社外のグループ会社と連携してノウハウを蓄積するという方法は、とても興味深いです。
基本的には、JALが企画を立案し、JBCがオペレーションを担当します。たとえば、キャンペーンを行うときは、テーマ決めや社内の各部署との調整を私たちが行い、投稿のクリエイティブはJBCのSNSチームが考えて制作する、といった体制です。とはいえ、明確に業務範囲の線引きをしているわけでもありません。JBCから企画の提案もありますし、常にコミュニケーションや成果を共有しています。JBCにしっかりノウハウが蓄積されていますから、JALの担当者が不在のときや引き継ぎでわからないことがあっても、滞りなく業務が進んでいます。
これらの環境や体制を踏まえて、Webコミュニケーショングループのメンバーが全体をリードしています。若手のうちからリーダーシップを取る経験があるのは、人材育成の観点で有効だなと思いますね。
そして、マーケターのスキルアップは、実務とインプットの積み重ねが重要です。インプットの場として、私が持っている知見を共有する勉強会を実施しているほか、MarkeZineをはじめとした専門メディアや参考になるマーケティング関連のメルマガなども紹介しています。今はセミナーもオンラインで受けやすくなっていますから、参加を勧めています。
人材育成で大切にしていることを教えてください。
まず、自分でやってみせることです。メンバーに対して、「セミナーに参加しよう」と言えるのも、私自身の経験があるから。部署の立ち上げ時は、たくさんの社外のセミナーに参加していました。年間100以上は参加していたと思います。他の会社のマーケターの方々との人脈も広がりました。山本五十六さんの言葉にもありますが、やってみせないと人は動きません。
また、リアリティを感じる体験を作ることも大切にしています。マーケティングの仕事は非常におもしろく、好奇心がスキルアップを後押しします。Webコミュニケーショングループへ異動して初めて本格的にマーケティングを学ぶメンバーばかりですから、好奇心を持つきっかけをできるだけ与えるようにしています。
飛行機や旅行は、非日常的でワクワクする体験です。SNSからの発信も、新しいサービスや機材、路線の情報など高揚感のある情報が多くなります。SNSの運用そのものはオフィスやリモートワーク先の自宅からでもできますが、それでは実感がともないませんし、単なる作業になりがちです。プレス向けのお披露目会などに自分たちも参加するなどの機会を意識的に作っています。
あとは、すぐに結果が出るデジタルの特徴を活かすことですね。SNSは、投稿した瞬間からリーチが伸び、リアルタイムで「いいね」やコメント数が増えていく。苦労して投稿や記事を作った担当者からすると反応が見えることはとても嬉しいことです。週に1回の編集会議では振り返りも行い、KPIを達成するとみんなで拍手して喜んでいます。