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MarkeZine Day 2022 Spring

営業とのコミュニケーション、事業貢献へのコミット方法……BtoBマーケの悩みと解決方法を語ろう

事業にコミットする勇気を持つ

古島:では次に、KGI・KPIをどのように設定されたのか伺えますか。

富家:マーケティング組織として3人からスタートした時に「一体何を成果とするか」を考えました。結論から言うと、「事業に貢献することからは逃げない」と決めて、KGI・KPIは「受注」から逆算して設計することにしました。そして、受注の要素を分解して、先手を打つ施策を考えました。

古島:弊社もKPI設定はしていますが、有効商談の定義が難しいですよね。

富家:営業との合意が必要ですからね。営業に渡したあとのフィードバックがないと、有効性のフラグ付けもできません。そこはコミュニケーションや仕組みで補っていく部分ですね。

 私たちは立ち上げ初年度は商談数をメインのKGIに定めて、そこから少しずつ商談の先の受注に近づくように設定していきました。KGI・KPIに関して説明を求められるものの、説明してもいまいちわかってくれない……どうすれば? と、日々悩みながら戦っていました。ここはマーケターとして頑張らないといけないポイントだと思います。

古島:まさに今、私はその頑張りどころにいます。営業とのすり合わせのポイントは何だと思いますか?

富家:営業と一緒に数字を作ることで、事業貢献にコミットしました。1億円のパイプラインを作るために必要なセミナーやメールの数を落とし込んでいったのが初年度ですね。

 おそらくKGI・KPIの立案に必要なのは3つの要素です。1つ目はツールを含めデータ化できる環境があるか。2つ目は指標の定義と継続方法。運用として回せるかです。そして3つ目が事業貢献に対してコミットする勇気を持てるか。

古島:事業貢献に対するコミットは、本当に勇気が要ります。

富家:2年目以降に掲げたマーケティングプランでは、目標のKGI・KPI、会社からのマーケティング予算、細かい各施策の積み上げで目標を達成できるか否かを会社に宣言して、それを年間スケジュールに落とし込んでいきました。

コミュニケーションとは説明責任を果たすこと

古島:インサイドセールスや営業とのコミュニケーションに悩まれているマーケターの方も多いと思います。工夫されているポイントはありますか。

富家:マーケは常に全体を見せながら説明して、「何のために?」を解消するコミュニケーションを意識する必要があると思います。例えばSFA、CRMに商談のログを入力してくださいなど、マーケから営業さんにお願いするシーンが多いですよね。でも、意義が伝わらないとなかなか協力が得られません。

 これは私も反省している部分です。最初の1、2年目は、横文字やマーケティング用語を並べて説明していました。社内からの反応は薄く、それに対して「社内のメンバーはマーケティングをわかってない!」とも感じていました。ただ、今になって当時を振り返ると、きちんと説明責任を果たせていなかったなと思います。自分がやりたいことを相手に伝わるように伝えられているか、冷静かつ客観的に見直すべきだと気づいたんです。

古島:耳が痛いです(笑)

富家:もうひとつ重要なのは、KGI・KPI設計の部分ですね。営業、マーケ、インサイドセールスできちんと共通のゴール、KGIを設定する。そして、役割ごとに追いかける個別のKGI・KPIを定める必要があると思います。

古島:やはり共通とメインで、それぞれKPI・KGIを置くとコミュニケーションがとりやすくなりますか。

富家:はい。例えば、受注率が明らかに低い時、「マーケのリードの質が悪いのでは」「インサイドセールスのトスが甘いのでは」「営業の活動は本当にそれで良かったのか」とそれぞれが思います。ここで、共通のゴールを置いていない場合、単純に対立構造としてお互いに文句を言うだけになるシーンも出てきます。しかし、共通のゴールがあれば、PDCAを回して振り返る際に、お互い対等なコミュニケーションがとれます。

古島:分業モデル自体が、対立構造のもととなる要素を含んでいますよね。

富家:分業構造の最大のメリットは転換率のボトルネックが見つけやすくなることだと思います。ここを生かさないと効果が薄まります。受注率や商談転換率などが低い、すなわち有効商談数が低いという事実があったら、きちんとお互いの役割において、責任をもって発言することが大事です。それでないと言いたいことも言えなくなります。

ルールとガイドラインで考える

富家:ルールとガイドラインの明文化も重要なことの1つですね。例えばリードについては相手がターゲットかどうか・引き続き追いかけるかどうかの基準が必要だと思います。どのような属性基準か、失注した際にはどんなログを残すのか、どんな理由ならもう一度インサイドセールスが追いかけるかといったガイドラインを明確にします。

古島:網羅的に挙げていただきましたが、これらすべてをすり合わせするのでしょうか。

富家:1つずつでいいですし、一旦決めても、適宜見直しをかけるものだと考えると良いと思います。ルールではなくガイドラインであることがポイントです。

古島:ルールとガイドラインは似ているようで結構違いますよね。

富家:そうですね。例えばsalesforceに商談ログを入れるのはルールなので、しないと注意されます。ただ、条件はガイドラインなので、理由があれば例外を作って良い。むしろ重要なのは、決めたガイドラインから外れる除外条件の方です。ですから裁量を持たせることが大事だと思っています。

 コミュニケーションの軋轢を生まないために基準決めて、それに対してどれだけ離れているか、これを変えるべきかどうか、たまたまだったのか。そんな会話をコミュニケーションの場できちんとできる仕組みが必要ですよね。

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「マニュアルを読まない人もいる」と考えて対応を

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この記事の著者

那波 りよ(ナナミ リヨ)

フリーライター。塾講師・実務翻訳家・広告代理店勤務を経てフリーランスに。 取材・インタビュー記事を中心に関西で活動中。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2022/04/18 09:00 https://markezine.jp/article/detail/38741

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