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WGSNが予知する1年後

【前編】先が見えなくても、未来を考える手立てはある。消費に影響を及ぼす4つのセンチメント

 世の中の変化の兆しを捉え、消費に関する未来予測を立てている英国発のWGSNをご存じでしょうか。数年前のWGSNのレポートを見ると、現在進行形で現実となっている現象が多数予測されており、非常に興味深い提示がされています。今回、日本代理店を務める伊藤忠ファッションシステムにレポートの一部を共有してもらえることになりました。前編となる本稿では、2023年に消費者が持っているであろう4つのマインドを解説いただきます。

企業の知力を支えるWGSN

 コロナショックが広まった2020年初め、未来予測を扱う私のチームには、お客様から次々と問い合わせが入りました。

 「このコロナによって、WGSNはこれまで立てた予測を変えますか?」と。

 WGSNとは、1998年より会員企業にデザイントレンドと消費者に関する未来予測を提供してきた英国発の企業です。現在、北米/ヨーロッパ/中東/アフリカ/アジア太平洋地域/ラテンアメリカに20以上の拠点を持っています。弊社、伊藤忠ファッションシステムがその日本代理店を務めている関係上、先ほどのような質問が殺到したわけです。

 ご存じの方も多いと思いますが、WGSNでは所属する業界エキスパートが消費者の思考、感情、行動に影響を与える変化の兆しをいち早く察知し、小売データや文化、クリエイティビティの傾向を分析・提示しています。ちょっと大げさかもしれませんが、「企業の知力を支えている」と自負している次第です。

 情報の領域としては、インサイト(消費者動向)、コンシューマー・テック、ファッション、ビューティー、インテリア、フード&ドリンクがあり、消費者が求める製品、体験、サービスデザインに関する2~10年後の姿を提示しています。

現に、過去にレポートをした様々な現象が現在進行形で起きている

 ここで冒頭の問いかけ、「このコロナによって、WGSNはこれまで立てた予測を変えますか?」に戻りますが、その答えはイエスとノーの混合でした。というのも、未来予測の方向性は変わらないのですが、その展開のスピードが想定以上だったからです。

 WGSNは、近頃話題のメタバース(Metaverse/最初はサードプレイスと呼ばれていましたが)についても、2018年発行の『2021年のための予測』の中で、“これから注目すべき現象”のひとつとしてレポートしていました

 また、コロナ以前から、在宅中心の生活をベースに消費や仕事を考えるようになること。環境を意識した生活にシフトし、大量消費社会の方向転換が余儀なくされること。非接触型の消費が拡大すること。食の世界に大きな変革が起こること。メンタルケアが重要になること。ウェルネスとサステナビリティがあらゆるビジネスカテゴリに絡んでくること。さらには、デジタルとフィジカルの世界がどのようにブレンドしていくのかなど、豊富なビジュアルを使って提示していました。これらの予測の意味するところが何であるかをうまく想像できない頃から、です。

 そして、コロナが契機になりましたが、日本を含む多くの地域で予想以上に早く、現在進行形でこれらが現実となっていることはご存じの通りです。

 未来の情報はなかなかトリッキーです。過去や現在については、ニュースやデータとして確固たる情報がありますが、まだ起こっていない先々についての情報は有象無象です。

 それでも、できる限り正確に未来を描いてビジネス計画を練りたいと考えた時、多くの企業にとって拠り所となる、信頼できる情報ソースとなり得るのがWGSNではないかと思います。そのようなわけで、今回、WGSNの予測をベースに、およそ1年後の商品やサービスをリリースする企業向けのテーマを前後編でお届けしたいと思います。

 前編では、「2023年に向けて注目の消費者センチメント(マインド)」として、グローバル市場で消費を牽引する人々がどのようなことを考えるようになるのか、4つの注目センチメントをあげて、その背景をお伝えしたいと思います。

 後編では、前半で出てきた4つのセンチメントが消費者行動にどのように影響し、企業はどのように消費者にエンゲージメントできるのか。消費者のタイプ4種とそれぞれにアプローチするためのヒントをご紹介していきます。よろしくお付き合いください。

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この記事の著者

浅沼 小優(アサヌマ コユウ)

伊藤忠ファッションシステム株式会社 ifs未来研究所 上席研究員 大手住宅メーカー、米国でのインテリアディスプレイデザイナー、バイヤー業務を経て、帰国後LVMHグループ、ロエベ他にてマーケティング、マーチャンダイジングを担当。デザイン予測を提供する英国WGSN日本統括を経て、2019年より現職。W...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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2022/01/05 07:00 https://markezine.jp/article/detail/37899

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