ビジネスモデルの設計、マーケティングで意識すべきポイント
――サブスクを提供する事業者は、どのようなことを意識すべきでしょうか。
まず注意しなければならないのは、サブスクはまだ生活に必須のサービスというよりは、可処分所得の多い層の余剰消費として考えられていることです。加えて、これまで都度課金だった消費がサブスクになることによって、変動費から月額固定費になってしまう。そうなると、可処分所得が減ってしまうので、サブスクの利用・併用が増えるにつれ、家計の取り合いが起こることが予想されます。
――最後に、5つの動機を踏まえて、マーケティングコミュニケーションでポイントとなる点を教えてください。
たとえば、ミニマル志向の人に高級車のサブスクをプッシュしても響かないでしょう。彼らの場合、「運転しやすいなら何でもいい」と考えるはずです。一方、アップグレード志向の人は、スポーツカーや高級車といった、普段は手が出ないような車に惹かれるかもしれません。また、テンポラリーの動機を持つ人は、子どもを連れて移動しないといけなくなったから、ワンボックスカーを求めているかもしれない。地方への引っ越しというライフイベントを控えた人は、「地方だから車はあったほうがいいかな」という気持ちから、サブスクではなく、購入を考えるかもしれない。さらに、「オープン」の人は、サブスクの動画や音楽を車内で使えたらいいな、といった違う期待を持って、車種を選考するのかもしれません。
このように、サブスクがもたらす価値は消費者によって異なります。それぞれの動機にあわせてビジネスモデルを設計し、コミュニケーションしていくことが重要ではないでしょうか。
※1 「娯楽コンテンツ消費に関する大規模アンケート」
調査会社:インテージ
調査時期:2020年10月16日~19日
調査対象者:全国の18〜69歳男女
調査回答者:n=3,209(ランダムサンプリング)
※2 ヴァリューズが保有するインターネット行動ログ上で、2019年11月~2020年10月に花のサブスクサイトでCV(加入申込完了)したユーザーのデータ
