といった会話が徐々になされるようになっていると聞いています。そうしてパーパスの体現に根差した企業活動を進めると、自動的に社会の要望に応えられるような組織になるというのが2つ目のメリット。近年はサステナブルな活動に対する要望が増えていて、当社でもサステナビリティ推進室を設立し、サステナビリティ長期方針「はずむ未来チャレンジ2050」を打ち出しましたが、こうした活動はパーパスを基軸に活動が広がっていると感じます。
3つ目は、課題であった組織風土の改善です。残念ながら今年2件の不適切事案が起こりました。それに対してもちろん反省が必要ですが、一方でそうした事案が挙がるようになったのは、自浄作用が働くようになってきたからとも捉えています。社員が発言しやすい組織に変わってきているのを自分でも実感していますし、良い変化だと考えています。「Our Philosophy」制定は終えましたが、プロジェクトはまだ道半ば。現場で困っている社員からは、実情との乖離を指摘する声も挙がっています。
「Our Philosophy」を体現できる会社にするためには、全社員で取り組まなければ実現しません。そのためにも、現状課題と捉えている「Our Philosophy」の浸透をまずは進めていくこと。それと今年はこちらから説明する活動ばかりでしたので、来年はもう少しインタラクティブにコミュニケーションできる機会を増やしていきたいと考えています。各部のパーパスや各部Philosophyの策定というのも進めていきたいと考えています。
――最後に、これからパーパス策定を検討している企業に対してアドバイスをお願いします。
個人的な反省点でもあるのですが、パーパスを作る過程においてできる限り多くの社員を巻き込めるようにすると良いのではないでしょうか。それができていると、浸透活動がよりスピード感を持って進んでいくと思います。
あとは諦めない心を持って突き進むだけです。なかなか周りからの理解がもらえなかったり、厳しいフィードバックをもらったりすることもありましたが、「意志あるところに道は開ける」と「Our Philosophy」の策定を通して感じました。諦めずに頑張っていくことで周囲の理解や共感も生まれてくると思うので、信念を持って前に進んでいってほしいです。
