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「どんな問いを立てるかが重要」チェリオに見る“性の多様性×飲料事業”の社会変革実践

一つひとつの「ボーダー」を取り除き、可能性を開放する

──菅さんご自身がLGBTQ、多様性の価値観を広める取り組みを始めたきっかけは何だったのでしょうか?

菅:当事者として悩んでいた友人との会話がきっかけです。東日本大震災が起こった頃、ロンドンに住んでいた友人は、両親を介護するために将来日本に戻って生活すべきか思案していました。そのときに「でも日本って(当事者が)どこか自分の気持ちを半分押し殺しながら会社に行っている感覚があって大変だよね」と話してくれたのです。

 LGBTQの方々にとって、自分らしくいられる場所を作ることが大事だと気づきました。そんな折、東京レインボープライド共同代表理事の杉山文野さんからお話をいただき、ぜひ手伝わせてほしいと申し上げました。

画像を説明するテキストなくても可

菅:加えて、私が大学や大学院でマイノリティの権利について学んでいたことも影響しています。アメリカの地域文化研究の文脈で専攻し、ハワイの先住民族の権利、マイノリティの権利、主権の考え方を勉強し、その後自分自身がマイノリティとなるアメリカの大学院に学びに行く機会を得ました。その2~3年では、互いの違いを生かして今までなかったような社会変革を起こすこと、道具としてのスタートアップ、リーダーシップの発露を目の当たりにしました。

 自分たちが相互の違いから機会を作り出し、それに立ち向かうことで、今までの社会に存在していたボーダーを一つずつ取り除き、その可能性を開放していきながら成長していく。学んだことを事業活動で実行したいと思ったんですね。友人をはじめ日本で多くの人が抱えていた問題と学んだこととの組み合わせ、現在の仲間との出会いや、当事者の方々のご支援によってここまで取り組みを広げていくことができました。

社内の認知に役立つ「仲良くなれた体験」「理解ある人材の採用」

──企業として施策を実行していくには、社内の理解と協力が重要だと見受けられます。社内の意識を醸成するために、何が重要だったのでしょうか?

菅:一つは、個人的な人間関係、信頼関係の醸成です。

 3代目になる私が入社したときは会社業績が良くなくて、一つひとつのビジネスユニットごとに現場に行き、一緒に再建していたんですね。再建するときってみんな苦しい思いをするけど、成功体験を共有して仲良くなれる。一緒に苦労した経験によってまず信頼関係を深められたのが良かったと考えています。

 もう一つは、多様な価値観を持った人が入社してきたくれたこと。東京レインボープライドのパレードを2014年から参加し始めたことがきっかけとなり、その後の新卒採用といった時期から「こんな活動をしている会社で働きたい」という方が入社してきてくれました。さらに新卒で入ってきてくれた彼らの世代が社内で媒介になり、その価値観を広げるために、様々な活動してくれたんですね。

 社内報に多様性について伝える記事を作ってくれたり、性別に関係なく手当てを受けられるような同性パートナーシップの制度を導入したりと、自主的に活動してくれました。また、プライドイベントのブースにおいても、どうすれば来てくださる方々が楽しめるか、学びを深められる機会になるか、あるいは参加する社員にとって新しい発見や学びにつながるような機会になるかを自分たちで試行錯誤をしてくれました。

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「変化のある伝え方」で社内の認知・理解へ

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この記事の著者

安原 直登(編集部)(ヤスハラ ナオト)

大学卒業後、編集プロダクションに入社。サブカルチャー、趣味系を中心に、デザイン、トレーニング、ビジネスなどの広いジャンルで、実用書の企画と編集を経験。2019年、翔泳社に入社し、MarkeZine編集部に所属。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2022/09/12 08:00 https://markezine.jp/article/detail/39316

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